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オービックビジネスコンサルタント × アステリア BRAND STORY パートナービジネスの可能性をさらに広げる“つながる、ひろがるERP”

2023/11/23 09:00

週刊BCN 2023年11月20日vol.1993掲載


 オービックビジネスコンサルタント(OBC)は、同社が提供するSaaS型ERP「奉行V ERPクラウド」とさまざまなツールやサービスの連携強化を加速させている。その一環として、新たにパートナーとして加わったのが、データ連携ツール「ASTERIA Warp」を提供するアステリアだ。今回のパートナーシップは、どのような市場背景から生まれ、ERPビジネスにどのようなインパクトをもたらすのか。両社が描く未来と戦略について、トップ2人が語り合った。

多様な価値の協調が求められる クラウドとデータの時代

――まずはお2人の経歴を簡単にお聞かせください。

和田 OBCは1980年に創業しました。私自身は元々、公認会計士として活動していましたが、PCの登場によって会計システムに革新が起これば、世界が大きく変わるだろうと感じていました。当時の会計システムは非常に高価でしたが、PCによって価格面でも大きな変化がもたらされるだろうと。そうした観点から、OBCでは創業以来、会計を中心に給与や人事などの基幹業務のパッケージシステムに特化した事業に取り組んできました。「Windows」の普及、「Microsoft Azure」をはじめとするさまざまなクラウド技術の進化など、常に時代の主流となるシステムに適応する製品開発を心掛けてきました。
 
オービックビジネスコンサルタント
代表取締役社長
和田成史

平野 80年といえば私は高校生でしたね(笑)。実は、高校時代からコンピューターにのめり込んでいて、その後、大学を中退してソフトウェア開発企業の立ち上げにも参画しました。後にロータス(現:日本IBM)に移ってからはマーケティングに長らく携わってきました。そしてインターネットが普及し始めた98年にアステリア(当時:インフォテリア)を創業しました。順調に成長を続け、おかげさまで主力製品のASTERIA Warpはデータ連携市場にて17年連続シェアNo.1※を継続しています。
 
アステリア
代表取締役社長 CEO
平野洋一郎

――今回の提携の狙いについてお聞かせください。

和田 昨年サンフランシスコを訪れ、多くのシステム会社を回ったのですが、システム間の連携技術が急速に発展していることを、身をもって感じました。クラウドの時代ではデータは発生源だけでなく、各所との双方向のやり取りで価値を持ち、それが競争力につながっていく。日本もこの流れに取り残されることなく、この変化を牽引していかなければならないと感じました。OBCでも“つながる・ひろがる”というメッセージを掲げ、パートナーやお客様に貢献していきたいという思いを抱いています。奉行V ERPクラウドもASTERIA Warpを通じてさまざまなシステムと連携が可能になり、それが奉行V ERPクラウドの新たな価値となると確信しています。

平野 アステリアは創業当時から “つなぐ”をミッションとしていました。インターネットの登場によって、私たちは自律・分散・協調型の社会がいずれ形成されるだろうと予見していました。それは、大きな組織が市場を支配する構造ではなく、多様な価値を生み出す中小の組織が自律的かつ協調的に機能する社会です。ASTERIA Warpは、機能そのものだけでなく販売方法についてもパートナーとの連携を中心に据えて展開しています。パートナーとともに”つなぐ”価値を高めながら、より多くのユーザーの”連携”の役に立ちたいと考えています。

システム間連携が格段に容易にIT人材不足の解消にも

――今回の奉行V ERPクラウドとASTERIA Warpの連携で実現できることを教えてください。

和田 かつてはカスタマイズやアドオン開発が当たり前だったERP構築は、クラウドの時代ではパッケージ標準機能を軸にAPIで周辺システムと連携する考え方がより重要になってきます。ERPと周辺システム間の連携は、昔であればインターフェース開発に大きな工数を費やすことも珍しくありませんでしたが、今回のASTERIA Warpとのパートナーシップによって、システム間連携の開発工数を大幅に省力化できるようになります。これはERPビジネスを手掛けるパートナーのIT人材不足解消にも大きく貢献できます。加えて、奉行V ERPクラウド自体も、SaaSでありながら高い柔軟性を備えており、お客様の要望に応えやすいシステム開発が可能です。

平野 和田社長がおっしゃったシステム間連携開発の省力化という点について、これを実現するために、ASTERIA Warpは2002年の発売当初から「ノーコード」での開発、つまりプログラミングをしなくても開発できることに一貫してこだわってきました。私もITエンジニア不足が簡単には解消しないと考えていたからです。ノーコードによって高度な技術知識や経験を持たない方でもどんどんITを使いこなし、ひいては人材不足が解消されていく。そのためにはノーコードを普及させることが有効だと信じています。

――両社の連携による成功事例がありましたら教えてください。

平野 最近特に目立つ事例が、インボイス制度や改正電子帳簿保存法へのシステムの対応です。法改正によって、財務会計だけでなく事業全体の業務連携がますます求められるようになったと感じています。そうした中でデータ連携が進めば、作業の自動化・省力化が可能となり、人手を介さないことで作業の正確性も向上していきます。こうして企業の生産性向上へ大きく貢献できます。

より扱いやすいデータの存在がビジネスのさらなる発展に

――今回の協業も含め、データ連携やデータ活用でビジネスをどのように発展させていこうとお考えですか。

和田 パートナーを含むさまざまな企業が役割分担し、それぞれ得意な分野に特化して連携していく。その結果、ユーザーの大きな発展につながる新しい構造をつくり上げていけると思っています。その中でOBCとしては、クラウドの技術にネイティブに適合するアーキテクチャーを採用しつつ、APIによって外部のシステムと連携しやすいオープンな環境を整えていくことが、今後進むべき道だと考えています。

平野 アステリアではデータ連携の重要性を「スピード」「正確さ」「サステナビリティ」の三つの観点でとらえています。近年の急速な環境の変化に追随するには、データ連携を素早く構築したり変更したりできることが重要になるほか、人や画面操作(RPA)を間に介さないことでデータの正確性も向上します。

 サステナビリティ(持続性)も大切な要素です。システムは一度構築された後、稼働する中で必ず変化を強いられます。スクラッチ開発ではなくASTERIA Warpを使うことで、技術のアップデート、連携するデータ仕様の変更、新たな要件の発生など変化に柔軟に適応でき、ビジネスそのものの持続性向上に直結します。ASTERIA Warpを奉行V ERPクラウドと連携することにより、これらの要素を容易に実現し、奉行V ERPクラウドに蓄積されたデータ活用から、取引先との連携まで、奉行V ERPクラウドユーザーの皆様に貢献してまいります。

和田 さまざまなデータを蓄積するERPを提供する立場としては、データをより簡単に扱えるようにし、データの価値を生かしたシステム構築をパートナーが行いやすい環境を用意していきたいと考えています。もちろん、データ活用の利便性を維持しつつ、安心してお使いいただけるようにセキュリティにも注力します。奉行V ERPクラウドを一つのプラットフォームとして、ユーザーやパートナー双方の成長に貢献していきたいと考えています。

人と人の出会いと協調が、これからの発展につながる

――最後に今後の展望やお互い期待することをお聞かせください。

平野 奉行V ERPクラウドは、すでに日本で広く普及しています。私たちの役割は、この広く普及したプラットフォームの可能性をデータ連携によってさらに広げることです。今回の協業は、多くの企業が目指すDXや業務効率化の取り組みをさらに推進できるチャンスであると感じています。これからも、
”つなぐエキスパート”としてパートナーやユーザーの期待に応えつつ継続的な進化を続けていきたいと考えています。

和田 クラウド活用とデータ連携が主流になる中で、お客様は「次は何を連携しようか」と考えていらっしゃいます。アステリア様とともにいろいろな事例を作りながら“つながる、ひろがるビジネスの世界”の実現に貢献できればと考えています。今回、同じマインドを持つ人と人が出会い、パートナーシップを組む素晴らしさを感じました。このような関係を大きく育てて、業界やお客様の発展につなげていきたいと思います。
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外部リンク

アステリア=https://www.asteria.com/jp/

オービックビジネスコンサルタント=https://www.obc.co.jp/