Special Issue
日立システムズ 企業のDXを実現するマネージドサービス パートナーとの協創や生成AIの活用により「Hitachi Systems Managed Services」のサービスを拡充
2024/06/20 09:00
週刊BCN 2024年06月17日vol.2018掲載
日立システムズから見たDX実現の課題
リモートワークなど働き方の変化やクラウドシフトによるモダナイゼーションが進む一方で、サプライチェーンを含む標的型攻撃による機密情報の漏えいやランサムウェア被害の増加など、セキュリティーの脅威は深刻化している。今日の企業はITシステムを取り巻く環境の急速な変化に対応しながら、同時にDXにも取り組まなければならない。同社は、そんな企業の課題解決に対するソリューションを提供している。同社は、幅広い規模・業種のシステム構築をはじめ、ネットワークやセキュリティーの運用・監視センター、データセンター、コンタクトセンター、全国約300カ所のサービス拠点などの多彩なサービスインフラを生かしたシステム運用・監視・保守などをマネージドサービスとして提供し、多くのお客様のデジタライゼーション、モダナイゼーションを支援している。
同社ビジネス&クラウドサービス事業グループビジネスサービス事業部の山坂慶介・副事業部長は「日本の多くの企業はコロナ禍から抜け出して先行きが見えるようになった。さらにインバウンドの追い風も吹くようになったことで投資の機運が高まり、DXの推進を加速しようとしている姿が見えてきている」と語る。
しかし、そのDX実現に悩んでいる企業は少なくない。「いちばん大きな課題はデジタル人財不足。『こんなことができるかもしれない』といったアイデアが出たとしても、実現のための担い手がいない。アイデアの実現方法を考え、実行に移し、さらにDXの実行環境を維持し続ける上では、どの企業も少なからず課題を有している」(山坂副事業部長)
DX実現を支援する「Hitachi Systems Managed Services」
デジタル人財不足の課題を解決したい企業に、DX実現の道筋を照らし、ともに歩むのが、同社のマネージドサービスHitachi Systems Managed Servicesだ。このHitachi Systems Managed Servicesは三つのサービス群で成り立っている。サービス群の一つ「SHIELD」は、セキュリティー構築・監視・運用を行うサイバーセキュリティーソリューションだ。それに加え、マルチクラウド環境やネットワーク、データセンターなどの構築・監視・運用を行うマルチクラウドソリューション「Gateway for Business Cloud」も二つめのサービス群として提供している。そして三つめが、業務運用を支援するコンタクトセンター(CC)・BPOソリューション「CC&BPO」だ。
これらのサービス群に共通して備わっている特徴は以下の通りである。
・日立システムズグループがこれまで培ってきた事業ドメインのナレッジ提供
・プロフェッショナル人財による高信頼なシステム運用の実現
・AI活用による業務の自動化・効率化
・アライアンス強化・拡大による最新テクノロジー活用でのエコシステムの実現
その中でも「事業ドメインのナレッジ」がもたらす価値について、同グループアライアンス・サービス事業部の大野哲史・副事業部長は次のように語る。
「各サービス群を構成する数十種類のサービスから適切なパターンの組み合わせを選択するため、各業種・業界のガイドラインなどにあらかじめ準拠しながらDXを実現でき、業務システムの品質維持や向上が見込める。一般にシステム部門と業務部門ではスピード感に大きなギャップがあることが多く、運用の安定性を重視するためにシステム部門は新たな技術に対して慎重になりがちだ。導入から運用・保守までワンストップでサポート可能なHitachi Systems Managed Servicesであれば、システム部門はDX実現に向けた業務を安心して推進できるだろう」
「Hitachi Systems Managed Services」の活用でもたらされる具体的成果
このHitachi Systems Managed Servicesが効果を発揮するのは、以下のような場面である。・サイバーセキュリティーのコンサルティングから導入支援、24時間365日監視運用までトータルで依頼したい
・ITを活用したクラウドを含めた基盤環境・運用検討、選定が煩雑。また、クラウドやセキュリティーの技術者や知見が不足している
・業務プロセスを改善したいが、どう進めたらよいかわからない
以下からは実際の導入事例を紹介していく。
同社によるソリューション「日立 自治体ソリューション ADWORLD」を活用している愛媛県今治市は、外部インターネット接続によるサイバー攻撃対策強化に向け、「セキュリティ統合監視サービス」のベースとなるSOC(Security Operation Center)サービスとその対策基盤となるEDR(Endpoint Detection and Response)を統合したサービスを導入した。これにより約1700台のPC端末を未知の脅威から守り、セキュアかつ利便性の高いIT環境を実現している。なお本サービスの導入作業は、地場のITベンダーと同社の協力体制のもとに推進された。
「24時間365日の監視対応が付随したEDRサービスであり、セキュリティー専門家による分析や提言が心強いということばもいただいている。Hitachi Systems Managed Servicesのサービス群『SHIELD』でお客様の課題解決に伴走した事例だ」(山坂副事業部長)
「アパレルカンパニーから、グッドコミュニティ共創カンパニーへ」を掲げているアダストリア社は、国内外で30ブランド以上、1500店舗近くを展開するファッションカジュアル専門店チェーンだ。目まぐるしく変わり続ける経営環境に対応するため、同社は業務を支えるITインフラの刷新に着手。オンプレミスやデータセンター、各社が提供するメジャークラウドを適材適所に組み合わせたマルチクラウド環境を構築した。
「国内の店舗や支店では『Amazon Web Services*』、中国事業向けには『Alibaba Cloud』を採用している。当社は『Gateway for Business Cloud』のサービスで、クラウド環境や国内外拠点をつなぐネットワークを構築し、保守・運用は海外グループも活用して一元的に担っている」(山坂副事業部長)
*Amazon.com, Inc. またはその関連会社の商標です。
また、これまで以上に店舗スタッフが接客対応に注力できるようにして、来店客へより高い品質のサービスを提供するために、国内約1300の全店舗へ「設備メンテナンスサポートサービス」を導入した。これにより、店舗も店舗開発本部も修繕会社も、すべての関係者がスマートフォン1台で修繕業務を推進できるようになった。同時に、月当たり281時間要していた修繕業務工数を47時間に削減し、同社のDX実現を支援している。
「『接客対応を途切れさせることなく、素早い修繕対応が行えるように』という要望に合わせて、業務運用を支援するCC&BPOのサービスでアダストリア社の課題を解決した。今後もさまざまな面からお客様のDX実現に寄り添っていく」(大野副事業部長)
生成AI活用など最新テクノロジーの活用で課題解決を加速
Hitachi Systems Managed Servicesの価値を絶えず高め続ける日立システムズでは現在、コンタクトセンターにおける生成AIの活用に向けた取り組みも進めている。コンタクトセンターはさらなる効率化に向けた取り組みが課題であり、生成AI活用に寄せられる期待も大きい。同社は昨年9月に、定型的な問い合わせや申請受付作業の省力化に貢献する、応対業務自動化AIサービスをリリースした。「これに生成AIを連携させれば、想定外の問い合わせにも対応できる柔軟なシステムにできると考えている。現在はパイロットユーザーとなる企業と個別に応対ナレッジを蓄積している。本年度中でのリリースが目標だ」と山坂副事業部長は語る。
日立システムズとのパートナーリングによるビジネス拡大
企業に対して高い価値を提供するために、同社はHitachi Systems Managed Servicesとパートナーの強みを掛け合わせる協創にも意欲的に取り組んでいる。具体的には、自社アプリケーションのSaaS提供やクラウドのインテグレーションにおける作業効率化手段として同社のソリューションを活用する”販売面でのパートナー”と、サービス群を相互に利用・販売する”協創を実現するパートナー”がある。パートナーに対してはマーケティングとセールスのサポートも提供しており、デジタルマーケティングの推進による新規案件の獲得や創出、デジタルマーケティングを含めたリード獲得から案件確度向上の支援および市場動向の共有を行っている。協創の一例が、インターネットイニシアティブ(IIJ)との事例だ。IIJはクラウドWebホスティングサービスに日立システムズが提供するサイバーセキュリティーサービスを組み込んでいる。一方で、同社はHitachi Systems Managed Servicesの強化においてIIJのセキュリティーやネットワークに関するサービスを活用している。
大野副事業部長は「企業のDX実現支援をよりよいものにし、加速させるにはパートナーとの協創の強化が欠かせない」と強調する。
「DX実現を支援している当社では、さまざまな導入事例を有している。企業や自治体の課題解決やビジネスモデルの変革を当社とともに実現していきたいというベンダーやインテグレーターの方々と、ぜひ一緒に取り組みたい」(大野副事業部長)
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