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ジュピターテクノロジーが創業22周年の記念セミナーを開催、PaesslerのPRTG監視ソリューションなどをアピール

2023/03/23 09:00

 システム製品の販売と構築を手掛けるジュピターテクノロジーは2月22日、創業22周年を記念する「ジュピターテクノロジーソリューションセミナー」を東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開催した。セミナーと展示/デモのテーマとして設定されたのは、ネットワーク、セキュリティ、ログの三つ。ここでは、独Paessler AG CEOのヘルムート・ビンダー氏による基調講演の様子などをレポートする。

「ジュピターテクノロジーソリューションセミナー」を開催

ITとOTに関するさまざまな要素を監視できるPaesslerのPRTG製品

 基調講演では、まずジュピターテクノロジー代表取締役の石川幸洋氏が講演。次いで登壇したビンダー氏は「Digital Transformation with PRTG」と題して講演した。

 PRTGブランドの監視ソリューションを開発・販売するPaesslerは、1997年に独国・ニュルンベルクで創業した企業である。現在では、40か国で400人以上が働く企業へと成長。オンプレミス版のPaessler PRTG Network Monitor(PPNM)、SaaS版のPaessler PRTG Hosted Monitor(PPHM)、大規模オンプレミス版のPaessler PRTG Enterprise Monitor(PPEM)の3製品を展開中だ。

 では、企業はなぜPRTGのような監視ソリューションを必要とするのか――。ビンダー氏は「現在のビジネスはIT(情報技術)とOT(制御・運用技術)に支えられており、例えばネットワークが停止すると業務を継続できなくなってしまう」と指摘。停止を防ぐにはITやOTの稼働状況の透明性を監視ソリューションで高める必要がある、と強調した。
 
独Paessler AG
CEO
ヘルムート・ビンダー氏

 監視すべき対象となるのは、ハードウェアのほか、仮想システムの仮想マシン、オンプレミスまたはクラウドのアプリケーション、ネットワークなど。「具体的な課題としては、ITとOTの環境をスリム化して一元的に管理すること、シャドーITを把握すること、システムの複雑性を除去すること、オンプレミスとクラウドの両方を適正に管理すること、などがある」とビンダー氏はいう。

 企業のこのような課題をクリアするのに役立つのが、PRTGなどの監視ソリューションだ。これを導入しておけば、ハードウェア、アプリケーション、ネットワークなどに障害が発生したときにすぐにアラートを受け取ることが可能。企業は、障害に対処するための時間とコストを削減し、IT管理者の不安やイライラを減らす効果を期待できるのである。

 そうした監視ソリューションの中でも、PRTGは「あらゆるものを監視できるオールインワン型になっている」(ビンダー氏)のが特徴だ。稼働状況の監視用に用意されているセンサーは、IT基盤・UPS(無停電電源装置)・空調といったデータセンター内の機器用のもののほか、ネットワーク用、アプリケーション用、セキュリティ用、クラウド用、仮想システム用、データベース用など300種類以上。「現在では医療機器やIoTやOT機器にも対応しており、プロトコルとしてはIoT用のMQTT、OT用のOPC UAやModbus、医療用のDICOMとHL7もサポートしている」とビンダー氏は胸を張る。

さまざまな業種での大規模事例も豊富、2023年内にSaaS版を国内でも開始

 このような特徴を持つPRTGのユーザーは、世界で約50万人。自動車、流通小売、宇宙航空、製造など、さまざまな業界の著名企業で使われている。

 具体的な導入事例として、ビンダー氏はwindCORES(風力発電所内データセンターの監視)、ライデン大学医療センター(ITと医療機器の監視)、シーメンス(製造現場データセンターの監視)のそれぞれを紹介した。

 創業からすでに26年――。2030年に向けてのPaesslerの企業戦略には、いくつかの新しいテーマが掲げられている。「まずは、ITとOTの両方の環境を監視できるように、PRTGプラットフォームの内容を充実させていきたい」と、ビンダー氏。また、新しいアイデアに基づく新規製品/サービスとして、スマート農業分野では灌漑の監視、環境分野ではエネルギー制御とエネルギー管理、IT分野ではハイブリッドクラウドの監視などを試行または計画しているという。

 さらに、Paesslerは国際化の一環として成長著しいアジア太平洋地域への投資もいっそう拡大していく。日本をアジア太平洋地域の中核市場ととらえている同社は、07年からジュピターテクノロジーとパートナー関係を継続中。そのパートナーシップに基づいて今後も日本市場に積極的に投資していくのがPaesslerの基本的な経営戦略だ。OT領域については、産業オートメーションに強いオムロン、パトライト、三菱自動車の各社との連携をPaesslerは計画している。

 「このほか、年内にはPRTGのSaaS版であるPPHMの東京リージョンをオープンする予定だ」とビンダー氏。遅延が少ない国内回線でPPHMを利用できるようになればPRTGのユーザーはさらに増えるはず、とPaesslerは見込んでいる。

 ビンダー氏の基調講演には、トミー・ロック氏(Director of Technical Services APAC)とジム・リー氏(Business Development Manager APAC)も同席。デジタル変革(Digital Transformation)を目指す日本企業に対するPaesslerの力の入れようをうかがわせていた。
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外部リンク

ジュピターテクノロジー ソリューションセミナー=https://www.jtc-i.co.jp/news/article/jtcseminar202302-archive/index-2326604.html