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SECURITY BUSINESS対談 ネットワンパートナーズ 取締役執行役員 岸上要太氏 × シスコシステムズ 執行役員セキュリティ事業担当 石原洋平氏 「安全に、快適に、シンプルにつなぐ」を実現するSASEサービスを提供

2024/07/25 09:00

週刊BCN 2024年07月22日vol.2023掲載

 ITインフラがより複雑化する中で、従来の境界型セキュリティーからゼロトラストへとトレンドが変化。SASE(Secure Access Service Edge)のようにネットワーク(NW)とセキュリティー(SEC)を一体化するアーキテクチャーが求められる一方、その運用に追いついていない現場の課題も出てきた。シスコシステムズの石原洋平・執行役員セキュリティ事業担当と、ネットワンパートナーズの岸上要太・取締役執行役員が、「シスコセキュリティ」の強みや拡販に向けた取り組み、パートナー支援をテーマに幅広く意見を交わした。

SECとNWは一体で考える脱・パッチワークは必須

岸上 コロナ禍を経てリモートワークが当たり前になり、働く場所も広がりました。クラウドの活用も進み、データの場所も社内から社外へと拡大・分散。生成AIが社会や働き方に与える影響も相当なものです。こうした状況からも今、ITインフラは大きな転機を迎えていると感じます。
 
ネットワンパートナーズ
取締役執行役員
岸上要太氏

石原 ITインフラの重要性がより高まり、ネットワークを流れるトラフィックも変化したことで、ITインフラのデザイン自体が変わりました。セキュリティー対策をすべき対象も広がり、SECとNWは分けられないという考え方が浸透。従来の境界型セキュリティーからゼロトラストへと、トレンドの変化が本格的に到来していると感じています。
 
シスコシステムズ
執行役員セキュリティ事業担当
石原洋平氏

岸上 お客様と会話をしていると、「ソリューションの数が多い」「パッチワークになって大変」「どこまで対策しなければならないのか」という話が本当に多い。セキュリティーソリューションの乱立がパッチワークを誘発しており、非効率を生み出していると感じます。

石原 セキュリティーベンダーは世界で約3600社あり、ユーザー企業1社あたり45ものセキュリティーツールを使用していると言われます。製品同士のコンフリクトが発生するなど、お客様はもちろん、製品を扱うパートナーの方々にとっても大きな負荷です。シスコとしてはシングルベンダーを提案したいと思いますが、現実的ではないのでできるだけシンプル化するべく、セキュリティープラットフォーム戦略「Cisco Security Cloud」を打ち出しました。エコシステムも重視しており、先日の「Cisco Live 2024」でも示したように、米Microsoft(マイクロソフト)、米Google(グーグル)、米Apple(アップル)に加えて、弊社競合のセキュリティーベンダーとも連携したマルチベンダー対応を進めています。シスコが間に入ることで繋ぎやすく、マルチでもシンプル化でき、お客様にとってベストな構成のソリューションが実現可能になります。

岸上 ディストリビューターの立場からもマルチベンダー対応は重要で、当社独自の価値を出すため競合比較などを行いますが、シスコさんはどこまでをベストとして、マルチベンダー対応をされるのですか。

石原 セキュリティーとネットワークは一体でと言いましたが、エンドポイント、ネットワーク、クラウドの中で、何が起きたのかを連動して見る必要があります。各ポイントにセキュリティーベンダーのセンサーがありますが、それらを一元的に参照できることが大切で、その相関分析をしましょう、というのが最近のシスコのメッセージです。

岸上 各ポイントを跨いで競合製品も含めてトータルにカバーできる点が大きな強みということですね。ここ数年、他のメーカー経営陣と会うたびに、各社のセキュリティー強化の方針を強く感じておりました。シスコさんがこのタイミングでセキュリティーソリューションを強化されている背景には、何か戦略があるのでしょうか。

石原 成長戦略における「全てをつないで守る」という動きの中で、AIとセキュリティーに注力しています。世界中のリーディングカンパニーから人材を集めてオールスターが集結しているのが、Tom Gillisが率いるセキュリティービジネスの開発陣です。買収も積極的に進め、昨年、買収および買収表明をした12社のうち、7社がセキュリティー関連企業です。サイバーセキュリティー分野にこの数年で数兆円規模の投資をしています。

「安全に、快適に、シンプルにつなぐ」を追求

岸上 お客様のIT部門はネットワークを理解した上でセキュリティー対策をしなければならず、かつ保護の対象となるITインフラが拡大し続けており、本当に大変です。マルチベンダー検証にあたり、当社ではエンジニアたちが率先して多くの製品をテストし、比較していますが、中でも今、市場から一番熱い視線を向けられているソリューションの一つが「Cisco SASE」です。

石原 SASEやSSE(Security Service Edge)では、ネットワークとセキュリティー、クラウドをカバーする技術要素が多岐にわたるため、現在、世にあるSASE・SSEのサービスは、これらを一体で満足に提供できず、お客様にとって「帯に短し襷に長し」の状況です。シスコはその課題を解決して、お客様が本当に求める「安全に、快適に、シンプルにつなぐ」を追求する、次世代型SSE「Cisco Secure Access」を2023年秋にリリースしました。拠点やリモートでも、またクラウドやレガシーにおいても、どんなアプリケーションにも対応し、VPNなのか、ZTNAなのか接続方式を意識せず「つなげばつながる」を提供します。シスコの世界最大規模のセキュリティー研究機関「Talos」の知見も無償で組み込まれており、常に最新の脅威対策を利用できます。

岸上 ネットワークデザインを意識したセキュリティー対策は重要であり、インストールベースで多くの製品を持つシスコさんならではの大きな強みですね。

石原 最近は、本来のSASEとして、SD-WANも含めてSASEをつなぐ話も増えています。その点でも、複雑な要素でバラバラな管理になりがちなところを、シスコはシングルエージェント、シングルダッシュボードで提供できます。

岸上 ネットワンパートナーズはCisco SASEにはかなり注力しており、パートナー様から説明の引き合いが一番多いのがこのコンテンツです。特に「Cisco Secure Connect/Cisco Secure Access」に関しては、本年度立ち上げた「シスコセキュリティ専任チーム」が他社よりいち早く製品化を完了させ、昨年開設したイノベーションセンター(netone valley)も活用し、お客様向けの販促支援やSE向けのハンズオントレーニングを実施しています。実環境と同様の実機を使用して検証できることが、特に好評を得ています。

高度な分析基盤を提供 パートナー支援にもAIを活用

石原 セキュリティーは個々の対策だけでなく、最終的にはあらゆる場所に伸びたネットワークからテレメトリーで情報を収集した上で、何が起こっているかの推測が必要になります。

岸上 オブザーバビリティーですね。だからこそ、ネットワークのトータルでの信頼性や安全性、堅牢性を考えることが重要で、その観点だと、先日買収された米Splunk(スプランク)の話にもつながるわけですね。

石原 「Splunk」とシスコの連携は、更なる進化で今後より経済的で高度な分析処理を提供していきます。加えて、先日発表したセキュリティアーキテクチャー「Cisco Hypershield」は、「AIネイティブ」「クラウドネイティブ」「高度な分散処理」を柱としています。Hypershieldでは、eBPFと呼ばれるOSカーネルをコントロールするクラウドネイティブ技術や、第三のプロセッサーとして注目されているDPU(データプロセッシングユニット)によるハードウェアアクセラレーションなどの最先端技術とAIとを組み合わせることによって、すべてのクラウドを横断してアプリケーションやネットワーク動作の異常を分析、対応します。Cisco Security Cloudに組み込まれ、24年8月に提供を開始する予定です。

岸上 いまお話のあったSplunkやCisco Hypershieldに関してはパートナー様からの関心も高く、当社でもナレッジ収集、技術習得を進め、パートナー様へご紹介できるよう動き始めています。また、当社にはTechDeskというパートナー様からの質問に対して背景をくみ取って解決策を提示する技術支援部門がありますが、この部門でもAI活用の模索を開始しています。将来的に国内随一のナレッジやノウハウを持ち、シスコ製品およびその関連ソリューションに特化したAIエキスパートの提供を目指しています。

石原 シスコはAIにも大規模投資をしていて、既に多くの製品に機械学習やAI Assistantが実装されています。例えば、初中級のエンジニアであってもAIにより、ある程度脅威検知や脆弱な箇所の把握ができるようになり、技術の習熟が早まるという期待もあります。ただ、AIも100%正しいわけではなく、最終判断は人です。

岸上 今、当社に対してシスコセキュリティの相談や引き合いが格段に増えています。日本市場では、他社のソリューションと比較した場合のシスコへの期待値やソリューション自体の理解が高まっていると感じています。当社ではこのトレンドを捉えて、国内パートナー様が素早くデリバリーできるよう、しっかり支援していきます。

石原 次世代インフラを支援させていただくにあたり、われわれメーカーだけでは十分な対応はできないため、プロフェッショナル集団であるネットワンパートナーズ様と一緒に、お客様にとって最も「安全で、快適で、シンプルなプラットフォーム」を提供していきたいと思います。
 
 
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外部リンク

ネットワンパートナーズ=https://www.netone-pa.co.jp/

シスコシステムズ=https://www.cisco.com/site/jp/ja/