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ITジュニア通信2023年1月<第12号> 日中をITで結ぶ懸け橋として奔走──ビジネス成功のかぎは「人」だ
2023/01/19 09:00
週刊BCN 2023年01月16日vol.1953掲載
「3~4年後に東証での上場を計画しており、中期経営計画の策定に入った」。そう語るのは、ウィナーソフトの周密代表取締役社長だ。日本での留学を経て2007年、祖国中国で成都ウィナーソフトを起業。総裁兼CEOを務める。現在は拠点を東京に定め、日本法人であるウィナーソフトの社長も兼務。日中を結ぶITの懸け橋として多忙な日々を送る周社長にITビジネスを目指す若者へのアドバイスを聞いた。
成都ウィナーソフトは19年7月、NSDの完全子会社だった、日本RXテクノロジーの株式65%を取得して合弁事業を開始し、それまで成都ウィナーソフトの日本法人だったウインリッヂを統合させた。20年4月には社名をウィナーソフトに変更し、名実ともに成都ウィナーソフトの日本法人として東京・神田で本格的なスタートを切った。「20年1月、北京から出張で東京に来た直後、コロナ禍に突入。とにかく隔離が嫌だったので、それ以降一度も中国に帰っていない。おかげで、日本法人の立ち上げに集中できた」。周社長は流暢な日本語で話す。この3年で会社の規模を20人から100人まで拡大させた。取引先はパートナーのNSDを始め、富士通、日立など国内有数のIT企業にとどまらず、イオンやコカ・コーラなどエンドユーザーにも広がっている。
株式上場を目指す理由について周社長は「日中間ビジネスのモデルケースを作りたい」と話す。「オフショア中心ではなく、日本と中国の技術者でコラボしたチームをつくり、日本の顧客のニーズにしっかりと応える。日中に限らず、アジアにある優れた技術を集め、それを顧客に届けることで、マーケットにも評価される企業にしていきたい」。この3年で、AI、モバイルペイメント、ロボット、AIデータなどの先端技術を持つ中国企業と組み、日本企業に提供するビジネスを展開。年商20億円規模まで業容を広げてきた。
そんな周社長に、ITビジネスを目指す若者へのアドバイスを求めた。「失敗を恐れずにどんどんチャレンジしてほしい。日本にとどまらず、世界に目を向けてやりたいことを実践してほしい」と、自身の経験に根差すメッセージをいただいた。「商社マンだった私が起業した時の手元資金は100万元。リスクを計算すると上海なら10カ月しか持たない。成都だったら2年持つ。そこで成都で起業した」と語る。「もし自分の技術に自信があるなら、お金に限らず応援してくれるスポンサーを募ることが大事だ。自分に足りない部分をどれだけ周りから引き出せるか、という対人能力がかぎを握る。歴史上、成功したギークの隣には必ずマネジメントに秀でたパートナーがいた。キーワードは『人』だ。そんな人にどうやって出会うか。人の中にどんどん飛び込んでいくことが必要だ。人生をかけた勝負はそこで決まる」と話した。
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