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New Relic 内製化、クラウド化、SaaS活用が進む時代 SIerが取り組むべきオブザーバビリティとは
2024/02/15 09:00
週刊BCN 2024年02月12日vol.2002掲載
New Relicのセッション「今からはじめるオブザーバビリティ」には、コンサルティング部の中島良樹氏が登壇。運用管理にもソフトウェア開発にも寄与するオブザーバビリティの考え方と市場動向について解説した。
かつては外部に委託することが多かった日本のソフトウェア開発も、現在では内製(社内開発)が増え始めている。ある調査によれば、内製を基本方針としている企業の割合は54.4%。まだ半数程度にとどまるのは、IT部門の人材不足と専門性不足が理由だという。
その「内製」でつくられるソフトウェアも、現在では「クラウドネイティブ」が当たり前になった。クラウドには技術面と費用面でさまざまな利点があるためである。ただ、クラウド環境の場合、運用管理については注意すべき点がある。オンプレミス環境ではインフラ機器にエージェントを組み込んで監視すれば良かったが、クラウドではそのような監視方法が使えない場合もある。また、分散システムによってシステムの拡張性や可用性が確保しやすくなった半面、運用管理が複雑になりトラブル発生時の対応に時間がかかってしまうこともある。
そこで脚光を浴びているのが、オブザーバビリティ(可観測性)というシステム監視の技法だ。「オブザーバビリティは、システム全体からデータを集めて今何が起きているかを把握し、問題の根本原因を突き止め、アクションを取れるようにする技法だ」という。システムに関わる全ての立場(業務、顧客対応、ソフトウェア開発、運用管理、セキュリティなど)が同じデータを見ることができるので、責任の押し付け合いもなくなる。オブザーバビリティの国内市場規模は2022年から27年までの期間で3.1倍に拡大する見通し。「SaaS提供型オブザーバビリティ市場で、当社は約39%のトップシェアを有している」とアピールした。
オブザーバビリティは、運用管理だけでなく、開発途上のソフトウェアの品質を高めることにも寄与する。念入りにテストしたシステムに不具合が生じることがあるのは、設計・開発段階で内在していたバグが単体テストと結合テストをくぐり抜けてしまうため。これを解決するには、「オブザーバビリティのシフトレフト」に努めることが重要だ。テストの段階からオブザーバビリティを実践すれば、機能面と非機能面の問題を早期に発見することが可能。結果、高品質のソフトウェアをより早く入手できる。
セッションの最後に、国内IT企業3社での導入事例も紹介。「ある企業では、問題解決の時間を約27%短縮することに成功し、投資回収期間は5.2カ月、3年間の投資利益率(ROI)は357%と計算されている」と紹介した。
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