Special Issue
ビジネスモデル変革を実現するためのローコード開発や生成AI連携機能を実装 簡便かつ迅速なシステム開発をサポート
2024/06/06 09:00
週刊BCN 2024年06月03日vol.2016掲載
DXや内製化を背景にシステム開発 市場でローコード/ノーコードが台頭
多くの国内企業がDXに取り組む昨今、アプリケーション開発には迅速性や手軽さが求められている。その中でローコード/ノーコード開発ツールは欠かせない存在だ。ローコード/ノーコード開発ツールは非エンジニア向けというイメージがあるが、SIerのエンジニアにとっても有用である。特に近年はIT人材が不足し時間も人材も限られており、素早くかたちにすることが求められている。橋場氏は「簡単かつ迅速に開発できればそれに越したことはない。難解で習得に時間を要する技術だと、お客様へのサービス提供時間にも影響してくる」と話す。
多くの事業会社が内製化を進めようとしているものの、社内人材がスキルやノウハウをある程度習得するまでSIerに伴走してもらうケースは多い。そうした環境においてもローコード/ノーコード開発ツールは、初心者にとって扱いやすく、さらに伴走するSIerにとっても支援しやすい。「イントラマートはSIerなどのパートナー企業が使うツールという印象があるが、今ではエンドユーザーから直接問い合わせをもらうこともあり、エンドユーザーの評価でイントラマートの採用が決まることも年々増えている」と橋場氏は話す。
200社以上のパートナーとともに進化を続けるプラットフォーム
イントラマートは業務プロセスの自動化をサポートする機能や、APIコンポーネントなどを多く取りそろえたプラットフォームだ。システム開発を基盤構築やスクラッチから行うことなく、ある程度ベースが整った状態から進められる。そのためユーザーは開発を担う企業や現場が多く、SIerを中心としたパートナー企業と同社が二人三脚で製品開発を進めてきた。同社はNTTデータの社内ベンチャーからスタートし、2000年にスピンアウトするかたちで設立された由来を持つ。NTTデータは大企業の高度なシステム開発を数多く手がけているが、全ての企業が重厚長大なシステム開発を必要とするわけではない。「巨大な体制や投資を設けずとも顧客がITの恩恵を受けられるようにすることがイントラマートの使命だ」と橋場氏は説明する。
Javaのフレームワークをベースとする開発のためのプラットフォームなので、イントラマートは特定の業界や業務にとらわれることなく導入できる。製品全体を概観すると、ローコード開発を支えるツールやAPIコンポーネントからなるレイヤがベースにあり、その上には業務プロセスを自動化するレイヤー(Accel Platform)、さらにその上に業務アプリケーションレイヤー(Accel Applications)がある。顧客は必要なものを選択し、組み合わせることで素早く業務アプリケーションを構築可能だ。今では企業がDXを実現するためのローコードプラットフォームとして注目されている。
ローコード開発や生成AI連携など現場が求める機能を拡充
イントラマートは定期的にアップデートを行い、先端テクノロジーをタイムリーに組み込み続けている。それが長年支持を得られている理由の一つだ。最新版となる2024 Springではローコード開発機能を拡充し、生成AIとの連携も可能となった。どちらもユーザーからの高い要望を取り入れたものである。ローコード開発機能の拡充では、ローコード資材の管理がより便利になり、複数メンバーが関与するチーム開発が行いやすくなるなど生産性向上に寄与するものが多い。具体的に挙げると、「Accel Studio」では自作テンプレートのインポート/エクスポート機能追加で資材を別環境へ移行しやすくなり、ローコードアプリケーション資材もGitで管理できるようになった。「IM-LogicDesigner」ではフロー定義編集画面で排他制御機能が追加され、複数メンバーでの同時開発など昨今の開発スタイルに合わせて機能が改善されている。
今回のアップデートの目玉は、画面開発で使う「IM-BloomMaker」の機能強化だ。これまでの画面編集モードはプログラミングに精通した熟練エンジニアでないと扱いにくかったが、2024 Springからは直感的に扱える画面編集モードが追加になった。この改善により幅広いメンバーが画面編集に関与できるようになる。よりモダンで洗練された画面を開発できるようになるため、エンドユーザーのUX向上も期待できるだろう。これに伴い、すでに開発済みの画面を移行する方法も提供している。
業務プロセスのデジタル化・自動化を実現するBPMでは差配機能を強化することで、ユーザーがより効率的にシステムを利用できるようになった。例えばPMの担当プロセス差配権限が追加されたため、2024 SpringからはPMがBPMの滞留を解決可能だ。またプロセスやタスクの進捗状況も可視化され、BPMが滞りやすい部分を見つけやすくなっている。さらにBPM開発画面から他機能へ遷移する導線も改善された。これからはより円滑に開発を行えるようになるだろう。
生成AIに関連した機能強化もある。新しく加わった「生成AI連携モジュール」(IM-Copilot)により、イントラマートで開発したアプリケーションへ生成AIを組み込めるようになった。例えば文章生成、文章整理、画像生成、音声からの文字おこしなど、生成AIが得意とする機能を既存アプリケーション内で用いることが可能だ。これにより、エンドユーザーはより気軽に生成AIを業務で活用できるようになり、業務効率化や成果物の品質向上、業務コンテンツ生成コストの軽減などが期待できる。なお現時点で連携可能なAIサービスは米OpenAI(オープンエーアイ)の「ChatGPT」と米Microsoft(マイクロソフト)の「Azure OpenAI Service」で、ほかのAIサービスは検討中だ。
イントラマートではAI活用機能を段階的に拡張していくビジョンを描いており、現段階の生成AI連携はステップ1にあたる。
将来のステップ2では、イントラマートの各ツールにAIを組み込み、開発の生産性やUXを向上させる予定だ。画面のパーツが自動配置されるなど、開発体験向上のための生成AI活用を検討している。
さらにその先のステップ3ではAIによる業務アシストやDevOps機能強化などが構想されている。AIが組み込まれた業務アプリケーションが多く開発され、さまざまな業務や業種においてAIによる業務効率化が実現される状態が目標だ。
最新テクノロジーへの追随だけではなくライセンスモデルの転換も実施
同社はテクノロジー動向を見極め、開発現場のユーザーが必要とする先端テクノロジーを製品に実装することに長けている。それは顧客を大切にして、よくコミュニケーションしているためだ。3年前からはユーザー会を立ち上げ、現場の実直な声を製品価値向上に生かすという取り組みもしている。橋場氏は「パートナー企業の先にいる顧客が求めるものに応じることで、イントラマートはパートナー企業に評価してもらっている。今のタイミングだとローコードやAIがそれに該当する」と話す。最新版の機能強化のほかにも、クラウドサービス(Accel-Mart)の内容を強化するなど製品やサービスのモダナイズも積極的に進めている。一方で従来からある精緻にコーディングする機能も残しているため、同じプラットフォームでどちらの開発スタイルにも対応可能だ。大規模なシステムをゼロから構築するのではなく既存の仕組みを活用してコストを抑えたい、という開発現場にイントラマートはマッチする。実際に、基幹システムやERP導入と同時に、その隣接したところにイントラマートが入るケースも多い。
近年はローコードや生成AIといったテクノロジーだけではなく、ビジネスモデルも大きく変化しつつある。パッケージ開発や請負開発のように「つくったら終わり」ではなく、顧客と永続的に関わりながらアジャイル開発で改善を継続していく「つくってから始まる」体制が求められている。そうした中、同社も23年4月から年間利用型ライセンス(カスタマーサクセスライセンス)の提供を開始し、従来の買い切り型ライセンスは販売せずサブスクリプション型へと移行した。橋場氏は「メーカーとして今後も市場をつくっていくことの宣言だ。最終的にはパートナー企業の利益にもつながると考えている。製品開発とパートナーシップがイントラマートの両輪だ」と話し、今後さらにパートナー企業との協力体制を強化していく方針だ。そして最後に「やはり、より多くのユーザーに利用してもらうのがわれわれの使命だ。そのために、今後もローコードや生成AIなどの時代のニーズに取り組むことで進化を継続していきたい」と橋場氏は意気込む。
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