Special Issue
サードウェーブをひも解く 法人向けにおける生成AIを活用したシステム構築支援 企業ごとの独自性を最大限生かしたローカルAIの活用で、ビジネスの成長をサポート
2024/08/29 09:00
週刊BCN 2024年08月26日vol.2027 第2部掲載
生成AI導入の悩みに対応する 次世代型ワークステーション
ビジネスにおいて生成AIを導入する動きが活発になる中、BIツールの構築などの経験を重ね、お客様のデータの重要性やニーズ、各種ノウハウを蓄積してきたサードウェーブは、貢献できる領域を拡大し続けている。そのような情勢を受けて同社は、GPUを含むハードウェアを目的に合わせた最適な構成で提案するだけでなく、企業独自の生成AIのプライベート(オンプレミス型)大規模言語モデル(LLM)のソフトウェアも開発を進めている。
それを受けて、特にデータのセキュリティーとプライバシーに不安を抱える顧客からの相談が多く寄せられるようになった。「オンプレミス型個別生成AIが注目されている理由として、インターネット接続ができない工場などで利用したいというニーズの顕在化がある。加えて、社内の固有情報が多い業務や秘匿性が高い業務などでも、新たなビジネスのモデルの構築のために生成AIをローカル環境で活用したいという意見もある」と潮田氏は説明する。
オンプレミスと「raytrek cloud」の併用でAI活用を促進
サードウェーブではAIに対応できるワークステーションだけでなく、AIによる推論が可能なPC(デスクトップ/ノート)や、必要なときに必要なだけ利用できるGPUクラウドサービスのraytrek cloudでも生成AIの稼働環境を提供している。raytrek cloudはGPUの選択・変更やインスタンス増減の柔軟性と、他社と比較して非常にリーズナブルな価格体系が特徴だ。IaaS型クラウドサービスとして2023年11月に提供を開始し、GPUリソースを重視する研究機関やAIの開発企業などから好評を得てきたという。
今後はプライベートLLM環境として利用したいユーザー企業向けの機能を充実させていくという。
例えば本番環境はワークステーションに置く一方で、運用フェーズに入ると利用機会が減るテスト環境は、raytrek cloudに構築することでコストを削減可能だ。また、プライベートLLMはオンプレミス型で本格的に利用する前の試用環境としても活用できる。
「リアルタイム性が求められる用途において、クラウドはデータ転送速度がボトルネックとなる。その課題に対し、データの発生源の近くに置くワークステーションやPCを組み合わせた、エッジAIの構成も提案したいと考えている」と潮田氏は展望する。
パートナーとの協業モデルで生成AIソリューションを広く届けたい
生成AIは企業のさまざまな業務での活用が期待されている。しかしそのためには、業務アプリケーションへ容易に組み込めることが重要だ。また、ビジネスでの有用性を高めるためには、公開情報だけでなく、自社内で蓄積する固有の情報も用いるRAG(検索拡張生成)の技術も必須だろう。そこでサードウェーブではAIソリューションを通じて、RAGも含んだAIを利用できるSDKを提供する。「アプリケーションを提供するSIerなどでは、顧客から生成AI機能の搭載を強く望まれているものの、なかなか踏み出せていない状況が散見される。一方でサードウェーブが顧客にAIソリューションを届けるためには、製造や小売りといった各業界の専門性を持つパートナーとの協業が欠かせない。そこで、AIの基礎知識やSDKを介した開発、自社のパッケージとの連携、そして学習モデルのつくり方といった教育プログラムも提供し、共にプライベート・LLMを使ったビジネスモデルを構築していく。創業から40年、長年にわたりPCのBTOを行ってきた。今後はAIソリューションもBTOを目指していきたい」と潮田氏は話す。
さらにサードウェーブでは、パートナーと一体となってハードウェアの提供からAIソリューションの提供およびサポートをワンストップで提供できる体制を構築していく考えもあるという。「パートナーとの協業により、顧客に寄り添い、利便性と安心感をお届けし、お客様のビジネス拡大に貢献できる」と、潮田氏はその意義を力強く語る。
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