Absolute Softwareのセッションでは、カントリーマネージャーの成田孝弘氏が登壇。「セキュリティのポイントはネットワークとエンドポイントの保護。『消えない』『切れない』サイバーレジリエンス」をテーマに講演した。


　働き方改革やパンデミック対応をきっかけに、日本でもテレワークやハイブリッドワークが普及している。「それに伴って、セキュリティで守るべき境界線は変わってきた」と成田氏。かつてはオフィスへの侵入さえ防いでおけば良かったが、自宅の無線LANや出張先のフリーWi-Fiからアクセスするケースが増えた今、守るべき境界線がいろいろなところに出現しているというのである。

　さらに、テレワークやハイブリッドワークではサイバーレジリエンスの高さも問われる。サイバーレジリエンスとは、「セキュリティインシデントやその兆候があったときに、そこから素早くしなやかに復活できる力」。オフィス外での使用を想定すると、復活はデバイスとモバイルネットワークの両方を対象としなければならない。

　このように前置きした上で、成田氏は同社の「Absolute Secure Endpoint」と「Absolute Secure Access」を紹介。その特徴をそれぞれ、「デバイス内の情報が消えないようにするエンドポイント保護機能と、ネットワークが切れないようにするネットワークアクセス機能が備わっている」と強調した。

　エンドポイント保護機能では、デバイス内の各種セキュリティツール（2023年6月時点で81種類）の動作状況を示すテレメトリー（遠隔測定）データを自動収集して分析。停止しているツールがあれば、Absoluteがそれを自動的に再起動することによってデバイス内の情報が消えないようにしてくれる。また、Absoluteエージェント自体が動作していない場合は、デバイスのファームウェアに書き込まれたAbsoluteコアモジュールから自動的に復元される仕組みだ。

　一方、ネットワークアクセス機能では、アプリケーションや宛先に応じて経路を自動制御することによって“切れないネットワーク”を実現している。「この機能では、IPsec VPNをベースに当社が独自拡張したトンネルを使っている」と成田氏。このVPNトンネルにはモバイル回線でしばしば発生するパケットロスを自動補正する機能を実装。Web会議の品質が高まり、テレワークやハイブリッドワークの生産性が向上する。このほか、ブレイクアウト回線への切り替えも自動的に行われるので、「Microsoft 365」などのSaaSを利用する際でVPNトンネルに輻輳が発生することも防げるという。