Special Issue
インターネットイニシアティブ マルチクラウド環境での簡単・セキュア・低コストなデータ連携を実現する IIJクラウドデータプラットフォームサービス
2023/06/29 09:00
週刊BCN 2023年06月26日vol.1974掲載
クラウド活用が進展している一方で、異なる環境間でのデータ連携や機微情報の取り扱いに関する課題も生じている。クラウドやネットワーク、データセンターなどのサービスを展開するインターネットイニシアティブ(IIJ)では、こうした課題を解消すべく、マルチクラウド環境で簡単かつ安全にデータ連携が実現できる「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」の提供を開始。同社の鈴木透・クラウド本部プラットフォームサービス部長にサービス概要や今後の展望を聞いた。
クラウド活用におけるデータ連携の課題に着目
近年は多くの組織が、「Amazon Web Services(AWS)」や「Microsoft Azure」などのパブリッククラウド、または「Salesforce」や「kintone」に代表されるSaaSを複数利用している。そこで課題となっているのが、こうした異なる環境間でのデータ入出力だ。データ連携のためにインターフェース開発の手間やコストがかかってしまう。また、個人情報など機微情報を外部サービスに連携する際のセキュリティリスクも無視できない。「IIJではマルチクラウド環境の『ハブ』となる戦略を数年前から進めていた。顧客にヒアリングし、DX(デジタル変革)のためのデータ活用において、データ連携に大きな課題があることがわかったため、データ連携のハブとなるPaaSとしてIIJクラウドデータプラットフォームサービスを開発した」と鈴木部長は語る。
簡単・セキュア・低コストのデータ連携ハブ
IIJクラウドデータプラットフォームサービスは、オンプレミスやマルチクラウド、SasS間を「簡単・セキュア・低コスト」につないでデータを連携させるサービスだ。主な特徴は五つある。一つめはノーコードでデータの加工や変換ができるGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)だ。アイコンを処理順に並べてプロパティを設定するだけでデータフローを構築できる。二つめはデータマスキング。機微情報を匿名化できるもので、標準機能で提供する。三つめはプライベート接続。サービスをオンプレミスの一部のように利用できるため、オンプレミス側へのネットワーク整備やインターフェース開発が不要になる。四つめが、90種以上ある連携アダプターで、主要クラウドやSaaS、データベースなどさまざまな連携先とすぐに接続できる。そして五つめの特徴は、マネージドサービスとしてスモールスタートが可能な料金体系で利用できる点だ。ネットワークからサーバー、OS、ソフトウェアまでIIJが管理するため、日々の運用保守は不要。初期費用や最低利用期間もなく、データ連携の規模や要件に応じてエディションやリソースの組み合わせが可能だ。定額料金内で毎月利用でき、さらにエディションやリソースは月単位で変更できる。まずは一部門や特定の業務で試用してから徐々に範囲を広げていく、といった運用もできる。
鈴木部長は「データ連携は既存システムのインターフェースに手を加える必要があり、データ秘匿化など配慮しなければならないことも多い。そのデータ連携が簡単でセキュアな仕組みで、少ない投資で実現できるなら、組織の規模に関係なくデータ活用が進むだろう」と同サービスの狙いについて話す。
既にサービスのメリットを享受しているユーザもいる。ヨシケイライフスタイルでは、ブラックボックス化していたAWSベースの業務システムの使い勝手向上を目指し、フロント系にkintoneの活用を検討。サービスの利用により、既存システムに手を加えることなく、容易にデータ連携を実現した。鈴木部長は「インターフェースを個別に開発するより期間・コストを大幅に削減でき、顧客からも使いやすいと好評だ」と胸を張る。
企業間データ連携も視野に入れた機能拡充を計画
2023年からIIJはさらなる利用促進に向けたサポートを行っていく計画だ。顧客が各種ツールを使いこなせるようにするためのトレーニングや、データ連携における各種設計・設定の代行などを想定している。IIJでは販売パートナーに向けても、協業などのプランを用意している。例えば、人事や会計などのパッケージソフトや各種SaaSを提供している企業なら、同サービスでのデータ連携は相性がいい。また、ウェビナーなどマーケティングも含めた協業も想定している。広くパートナーを開拓していきたいと考えているという。
現在はマルチクラウド環境でのデータ連携ハブという側面が強いが、将来的には包括的なデータ活用プラットフォームへと進化させていく計画だ。23年にはデータベース機能、次いでデータ分析機能の提供が控えている。さらに、セキュリティやガバナンスを強化する機能や APIも開発中だ。「スマートシティや自動車業界のデータ共同活用などに代表されるような、企業間のデータ連携の需要にも応えられるプラットフォームにしていきたい」と鈴木部長は今後の展望を語った。
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