Special Issue
教育ICT政策支援機構 今後のGIGAスクール構想で求められるICTの基盤整備とは 共同調達の体制でも全体最適の提案で「選ばれる事業者」に
2024/10/03 09:00
週刊BCN 2024年09月30日vol.2031掲載
国策として位置づけられているGIGAスクール構想の推進にあたり、「1人1台端末」の更新を着実に進めるため、政府は令和5年度補正予算において、端末の整備に2661億円を計上している。教育のデジタル化・DX推進に向け、文部科学省を中心にさまざまな施策が動いており、共同調達や伴走支援もその一つだ。
今後は各自治体の前例踏襲ではなく、各都道府県でつくられる審査機関「共同調達会議」を通じたかたちで機器の調達が実施される。「販売機会の減少はマイナスに感じるかもしれないが、仕事の仕組みやかたちをしっかり考え組み替えていけば、より大きなビジネスチャンスを得られる」と、谷氏は事業者側の変革を促した。
こうした共同調達の実例として挙げられたのが奈良県の取り組みだ。同県では共同調達の企画立案を行う市町村の参加する協議会をつくり、調達の目的として基本合意やコンセプトを定めた。この枠組みの中で、OS比較検討などを行い、教育委員会や学校がICTに関する問い合わせを受ける体制をつくり、ICTを有効に使える支援環境を整備している。
文部科学省の示す共同調達会議ガイドラインの中に「ICTによる学校教育の改善・底上げの実現」がある。その実現のためには、校務と学習の一体運用を意識した環境整備や、クラウド基盤の統一によるメリット出しを、セキュリティー要素の充実とセットで目指す必要がある。
校務DXの基盤では、ネットワーク統合や校務システムのクラウド化、教職員端末の一体化が求められる。その実現には、ゼロトラストのセキュリティー要素を適用した高度なアクセス制御を実現しなくてはならない。「教育委員会は一般に教育施策の部分については専門家だが、IT領域は専門外だ。そのためどうしても対応が後回しになり、その結果、学校の負担が増えてしまう。事業者側は専門家として大きな動きを捉え、適切なセキュリティー基盤の構築を意識しなければならない」と、谷氏は事業者による基盤整備の重要性を強調した。
「“アウトソース先として選ばれる企業” になれるかが重要なポイント。考えるべきは、個別最適でなく全体最適。自社製品・サービスの訴求のみに捉われるのでなく、全体最適を見据えたときにどんなかたちを整えることが、『子どもたち・教職員・学校・教育委員会にとって素敵な世界』につながるのか意識を」と、谷氏は語った。
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