Special Issue
週刊BCN 特別連載企画<第4回> DISのエキスパートに聞く 日本のIT利活用の実態は
2024/02/01 09:00
週刊BCN 2024年01月29日vol.2000掲載
旭川エリア
地域特性を生かした取り組みが進む 全国的に注目の事例も誕生
拠点エリア 北海道エリア拠点データ 旭川営業所
住所:北海道旭川市一条通9-50-3(旭川緑橋通第一生命ビルディング5F)
電話番号:0166-27-0022
旭川市は、北海道では札幌市に次ぐ第2の都市として有名です。エリアの中心都市となっていることに加え、物流のハブ拠点としての面もあり、旭川を起点に道内各地にモノが動いています。当営業所では、東は網走、西は留萌、南は岩見沢、北は稚内まで約80市町村をカバーしています。
エリア全体の面積は非常に広大ですが、人口は限られていることから、IT活用については地域特性を生かした取り組みが進んでいます。例えば、鉄道よりもバスが市民の足として発達しているため、旭川市のバス会社のグループは、一つの事業として運賃決済システムや点呼監視システムなどのバス関連ソリューションを道内外のバス会社に提供しています。
エリア発の取り組みが全国的に注目された事例もあります。行政手続きの手間を削減した北見市の「書かない窓口」では、地元のIT企業が開発した窓口業務支援システムが活用されています。この企業は、政府が進める「書かないワンストップ窓口」を実現するための機能をガバメントクラウド上で提供する自治体窓口DXSaaS提供事業者となっています。
エリア全体では、庁舎の立て替えに伴う設備導入や、GIGAスクール構想関連のネットワークの強靱化をはじめ、自治体や文教、病院、企業でIT投資は行われています。ただ、周りの動向を見ながら対応する慎重な雰囲気があるため、積極的にITを活用し、世間で注目されているDXを目指そうとしているかというと、その部分についてはまだこれからの状況です。
とはいえ、人口減少に伴う人手不足は、エリアにとっても大きな課題なので、ITで何とかしないといけないとの思いは共通認識になっています。IT活用をさらに進めていくためには、先進的な事例などに関する全国の情報をエリア内で官民で共有し、意識を変えていくことが重要になるでしょう。エリアのポテンシャルは高いので、ITによって発展していくことを期待しています。
徳島エリア
遠隔医療の先進地 人材育成へ高専に期待
拠点エリア 四国エリア拠点データ 徳島支店
住所:徳島県徳島市八百屋町3-26(大同生命徳島ビル3F)
電話番号:088-622-9821
徳島県は四国の東部に位置し、県の西から東にかけ、四国最長の河川である吉野川が流れ、その河口に位置する徳島市を中心に市街地が形成されています。内陸部には1000メートルを超える山々が連なり、県内全面積の8割が山地です。産業面では、化学工業や電気機械、電子部品・デバイスなどが盛んです。LEDで世界トップクラスの企業が立地するほか、医薬品製剤、リチウムイオン電池などの産業で大規模な生産拠点があります。製紙業、家具・木材等の木工業などの分野においても高い市場シェアを誇る企業が多数存在しています。
IT活用については、医療分野での先進的な取り組みが目立ちます。県全体で力を入れているのは遠隔医療です。複数の県立病院を5Gで結び、4Kの高精細映像を活用して診断・診療などを支援するシステムを構築。一部の県立病院に「5G遠隔診療室」を設置し、糖尿病遠隔診療や内視鏡遠隔診断支援など、県立中央病院の専門医が遠隔で診療する「5G遠隔医療」を順次拡大する方針です。医師不足や医療格差の解消、経験の浅い医師のスキルアップなどが見込まれます。
一方で、一般企業に目を向けると、デジタル化は進んでいるものの、より高度に活用するための人材が不足しているように見受けられます。ITに関して高い感度を持つ人材が増えれば、本当の意味でのDXが広がっていくのではないでしょうか。その点では、山間部の神山町で2023年4月に開校した「神山まるごと高等専門学校」への期待は大きいものがあります。次の時代を担う若者がテクノロジーやデザインへの理解を深め、起業家精神を養うことで、地域にいい影響が生まれることを願います。
徳島県は全国に先駆けて光ファイバー網を普及させるなど、ITへの注力姿勢が鮮明な自治体です。ただ、行政主導だけではいけません。民間が自由な発想でITを使うことも必要でしょう。そのためにもやはり、人材の育成は急務であると考えています。
北九州エリア
「ものづくりのまち」で広がるデジタル活用 行政も積極的な支援を提供
拠点エリア 九州エリア拠点データ 北九州支店
住所:福岡県北九州市小倉北区鍛冶町1-10-10(大同生命北九州ビル6F)
電話番号:093-512-6760
北九州市は、政令指定都市で、九州では福岡市に次いで人口が多いです。官営八幡製鐵所が操業開始して以降、「ものづくりのまち」として発展し、現在も大手から中小まで多くの製造業が拠点を構えています。加えて、高速道路や鉄道、港湾、空港と交通インフラが充実しており、交通の要衝になっています。
ITの導入については、クラウドやセキュリティの相談が増えているのと、製造業が中心の地域のため、ファクトリーPCやIoTに関わる機器に関する問い合わせが多いです。工場のラインの見える化やデータを活用した予防検知、EDIの利用、コスト削減に取り組む企業が増えている傾向もあります。一方で、中小の製造業では、現在でもファクスが利用されているなど、デジタルの活用はこれからといったケースが目立ちます。
地場の有力製造業がIT商材を手掛ける企業を設立し、自社のノウハウを生かして生産現場での課題解決やDXを推進するために必要なソリューションを展開するといった動きもあります。例えば、製造現場でのクラウド導入から運用までを担うサービスやデジタルツインを活用したシステムなどが提供されています。
北九州市は「デジタルで快適・便利な幸せなまち」の実現を目指して、「北九州市DX推進計画」を策定し、デジタル技術を用いて生活や仕事などさまざまな分野での課題解決を図っています。企業のIT投資への補助金が充実していたり、官民が協力してコンソーシアムを立ち上げたりと、行政が積極的に支援しています。
全国的な傾向ですが、北九州市も人口が減少しており、特に若年層の流出は課題です。北九州市には工業系の大学が多いため、地場IT企業は積極的にインターンシップを実施するなどして、人材確保に注力しています。製造業とひとくくりに言っても、多種多様な企業があり、規模も違うため、抱えている課題は異なります。ITの力で一つ一つの課題を解決していくことが、北九州市の活性化につながっていくと感じています。
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