ゲーミングPCのジャンルにおいてサードウェーブのGALLERIAは、誕生から20年以上にわたり市場をリードしてきた。最先端のテクノロジーによるハイエンド・ハイパワーを追求するとともに、数年前からリブランディングに注力。ゲームだけでなく、個人のさまざまな創作活動の“相棒”となる体験価値を高めているのだ。執行役員であり製品・マーケティング統括本部の統括本部長である西村祐典氏にその戦略を聞いた。

「ファイナルファンタジーXI」の推奨モデルづくりが誕生のきっかけ

　今では「ゲーミングPC」と聞けば、どんなマシンを指しているのか、多くのコンシューマーが理解するようになった。要は事務用途のPCよりも高い性能を有し、美麗で高精細なグラフィックが求められる場面でもストレスを感じることなく動作するPCのことだ。このゲーミングPCというジャンルを確立してきたのがGALLERIAである。同ブランドが誕生したきっかけは02年にまで遡る。
 
　「当時の世の中では、スクウェア・エニックスが開発したオンラインゲーム『ファイナルファンタジーXI』が世界的なブームを巻き起こしていた。その最中でユーザーからは『どのPCを選べばよいのかわからない』という問い合わせを頻繁に受けていた。そこで思い立ったのが、『このマシンを買えばすぐにファイナルファンタジーXIを快適に楽しめる』という推奨モデルづくりだ。そして04年にGALLERIAが誕生した」と西村氏は振り返る。

　ちなみにGALLERIAとは「ギャラリー」を意味するイタリア語で、「皆が集まって楽しめる場」という思いが込められている。

　その後、各メーカーからもゲーミングPCと称するモデルが数多く販売されるようになったが、「競争が激化する中でもGALLERIAはゲーミングPCのトップランナーとして20年以上にわたり市場をけん引し、多くのユーザーから高い支持を受け続けている」と、西村氏は変わらぬ自信を示す。
 

ハイエンド・ハイパワーなゲーミングPCを最短で翌日に出荷

　ゲーミングPCにとって最も重要なキーワードは「ハイエンド・ハイパワー」であり、サードウェーブはGALLERIAのパフォーマンスを追求し続けてきた。「特にCPUとGPUは最新テクノロジーをTime to Marketで搭載し、他社より先行することを基本路線としている」と西村氏は言う。

　もちろん品質面についても一切妥協はない。筐体内部の冷却性や静音性は特に注力して設計しており、長時間にわたるゲームプレイでもGALLERIAは快適な稼働を安定して続けられる。

　さらに特筆すべきが、他メーカーを圧倒する短納期だ。BTOのPCは通常なら注文してから早くても1週間程度、海外生産のものではそれ以上の納期を要する。これに対してGALLERIAの場合、7割程度の機種は注文から最短で翌日に出荷される。「見込み生産を行った在庫品ではなく、フルカスタマイズの場合でもこの短納期を維持している」と西村氏は強調する。こうした工夫によりGALLERIAは、ゲーミングPCで求められる、長時間ハイパフォーマンスを維持し続けるという、顧客の求めるニーズに応え続けている。

届いた瞬間からワクワク感が高まるリブランディングを推進

　もっとも、GALLERIAは今日までに「コアゲーマーのための尖ったマシン」というイメージが築かれ、その印象がユーザーの間でも定着した。しかし、ゲーミングPCのユーザーは必ずしもゲームだけに利用するわけではない。グラフィック制作やDTM（Desk Top Music）などの創作活動、あるいは動画サイトの視聴に利用する時間も長い。拡大するゲーミングPC市場でGALLERIAがトップランナーであり続けるためには、こうした幅広いユースケースをマーケットインの発想で捉え、製品づくりに生かしていく必要がある。

　「そこで私たちは数年前からGALLERIAのリブランディングに取り組んでおり、ユーザーの、より良い“相棒”となる体験価値を高めていこうとしている」と西村氏は語る。端的に言えば「持つことに喜びを感じられるPC」の提供だ。例えばテーマパークを訪れたとき、ゲートをくぐった瞬間から夢の世界に引き込まれるだろう。これと同様に、GALLERIAも届いたその時点から“ワクワク感”を高めることを目指しており、ダンボール箱にもユーザーに向けたメッセージを織り込むなど、新たなこだわりを見せている。
 
　今後は個人レベルで生成AIを活用するユーザーが増加すると予想され、GALLERIAはゲーミングPCならではのハイエンド・ハイパワーを生かした独自の世界観を築きつつ、多様なニーズに応えていく考えだ。