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富士通 デジタル時代に必要なサイバーセキュリティ 不正な侵入を防ぎ、最新情報で対策

2024/02/15 09:00

週刊BCN 2024年02月12日vol.2002掲載


 2日目の基調講演では、富士通のシニアエバンジェリストでFirst Creative Agentの代表エバンジェリストである松本国一氏が登壇。「デジタル時代に必要不可欠なサイバーセキュリティ」をテーマに講演した。

富士通
シニアエバンジェリスト
First Creative Agent
代表エバンジェリスト
松本国一氏

 世界は、デジタルによって急速に変化している。国内では60歳以上のスマートフォン利用率が81%に達し、コード決済サービスの「PayPay」を使っている人は6000万人以上。都内企業のテレワーク実施率は57.3%だ。

 ただ、その裏にはデジタル化の負の側面も隠されている。「実は、2021年に開催された東京五輪の期間中、日本は4億5000万回のサイバー攻撃を受けている」と松本氏。22年に始まったウクライナ侵攻では、ロシアへのサイバー攻撃件数がそれ以前の25倍に増えたという。

 また、デジタルネットワークがビジネスや生活に必要不可欠の存在になったことによって、サイバー攻撃を受けたときの打撃も大きくなった。21年の国内のセキュリティ被害総額は、推定で220億円。「人数では、過去1年間で1800万人以上が被害に遭っている」と松本氏は説明した。

 企業や団体の場合、サイバー攻撃による被害としては、機密情報の流出、重要情報の“人質化”、業務妨害、信用失墜などが考えられる。実際、あるスーパーマーケットからは25万人分の個人情報が漏洩し、数百GBの営業情報が流出した商社もある。データを勝手に暗号化して人質に取るランサムウェア攻撃では、身代金要求があるのが普通。DDoS攻撃を受けてWebサイトがダウンし、通販ビジネスに影響が出た企業も多い。

 もっとも、「デジタル世界で起きているサイバー攻撃は、実際には、個人宅で起こるリアルな空き巣と同じだ」と松本氏は指摘した。

 攻撃者が最初に行うのは、入り込める場所を探すこと。eメールに記されたURLをクリックすると、そのリンク先のWebサイトから悪意あるプログラムが送り込まれる、というのが典型的な手口だ。そのプログラムがコンピューター内のデータを流出させたり、暗号化して使えなくしたりするのである。場合によっては、ネットワーク機器やスマートフォンが被害に遭うこともある。

 このような仕組みが分かれば対策も自ずと明らかになるという。「あまり難しく考えなくても、仕組みを知れば対策をとれるようになる。ただ、本格的な対策については、専門家に任せることをお勧めする」とのこと。講演では、セキュリティ対策に完璧はないと何回も繰り返した。
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