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アカリンク 現場課題を解決して生産性を10倍上げるDXをV3Sサイクル・ECRSの原則・SMACITで実践

2024/08/08 09:00

週刊BCN 2024年08月05日vol.2025掲載


 BCNセッション(特別講演)「現場の課題を解決して『生産性を10倍上げる』DXの実践方法」では、DX支援パートナー・アカリンク代表社員の相馬正伸氏が企業の生産性を高めるための具体的なDX実践方法について詳しく説明した。

DX支援パートナー
アカリンク 代表社員
相馬正伸氏

 相馬氏はまず、あるコンサルタント企業の調査結果を基に「日本企業のDX化は86%が失敗している。つまり、成功率は14%に過ぎない」と説明。その要因として、深刻な人材不足のほかに、日本企業がDXの本質を理解していないことがあると指摘した。「DXの本質は、データとデジタルを活用して継続的にビジネスを変えて競合に勝てる仕組みをつくることだ」と相馬氏。ITはそのための道具に過ぎないと強調した。

 その上で、「データ活用をしていない人の3Kとして、勘(Kan)に頼る、経験(Keiken)で判断する、感情(Kanjyo)に左右される、がある」と紹介。データを活用するにはデータを参照する必要があり、そのためにはデータを入力して蓄積しなければならないと説いた。

 では、DXはどのように始めればいいのか。相馬氏は身近な課題を「V3Sサイクル」という技法で解決してみるとよいと勧める。V3Sサイクルとは「visualize(見える化する)→segmentailized(細分化する)→specify(特定する)→systematization(システム化する)」を回していく仕組みを指す。課題がある業務をこのサイクルで細分化してから業務フロー図として可視化すれば、アナログな部分や非効率な部分を洗い出して課題を解決できるという。

 次に、業務効率化に寄与するアイデアを考え出すための技法として相馬氏は「ECRSの原則」についても言及。良いアイデアを導き出すには「排除(eliminate)→結合(combine)→交換(rearrange)→簡素化(simplify)」の順に現行の業務を見直していくのがコツだという。

 このようにして探し当てた要改善点にアイデアを適用するにあたっては、さまざまな最新テクノロジーの中から何を選ぶかも重要なポイントとなる。一般企業の場合、すべてをキャッチアップして理解するのは現実的ではないからだ。特に重要なテクノロジーとして相馬氏が挙げるのは、「SMACIT」で表されるソーシャル(S)・モバイル(M)・アナリティクスやAI(A)・クラウド(C)・IoT(IT)の五つ。「ある全国規模の小売店では、本社で毎月行っている証憑整理業務をこのやり方で改善することによって、99%の自動化を達成できた」と話し、成長に向けて企業は今すぐにでもDXに取り組んでほしいと呼びかけた。
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