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ネットワールド IBM Day2023開催 企業向け生成AI基盤「watsonx」の最新情報とAI構築事例を紹介

2024/01/18 09:00

週刊BCN 2024年01月15日vol.1998掲載

 ネットワールドは11月22日に、IBMパートナー向けの年次イベント「ネットワールド IBM Day 2023」を帝国ホテル 東京で開催した。生成AIブームが加速するなか、今回は5月に発表された企業向け次世代基盤モデル・生成AIツール「IBM watsonx」を中心に、日本IBMおよび同社のパートナー企業であるAITとアルケー情報、そしてIBMのディストリビューターであるネットワールドがAIにまつわる講演を行った。

生成AIの透明性を高めるwatsonx ネットワールドが構築をレポート

 はじめに「watsonx 生成AIの他社比較と今後」と題し、日本IBMの田中孝・Data and AIエバンジェリストがビジネスシーンにおける生成AIの現状とwatsonxの全貌について語った。
 
日本IBM
テクノロジー事業本部
Data and AIエバンジェリスト
田中孝

 生成AIはこの1年で大きなトレンドになり、ビジネスの世界にも広がってきているが、業務で活用するには的確にかじ取りしないといけない。その中でIBMでは、中身のデータがブラックボックスではなく、誰がどのようなデータを加えてどう学習させたかを証跡管理できる信頼性・透明性の高いAI開発基盤としてwatsonxを提供している。

 田中エバンジェリストはユースケースを紹介しつつ、「パートナーのソリューションとwatsonxを組み合わせることで、業務をエンドツーエンドで改革できるようになる。IBMでは協業プログラムも用意している」と述べ、パートナーにAIビジネスへの参画を促した。

 続いてネットワールドの若松大介・主任が登場し、watsonxのデモツールを活用して独自の生成AIを構築した体験談を、非技術者の視点から紹介した。
 
ネットワールド
マーケティング本部
ソリューションマーケティング部
IBMビジネス課 主任
若松大介

 生成AIの企業利用には、公開中のサービスを用いるか、自社専用の生成AIを構築するかの2通りがある。前者は「情報が不正確」「秘匿すべき情報も学習されてしまう」、後者は「構築可能な技術者の採用」などの課題が生じるが、「watsonxはそれらの懸念を払しょくし、すぐに始められる。チャットボットツールの『watsonx Assistant』とデータの収集・検索をおこなう『Watson Discovery』を組み合わせることで、パワフルな生成AIモデルが作れる」と若松主任は語った。実際に、トライアル環境の「IBM Technology Zone」を利用し、日本IBMの担当者からレクチャーを受けつつ1時間程度で設定から構築まで行えたという。

 その後、若松主任は、watsonxの設定方法を説明しつつ、生成AIによる回答の様子を紹介した。なお、ネットワールドではパートナーへのwatsonxデモ環境作成支援を行っており、若松主任も「われわれが学んだ内容を含めたマニュアルをセールスキットとして提供する。ほかにも、IBM Cloudのクレジットが活用できるGoldパートナー取得に向けた資格取得支援も行う」と述べた。

パートナーによる最新のAI導入事例
医療や物流などさまざまな分野で実績あり

 イベントの後半ではパートナー企業がAIの導入事例を紹介した。まずAITの松井敦史・次長と清野正文・次長が登場し、神奈川県立がんセンターに提供するAIチャットボット開発について語った。
 

 
AIT
ソリューション営業本部
クラウド&ソリューション営業部 次長
松井敦史

 がんの遺伝カウンセラーが慢性的な人手不足状態であるのを受け、AITはカウンセリングを支援するためのAIチャットボットを開発し、特許も取得している。「AIは作って終わりではなく、展開してからさらに継続して改善していくことが大事なため、開発に当たりデザイン思考を採用した」と松井次長は語った。同社は、デザイン思考のワークショップも開催しているとのことだ。

 医療の進化に合わせて継続的に改善していくために、利用結果のフィードバックを解析し、AIをアップデートするサイクルを回しているという。今後について清野次長は「院外に広げるほか、多言語化や他の遺伝性腫瘍に対応する計画だ」と明かした。
 
AIT
開発事業本部
ソリューション戦略第2部 次長
清野正文

 AITの講演後には再びネットワールドの若松主任が登壇し、昨年のIBM Dayでも解説した最適化ソリューションの進捗を報告しつつ、パートナーの参画によるエコシステム構想について説明した。
 
アルケー情報
代表取締役社長
千葉祐基

 最後にアルケー情報の千葉祐基社長が、AIソリューション開発の取り組みについて語った。同社は倉庫内の自律走行搬送ロボットの開発に着手、その過程でAIによる経路計算の特許を取得した。この実績を知った港湾業務会社からコンテナ積み付け(貨物の配置)計画支援を依頼され、試行錯誤の結果、日本IBMの数理最適化ツール「CPLEX」を利用してソリューションの開発に成功したという。
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