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日立ソリューションズ 契約業務の課題は「脱ハンコ」から「契約プロセス全体の最適化」へ Docusign CLM の最適な導入を実現する日立ソリューションズの技術力

2024/08/01 09:00

週刊BCN 2024年07月29日vol.2024掲載

 システムインテグレーションで長年の実績を持つ日立ソリューションズは、全体最適の視点で多種多様なプロダクトやソリューションを組み合わせ、システム構築からサポートまで包括的に手掛けることを得意としている。近年は“脱ハンコ”の流れでドキュサインの電子署名サービス「Docusign eSignature(eSignature)」を扱ってきた。今回、新たに契約プロセス全体を管理する「Docusign CLM(CLM)」の取り扱いを開始する背景や狙いについて、日立ソリューションズの濱田智孝・本部長に聞いた。

※CLM:契約ライフサイクル管理

いまや“脱ハンコ”の電子署名だけでは足りない

 日立ソリューションズとドキュサインの関係が始まったのは2017年、契約書への署名を電子化するDocusign eSignatureを取り扱ってからだ。転機となったのは20年からのコロナ禍。感染拡大防止のために多くの企業が在宅勤務へと移行するに際し、書類へ押印する業務を抱えていると出勤せざるを得ないことから、それを解消するべく電子署名が一気に普及した。
 
日立ソリューションズ
濱田智孝
スマートライフソリューション事業部
スマートワークソリューション本部 本部長


 濱田本部長は「在宅勤務の浸透で”脱ハンコ”の流れが起き、お客さまにソリューションを提供するだけでなく、日立製作所にもeSignatureを導入し、日立グループの”脱ハンコ”が加速した」と振り返る。日立製作所へ大規模導入した経験から、導入や運用のノウハウも蓄積できたという。

 数年がたち、電子署名は多様なかたちで発展している。デジタル化を進める法改正が続き、不動産契約や雇用契約など電子署名が可能な契約が増え、適用領域が広がった。そのような流れがあり、当初は必要に迫られて電子署名だけをピンポイントに導入する企業が多かったが、現在では契約業務全般を見直す企業が増えている。

契約業務に関する全タスクを管理・可視化し業務の改善へとつなげるDocusign CLM

 契約にまつわる業務は契約書の作成にはじまり、社内レビュー、取引先との交渉などへ続き、無事に契約を締結した後も契約履行確認や文書管理を行う必要がある。実際に、契約書のレビューや交渉をメールで行い、複数のステークホルダーが混在する中で、古いバージョンの文書を契約に用いていたり、契約締結時の担当者が不在になることで、実際の契約内容が正しく順守されているかどうかを管理できていなかったり、そもそも契約書が探せなかったりなどの問題が起きるケースは珍しくない。
 

 そのような契約業務の属人化を防ぎ、契約業務のプロセス全体をデジタルで管理するソリューションがCLMだ。

 CLMは、契約書作成、契約先との交渉、社内審査、契約締結、契約管理までの契約ライフサイクルを構成するすべてのタスクをトータルにサポートするシステムだ。高度なワークフローで業務フローを柔軟に自動化し、契約締結までのすべてのデータをCLM上に集約し可視化することで、業務フローを定量的に評価し、PDCAを回すことができる。海外製のソリューションだが、もちろん日本の法律にも対応済みで、契約基盤を構築するのに必要不可欠なソリューションだ。

 日本での本格提供の開始を発表したのは23年8月であるため、CLMの本格普及はこれからとなる。

 「まずはeSignatureを導入しているお客さまに向けて『契約前後にある社内レビューや契約履行確認などの非定型で属人的な業務をCLMで管理してみてはどうか』と勧めたいと考えている。世界の市場で磨きあげられたテンプレートやベストプラクティスがすでに備わっているのがCLMの魅力だ」と濱田本部長は話す。

日立ソリューションズの強みを生かして提供に努める

 すでに海外で普及しているCLMは、SalesforceやMicrosoft、SAPが提供するビジネスシステムとの親和性が高い。連携も容易で、既存のビジネスシステムの運用を大きく変えることなくCLMの導入が可能だ。対して日本は独自のシステムを運用している場合が多い。既存システムとの連携で開発が必要になれば、それこそSIerとしての日立ソリューションズの強みが生きてくる。同社であればCLM単体の導入だけでなく、SalesforceやMicrosoft、SAPが提供するビジネスシステムとの連携やセットでの導入、さらには全く異なる既存システムとつなぐための開発も可能だ。

 同社はこれまでCLMに近い業務領域のソリューションを手掛けてきた。「これまでの知見を活用しつつ、契約プロセスを最適化する方法を企業ごとに考えて、それをシステムに落とし込んでいる。CLMはそれをノーコード・ローコードで実現できるため、ソリューションの価値を迅速に提供することが可能だ」と濱田本部長は自信を見せる。

 CLMは、契約書の数が多い業務や契約のプロセスが複雑な企業でその効果を発揮する。「契約プロセスの電子化や標準化をサポートすることで、お客さまのビジネスの加速に尽力していきたい」と、濱田本部長は今後の目標を語る。
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外部リンク

日立ソリューションズ=https://www.hitachi-solutions.co.jp/

ドキュサイン・ジャパン=https://www.docusign.com/ja-jp