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両備システムズ 自治体システム標準化後を見据え、民間事業拡大を本格化 「ともに挑む、ともに創る。」両備システムズの共創DX
2024/08/29 09:00
週刊BCN 2024年08月26日vol.2027掲載
さらなる成長のために数年で土台を固める
同社は、1965年に開所した岡山電子計算センターを源流とする歴史ある企業で、業種業務に特化したソリューションや、クラウドサービス、セキュリティーなどを提供している。代表的なソリューションを挙げると、自治体職員向けグループウェア「公開羅針盤」や健康管理システム「健康かるて」など、公共系が多い。同社は今後、民需系の事業も拡大していく予定だ。その背景にあるのが、同社が出している長期経営計画「2030年度に売上高500億円目標」である。「自治体システムの標準化後は当社の公共事業が減少すると予測している。その後も会社として成長し続けるには民需系の事業を伸ばしていく必要があり、それを見据えてここ数年で民需系の土台を固めたい」と小野田氏は説明する。
もちろん従来の公共系ソリューションも継続していく。24年1月に発表した中期経営計画では、これからの3年を浸透・推進期と位置付けて、既存事業の拡大に加えて、ベンチャーとの協業による新規事業の立ち上げを図ることを目論んでいる。その上で、同社のさらなる強みとして民需系も確立していく構えだ。
各業界にソリューションを展開、海外展開も視野に
民需系として同社が現在打ち出しているソリューションの一つが、アパレル向け基幹ERPシステム「Sunny-Side」である。生産管理から店舗管理、販売管理まで、ファッション・アパレル企業で求められる機能をオールインワンで提供するのが特徴で、22年にリリースした。同社が本社を置く岡山県は学生服の出荷数が日本一で、地元企業も導入しているという。そのほかにも物流向け各種システムを注力ソリューションとして拡大・強化を図っている。「これまで開発したシステムをパッケージ化して全国展開することで、SI系直販ビジネスからプロダクト系ビジネスへのシフトを進めていく」と小野田氏は説明する。
また同社は海外展開も視野に入れている。19年にRyobi Laoをラオスに設立して、23年に日本の総務省よりラオスのデジタルID調査事業を受託し、24年3月に完了して海外進出の手応えをつかんだところだ。
新規ビジネスも開発中である。これまで取り組んできた医療分野に、AIを活用したシステム開発を複数並行して進めており、岡山大学と開発した早期胃がんの診断支援システムは24年3月に医療機器製造販売承認を取得した。
カーボンニュートラルに向けた準備にも着手しており、両備システムズグループではGHG排出削減量の目標を13年から30年で約50%と定め、将来を支える新規ビジネスとして計画の準備を進めている。
最新の取り組みを共有し、新たな共創へつなげていく
両備システムズの強みや最新ソリューションを知る絶好の機会となるのが「両備共創DX2024」だ。24年9月3日・4日に、東京駅からすぐのJPタワーホール&カンファレンスで開催する。基調講演も予定しており、初日は青山学院大学の陸上競技部監督として有名な原晋氏がチームビルディングについて講演する予定だ。そして2日目には脳科学者の中野信子氏が脳科学の視点からのAI活用について解説する。会場では「クラウドサービス」「DX業務ソリューション」「カーボンニュートラル」「セキュリティー」という四つのテーマでさまざまなソリューションが展示される。なお、共創パートナー各社のソリューション紹介や会場での講演動画は後日オンライン配信を行う予定だ(リアル開催のみの講演もあり)。
小野田氏は「私たちは真心からの思いやりと確かな技術力で社会課題を解決し、想像もつかないような未来や世界を創出していきたいと考えている。それは私たち1社では実現できず、お客様やパートナーの方々と一緒でなければ成し遂げられないことだ。4回目となる共創DXにぜひ足をお運びいただきたい」と強く語る。
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