Special Issue
シャトレーゼの電話環境をZoom Phoneで刷新、2カ月での安定稼働を実現したCTCグループの提案力と技術力
2024/03/22 09:00
電話領域に強いCTCグループ シャトレーゼでのクラウドPBX移行に着手
CTCグループでは、コロナ禍以前の2018年からZoom Meetings(現在はZoom Oneに統合)を全社導入し、2019年からは正式パートナーとしてZoomソリューション商材の取り扱いを開始している。グループ企業の一角であるCTCSPは運用ノウハウを活用して、Zoom製品の導入支援からサポートまでをワンストップで提供している。ハイブリッドワーク時代の働き方に合わせた形でZoomソリューションの販売に注力しているのがCTCSPのZoomソリューションパートナ―としての特徴だ。また、Zoomミーティングを起点としたオンラインベースの働き方改革のほかに、従来日本企業で重用されてきた電話やビデオ会議の領域にも力を入れている。
その強みが活きたのがシャトレーゼへのZoom Phone導入事例である。同社は山梨県甲府市の旧中道地区に本社工場と事務所を構えつつ、全国各地に工場を設置して店舗型お菓子販売のフランチャイズビジネスを展開しており、手頃な価格でおいしいお菓子を販売するブランドとして地位を確立し、現在も国内外で成長を続けている。
さまざまな種類のお菓子を生産する同社工場内では複数のラインが流れており、内線電話を利用する頻度も高い。本社でも全国のフランチャイズやお菓子を購入した顧客からの問い合わせが多数寄せられるため、内部・外部ともに電話のやり取りが多い。そして同様に、拠点間での会議や採用面接などを会議室内でオンライン実施する機会も多かった。
このようにシャトレーゼは事業運営における電話への依存度が非常に高い。しかし本社を含めた各拠点のPBXの老朽化が問題になっていた。そこで本社敷地内に新しい事務棟を建設するタイミングに合わせて、クラウドPBXへの移行を検討し、Zoom Phoneの導入に至ったのだ。
検討時に挙げられた主な要件は三つ、「新事務棟でのフリーアドレス化」「一般の10桁の加入固定電話番号である『0ABJ番号』を維持すること」「少人数の情報システム担当者で、事務所開設までの短期間で導入する」だ。その上で移行後は事務所内勤スタッフのワークスタイル変革を実施しつつ、工場での従来通りのオペレーションを維持するという、2種類の働き方に対応する必要があった。
これまで本社の事務所では固定席に受発信用の電話が置かれ、各工場では生産ラインごとにPHSを置いて内線が使われていた。そこでシャトレーゼはオンプレミス型PBXを廃止し、代わりにスマートフォンを配布して通話機能を集約させることにした。これによって事務棟でのフリーアドレス化を実現すると共に、従業員に負担を掛けることなく工場での電話機能の刷新を目指したのだ。
シャトレーゼの働き方にはまったZoom Phoneの充実した機能とライセンス形態
システムの選定に際しては、CTCでオンプレPBXの継続利用および3社のクラウドPBXサービスを比較検討した上でZoom Phoneを提案したという。「Zoom Phoneは、他のクラウドPBXサービスと比べて利用できる機能が圧倒的に豊富だった。競合サービスが内線の利用に1人あたり月額300円の使用量が発生するところ、Zoom Phoneなら無償で利用できる。さらに通話録音も現状は容量制限なく無料で行える。特に内線電話の利用頻度が高いシャトレーゼ様の働き方に、Zoom Phoneが最適なソリューションだった」と、導入を担当したCTCSPの杉原健司主任は振り返る。
具体的には、事務所や工場の内線はZoom Phoneの無料通話機能で対応し、外線では携帯キャリアの掛け放題契約を活用することで、通話コスト削減を目指した。IP電話サービスではいわゆる050番号しか利用できなかったため、NTTの転送サービスを活用して0AJB番号を維持することにしたが、2023年10月からZoom Phone側での番号ポータビリティにも対応したので、結果的にその問題も解消される見通しだ。
本社の会議室にはZoom Roomsを導入した。周辺機器もそろえ、さらにはZoomのデジタルサイネージソリューションや、フリースペース化されたオフィスで個人のスペースを予約することを実現するWorkspace Reservationの機能も活用。受付や会議室前の部屋前端末、そしてオフィス内のサイネージ端末に、来訪者へ向けてのウェルカムコメントや1日の会議予定、従業員向けのアナウンスを流せる仕組み(デジタルサイネージ)も独自開発した。
これにより、従来から活用していたZoom Oneも含め、コミュニケーション環境をZoomソリューションベースに再構築することとなった。オンプレのPBXを導入していたら数百万円単位の費用が発生し、さらにIP-PBX対応のデジタル音声回線を敷設するには申し込みから運用開始まで数カ月から半年以上の期間が想定されていたが、Zoom Phoneを選定したことでコストを抑えつつわずか2カ月で新たな電話システムの導入を達成できたのだ。
わずか2カ月の早期導入・安定稼働を実現させたCTCの知見
シャトレーゼでは、2023年5月から本社事業所および中道工場と土浦工場でZoom Phoneの稼働を開始している。既に他拠点のネットワーク環境の整備もほぼ終了し、今後スマートフォンの配布に併せて全国の工場にもZoom Phoneを展開していく計画だ。移行や運用に際しては情報システム部門の担当者に1時間程度のトレーニングを行い、それ以外は参考動画を用意したのみだが、それでも新たな電話環境へ円滑に移行できたという。社内外問わず毎日フルにZoom Phone使っているにもかかわらず、社内ユーザーからの問い合わせはなく、大きな問題も発生していない。
杉原主任はこのことに関し「シャトレーゼ様が元々Zoom Meetingsユーザーであったということもあるが、Zoom Phoneはユーザーインターフェースがシンプルなことが大きい。受信や発信の利用者画面だけでなく、アカウント登録やPBX設定などの管理者画面も簡単に操作でき、クラウドPBXサービスにありがちな電話転送時の操作面での難しさもない」と説明する。
稼働後は、事前に想定できたコスト面だけでなく、顧客対応領域でも業務効率化が見られた。例えばお客様相談室で誰が電話を受けて誰に取り次いだかが可視化され、業務の引き継ぎやエスカレーションを円滑に行えるようになった。また、社内の顧客対応ルールに則った応答ができているか対話状況を管理できるようになり、内部統制やコンプライアンスの強化につながったという。
Zoom Phoneをスムーズに導入し安定運用を実現できた背景には、製品機能の優位性およびシャトレーゼのビジネスモデルとの親和性もさることながら、CTC側の製品理解度が高く、さらにネットワーク構築力や導入支援ノウハウが充実していたという技術的な側面がある。例えば電話の利用頻度が高いシャトレーゼがZoom Phoneを最大限に有効活用できるようにと、インターネット回線とは別に音声用のネットワークを個別に構築した。
「通話品質はネットワーク回線で左右される。シャトレーゼ様のような使い方ならしっかりとしたネットワークが必要だということを伝え、その上で当初からネットワーク構築とZoom Phoneの展開をセットで提案した」と杉原主任は明かす。そのような事前の入念な準備もあって、導入や検証の段階でつまずくことはなく、短期間かつ低コストでの導入を実現できた。
またZoom Roomsの導入にあたっても、ライセンス内で無償利用できるデジタルサイネージを有効活用して業務効率化につなげた。それを含めての「2カ月」である。ZVC JAPANの八木沼剛一郎・執行役員はCTCグループの技術力について「国内外でマルチベンダーのリレーションがあり、電話を含めてトータルで導入できる強みがある。サポートについてもワンストップで対応でき、頼もしいパートナーだ」と評価する。
進化を続けるZoom Phone AI機能も実装しデジタル商材としても有効に
Zoom Phoneは現在世界で700万ユーザーが利用し、事業成長率も高い。「電話をライフラインとして特別な存在と捉えている日本でも、企業の大小を問わず安心して使ってもらえるようになっている」と八木沼執行役員は語る。製品自体も日々進化を遂げており、昨年は0AJB番号への対応だけでなく、コンタクトセンター向けソリューションのZoom Contact Centerも発表した。既に企業がビジネスフォンとして利用するための機能・要件は十分に備わっているといえよう。
さらに、現在Zoom Oneの有償ライセンスユーザーはミーティング時に無償でAIコンパニオン機能が利用できるようになっているが、今後はZoom Phoneにも同機能が搭載されていく見込みだ。これにより、AIが通話を分析しての議事録作成や、通話からネクストアクションを抽出しての提案といった機能が使えるようになる。
「Zoom PhoneはPBXシステムをリプレースするポイントソリューションではない。Zoomでは、Zoom RoomsやZoom Contact Centerなどコミュニケーションに関わるさまざまな機能やソリューションを提供しているので、電話も含めた企業のコミュニケーション基盤のデジタル化を、今後もCTCSPをはじめとするパートナーと一緒に提案していきたい」と八木沼執行役員は語る。
コロナ禍でのデジタル化によって、ホワイトワーカーの働き方は従来の「出社・対面+PC・メール」から「リモート・ハイブリッド+モバイル・コラボレーションツール」へと改革されていった。そして今後は、労働人口が多い製造業における働き方改革として、今回のシャトレーゼと同様な「電話残し」型移行案件が増えてくると考えられる。その際に、周辺領域を含め必要な機能をワンストップで提供できるZoom Phoneは商材としても優秀だ。
Zoom PhoneはSIベンダーとして扱いやすい上に、独自の知見やシステム構築ノウハウを加えてポテンシャルをフルに引き出し、他社と差別化を図ることも可能だ。コロナ禍はZoomミーティングが大きな役割を果たしたが、これからはZoom Phoneが国内企業のデジタル変革ツールとして新たな武器になっていくだろう。
業務効率化と業務品質の向上を実現した Zoom Phoone 導入事例の詳細
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