Special Issue
サードウェーブをひも解く 法人市場に参入するraytrek コンシューマー市場で培ったハイエンドPCの強みを法人市場にも展開
2024/08/29 09:00
週刊BCN 2024年08月26日vol.2027 第2部掲載
raytrekを通して社会の発展に貢献していきたい
サードウェーブのBtoB戦略をけん引するのが、エンジニアやデザイナー、研究者などイノベーションを起こす人をターゲットとしたraytrekブランドのPCだ。raytrekは「超性能PC」というタグラインを設定し、その先進技術をもってユーザーの環境改善や業務効率化などを狙う。
ユーザーが快適にPCを利用し業務を遂行できることに重きを置いており、それは排熱構造にも見受けられる。PC内を空気が滞りなく流れるよう緻密に設計されているため、たとえAIを用いた高負荷な作業でも安定して業務を遂行しやすいことなどがユーザーから高い評価を得ている。
そのような数々のこだわりが詰まったraytrekについて野口氏は「新しいものが現れることで生活が便利になっていく。そしてそれは、まず誰かが”何か”を作らないと始まらない。raytrekをそういったものづくりに活用いただくことで、社会へ貢献していきたい」と語る。
高性能ワークステーションであらゆるユーザーにAI体験を提供
では、そのような思いが詰まったraytekの実際のスペックはどうなっているだろうか。ワークステーションのフラッグシップモデルというべき「raytrek workstation N8630」は、NVIDIA RTX 6000 Adaを最大4基まで搭載することができ、絶大なパフォーマンスを発揮する。
本モデルの特徴は電源を2基搭載している点にある。グラフィックボードを最大4基搭載するとなると、電源1基では200V環境が必須となる。しかしraytrek workstation N8630は電源を2基搭載することによって100V環境を実現した。
こうした性能は、LLM(大規模言語モデル)やディープラーニングなどのAI開発環境をオンプレミスで構築する可能性を生む。
「AIのニーズが急激に高まっている中、『ローカル環境でも、raytrekがあればAIを活用する幅が広がる』といった声もいただいている。特に今後はエッジAIの重要度が増していくなかで、raytrekの有用性も高まっていくと考えている。ユーザーやパートナーにより満足してもらうべく、われわれはこれからさらに製品に磨きをかけていく」(野口氏)。
もちろんサポート体制も万全だ。センドバック方式の基本サポートのほか、オンサイト対応するオプションや、24時間体制のコールセンターも用意している。特にワークステーションのオンサイト保証については、受け付けや実際に対応するまでの時間ごとに3段階のレベルを設けている。
性能と機能の両立でグッドデザイン賞を受賞
熱い思いと、それを体現する高い性能。そうしたraytrekの評価をよく表しているのが「グッドデザイン賞」の受賞だろう。グッドデザイン賞は日本で唯一の総合的デザイン表彰制度であり、優れた意匠と新たな発見を社会と共有することを理念としている。2023年度における同賞を「raytrek 4Cシリーズ」が受賞した。
同シリーズでまず目を引くのは、筐体前面の吸気構造だ。多くのデスクトップPCが採用しているメッシュ形状ではなく、盾のようなフロントパネルを置いたスリット状の構造で吸気を行うことで、デザイン性と静音性を高めた。また、筐体側面の吸排気口に設けられた樹脂製のフィルターは磁石によって固定されており、特別な工具を用いなくても外側から簡単に着脱できるため、メンテナンス性も高い。
「ユーザーを高いレベルで満足させる性能と操作性を追求している。吸気構造に関してもデザインと実用性を両立させることにこだわった」と野口氏は説明する。
raytrekシリーズは、国内PCのBtoB市場に新たな旋風を巻き起こしそうだ。
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