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顧客との共創活動を推進していく「RICOH BIL TOKYO」 リコーから見たShure製品の魅力とは
2024/07/12 09:00
Shureはまもなく創業100年を迎えるグローバル音響ブランドで、特にマイクロホンの分野では今なおトップリーダーを走り続けている。近年は会議や授業向けに高品位な音響製品を数多く提供しており、リコーが顧客へ提供する多様なソリューションの一翼を担っている。
RICOH BIL TOKYO誕生の経緯やそこでShure製品が担う役割、リコーとShureの組み合わせで実現できるソリューションやその革新性、そしてリコーが注目するShureの新会議テクノロジー「ボイスリフト」などについて聞いた。
OA機器メーカーからデジタルサービス企業への変革を進めるリコー
1936年の創業以来、常に顧客の「はたらく」に寄り添い続け、多岐にわたる事業を展開してきたリコー。最近はデジタルサービスへの移行を加速させている。従来の複写機メーカーとしてのイメージから脱却し、デジタルサービスを提供する企業としての変革を進めている最中だ。「リコーは1977年に『OA(オフィス・オートメーション)』を提唱しました。以降、機械にできることは機械に任せ、人はより創造的な仕事に集中する世界を一貫して目指してきた。そして現在、時代とともに働き方が変化しデジタル化が進む中、新たな価値を創出するためには自分たちの既存領域を超え、進化を続ける必要があると捉えている」と、リコーの菊地英敏ゼネラルマネージャーは説明する。
企業のオープンイノベーションや共創を1つの拠点で実現する「RICOH BIL TOKYO」
デジタルサービス企業への変革を進めるリコーでは、顧客企業とリコーが対話しつつ新たな価値を創出する場として「RICOH BIL TOKYO」を設けている。2018年9月に田町で開設されたRICOH BIL TOKYOだが、当時は16坪ほどの広さしかなかった。しかしその限られたスペースでも可能性を十分に実感したため、リコーはより充実した場所への移転を決定。そして今年2月1日に品川シーズンテラス18階でリニューアルオープンした。新たなRICOH BIL TOKYOは旧施設の約20倍にもなる約1000㎡の広さを持つ。
ここには顧客企業の経営者と試行錯誤を行うワークショップルームと、そこで得たひらめきを練り上げていくプロジェクトルームが各2室設けられている他、実際にハードウェアのプロトタイピングを行うファブラボも併設されており、全プロセスがこのRICOH BIL TOKYO内で完結できる。最新のAI技術も活用しながらリコーが伴走支援し、本質的な部分における課題解決や新たなビジネスを共創していくことこそがRICOH BIL TOKYOでの目標だ。
顧客企業とリコーがパートナーシップを築き、コラボレーションを継続して、企業間の垣根を越えたコミュニティへと成長していくために重要なのは「対話」だと、RICOH BIL TOKYOの構想を自ら描いて会社に提案し、実現へと漕ぎ着けた菊地ゼネラルマネージャーは語る。
「相手が発する一言から新しい気付きや問いを見出し、それを基に新たな問題を見出して共に解決へと導いたり、また新たな価値を共に創り上げたりするためのビジネスデザインを実践したりしていくことが我々のミッションだ。
リアルとリモートの参加者に一体感をもたらすSHUREのシーリングアレイマイクロホン
RICOH BIL TOKYOでは、最新のテクノロジーを駆使してハイブリッドなコミュニケーション環境を提供するための一環として、Shureのシーリングアレイマイクロホンを「Climbers Lounge」に設置した。シーリングアレイマイクロホンは天井に設置する集音マイクのことで、狙った参加者の発言を、離れた天井から高精度で捉える。この分野においてShureはパイオニアであり、群を抜く性能を提供している。主に顧客企業の経営層を迎えて対話する場所であるClimbers Loungeは、このシーリングアレイマイクロホンがあることで高品質なリモート参加にも対応できているのだ。
近年はリアルでの参加者だけでなく、リモートでの参加者もいる会議が一般的になっている。「そのような状況を踏まえ、リアルとリモートの参加者が最新のデジタルテクノロジーなどを活用しながらシームレスにコミュニケーションできるオフィスづくりを支援するのが、我々の使命でもある。ハイブリッド環境の実現にShureのシーリングアレイマイクロホンは理想的なソリューションだ」と、リコージャパンの平田佳之リーダーは言う。
このマイクロホンは8つの収音ビームで発言エリアをカバーするため、どのビームで収音されているかによって発言位置を特定でき、その方向にカメラを向けることも可能だ。カメラは発言者へ自動的にフォーカスされるため、発言者の声をクリアに拾うと同時に、リモート参加者に臨場感のあるリアルな会議体験を提供できる。
「こうした機能を最大限に活用することで、リアルの参加者がマイクやカメラの位置を気にすることなく、自然なかたちで対話を進められるようにしている。リアルな参加者とリモート参加者が同じ空間にいるかのような感覚を持てるようになり、参加者が一体となって課題に取り組むための環境が実現する」(平田リーダー)
常に変化し続ける場としてShureと共に歩んでいきたい
Shureのソリューションについて菊地ゼネラルマネージャーは、Shureとの最初の出会いを振り返りつつ、同社をこう評価する。「旧施設でShureのシーリングアレイマイクロホンを設置したのが始まりだった。唯一無二の収音性能はもちろんのこと、天井と一体となるそのスタイリッシュさに何よりも衝撃を受けた。『点火する』『目覚める』『呼び起こす』といった意味を持つ『イグニッション・グリーン』をブランドカラーとするShureのフィロソフィーも我々と相通じるものだ。もちろん、音の再現性の高さも大いに評価している。特に最近はAIによる文字起こしなどのニーズが高まっており、その精度を支えるためにもShure製品は欠かせない」平田リーダーも深く頷きながら語る。「緊張とリラックスの間で来場客に驚きを与えて、いかにして来場客をこの空間に馴染ませるかを我々は日々考えている。Shureが持つデザイン性と機能性のバランスは、この場所の狙いと非常に合致しており、それが大きな魅力だ。Shureの製品ラインアップを見ても、多様なニーズへ的確に応えられるように工夫が凝らされているなと感心する」
この言葉を受けてシュア・ジャパンの硲夏希シニアマネージャーは、感謝の意を示しつつこう述べる。「Shureはどこまでも高性能を追求していくのはもちろんのこと、大事なのは性能が生み出す体験であると考えている。冴えわたるような心地よくクリアな音と同時に、ユーザーの期待を超えるソリューションを提供することで、それまでは想像しなかったような利便性や体験が当たり前になっていく。優れたハイブリッドミーディング環境に代表されるような、常に新たな『当たり前』を音で実現していくところは、確かにリコーが推進する価値創造と通底する」
リコーが注目するボイスリフト Shureのテクノロジーで最先端のニーズに応えていく
菊地ゼネラルマネージャーと平田リーダーが現在特に注目しているのが、Shureの高品位な製品で実現する「ボイスリフト」である。これは補助拡声とも呼ばれ、シーリングアレイマイクロホン、オーディオプロセッサー、天井埋込型スピーカーを利用し、広い会議室内で距離によって肉声が届かないエリアだけを補う新しい拡声方式だ。従来のようにプレゼンターの声を大音量で再生するのではなく、プレゼンターも参加者の発言も、まるですぐ近くで肉声を聞いているかのように自然に聞き取ることができる。現在はこのボイスリフトとWEB会議システムを同時に採用し、広い会議室内のコミュニケーションだけでなく、リモート参加者や他拠点の参加者も含めて全員が平等に会議へ参加できる環境を整えるケースが多い。平田リーダーは「参加者同士の距離感を劇的に縮める画期的なテクノロジーだと大いに注目している。今後はリコーのソリューションと組み合わせて顧客へ積極的に提案していきたい」と語りつつ、「最先端のニーズを捉え続け、それに応える新しいテクノロジーを取り入れていくShureの積極的な姿勢は、我々のパートナーとしてとても心強い」と評価する。
これを受けてシュア・ジャパンの松宮健二マネージャーは「『やりたいこと、できることがあれば、それを実現する新しい技術を生み出していく』というがShureであり、ボイスリフトはその好例かもしれない。さらに効果的に活用いただけるように協力させてほしい」と述べる。
「どんなに時代やテクノロジーが進化しても、顧客が実現したいことを的確に捉え、その上でしっかりと提案し、新しい価値を提供できる空間であり続けたい。そのためには、常に変化し続けながらこの施設を“生き物”とすることが重要であり、そこに向けた道をShureとなら共に歩んでいけると期待している」と、最後に菊地ゼネラルマネージャーはこれからのRICOH BIL TOKYOにおける展開を熱く語った。
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