昭電は製造からシステムインテグレーション、工事に至るまで一貫したサービスを提供している。2022年11月には重要施設の安全強化や最適化のソリューションを直に体験できる「ソリューションラボ」を刷新し、顧客との価値共創を強化している。同ラボで紹介しているカナダGenetec（ジェネテック）の「Security Center」を活用したセキュリティ連携ソリューションについて聞いた。
 

重要インフラ・設備の安全強化に有効なソリューションを提供

　海外と比べ、日本はデパートや発電所など各種施設に設置されているセキュリティシステムの規模が小さい。例えば米国には20万台の防犯カメラを設置するチェーンストアがあるが、日本では多くても1000台規模で、さらに拠点間でのシステム連携も遅れている。

　各拠点で孤立しているセキュリティシステムをつなげ、安全を強化するソリューションを提供しているのが昭電だ。同社は大規模な連携に優れているジェネテックのSecurity Centerをプラットフォームに採用。昭電が製造する制御盤などに加え、多種多様なメーカーのシステムと組み合わせて提供している。昭電の情報機器システム部の加藤拓也副部長は「社会インフラ系のお客様からの引き合いが現在増えている」と説明した。
 

シームレスな統合でトータルコスト削減と柔軟なカスタマイズを実現

　昭電は自治体、発電所、データセンターに向けてカメラ数百台規模のシステム提供をすでに始めている。IPカメラや監視端末、録画サーバーなどの機器を複数の拠点に設置し、広域のネットワークを構築している。例えば悪天候時にダムの状況を確認する場合、従来は現地に出向く必要があった。しかしこのソリューションを使えば、現地から離れた緊急対策室から状況を確認できる。

　また、制御盤やトラップ式フェンスセンサーなど、他のITベンダーが通常手がけない製造を含めたソリューションを提供し、さらに設置工事も含めてワンストップで提供可能だ。加藤副部長は「センサーだけでなく防犯カメラや顔認証機能つきの入退室システムなども一体化したソリューションは、開発コストが高いため他社では簡単には模倣できない。他に先駆けて昭電はソリューションを開発し、リーズナブルな価格で提供しているため、国内のインフラ関連のお客様に選ばれている」と語る。Security Centerは多くのデバイスやシステムに対応しているため、顧客がすでにカメラや入退室システムなどを導入している場合でも統合でき、トータルコストを抑えることが可能だ。

　ジェネテック・ジャパンの室川豪カントリーマネージャーは「Security Centerは非常に高性能だが、それだけでは力を発揮できない。昭電は顧客のニーズに応じて優れたソリューションを構築でき、さらに導入後もメンテナンスなどにも応じられる。ジェネテックにとって最良のパートナーだ」と述べた。

ソリューションラボで効果を体験

　さまざまな機器や設備などとSecurity Centerが連携する状況を、顧客が実際に体験できるように、昭電は「ソリューションラボ」と称するモデルルームを用意している。昭電の執行役員情報機器システム部の八木祥人部長は「システム連携は机上の理論ではなく、実運用を体感するのが重要だ。ソリューションラボには多種多様なセンサーが設置されており、アラートがどのように伝わるかを目の当たりにできる。ラボへ見学に来る方は目の肥えたスペシャリストが多いが、その反応は非常にいい」と述べる。

　昭電はSecurity Centerを使った安全強化ソリューションを自社で直接販売するが、同時にシステムインテグレーターを通じた提供も行っている。八木部長は「今後はパートナー企業とコラボレーションして販売を進めていきたい」と語る。

　重要設備の監視業務は、求められる要件が年々増え、システムも複雑化している一方、コストや人員削減、経験者の引退などさまざまな課題を抱えている。昭電の安全強化ソリューションなら、先端技術をリーズナブルな価格で導入・運用できるだろう。昭電の常務執行役員で事業推進部の加藤雅也部長は「ITの安全対策に関するワンストップサービスを提供できる数少ない存在として、顧客やパートナーの期待に応えたい」とコメントした。