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ソニックウォール・ジャパン 中小企業から中堅企業へ パートナーとともに市場を拡大 これまでのFW/UTMに加えて、中堅・中小企業向けゼロトラストへの取り組み

2022/11/03 09:00

週刊BCN 2022年10月31日vol.1944掲載

 ITを脅かす脅威のトレンドが変化している中、ソニックウォール・ジャパンは世界中で稼働する110万台ものセンサー(製品)の情報をベースにセキュリティのエコシステムを提供している。日本市場ではこれまで中心だった中小規模の顧客に加えて、中堅規模の顧客の本格的な開拓を進めていく方針だ。製品の強みと、パートナービジネスへの取り組みなど日本市場への戦略を本富顕弘社長に聞いた。

シェアを順調に拡大 二つの特許技術が強み

 ソニックウォールでは、年に2回サイバー脅威レポートを発表している。2022年上期は、ランサムウェアが小康状態の一方、マルウェアの再拡大、IoTマルウェアや暗号化された攻撃の急拡大、さらに地政学的な影響によるサイバー攻撃など、ITを脅かす脅威のトレンドが変化しているという。

 こうした脅威の変化にいち早く対応すべく、ソニックウォールでは製品をはじめ市場に向けたアップデートを進めてきた。
 

 昨年より、SonicWall UTM(統合脅威管理)の第7世代(Gen7)の新製品TZシリーズ、NSAシリーズを投入しラインアップを強化した。
 
 「世界のファイアウォール(FW)市場において、当社が得意とするローエンドモデル(NSA3700以下)のシェアが拡大しており、現在23%超を獲得している。日本市場では20年がテレワーク、21年がGIGAスクールと大学キャンパスなどの文教系が貢献している。そして、この1年はGen7のローンチの成功が大きかった」と本富社長。
 
本富顕弘 社長

 また、他社が半導体不足の影響を受ける中、日本市場でSonicWall SMAはSSL-VPN装置の出荷台数No.1(富士キメラ総研調べ)を達成、市場成長率以上の成長を遂げている。

 SonicWall製品が強みとしているのは、セキュリティのエコシステムだ。リアルタイムの保護を実現する「SonicWall Capture Advanced Threat Protection(ATP)」は、全世界で運用する110万台以上のSonicWallセキュリティデバイスから上がる脅威情報を分析し共有する仕組みを提供する。脅威の30%を占める既知のウイルスはシグネチャが防御、残り70%の未知の脅威やゼロデイ攻撃はクラウドベースのマルチエンジンサンドボックスのCapture ATPが対応。疑わしいコードや暗号化で隠れたマルウェアの挙動を分析し、判定が下されるまでUTMでブロックする。特許技術の「RFDPI(Reassembly-Free Deep Packet Inspection)」により、パケットを再構築せずデータ解析やブロックを実施するため、高速安定スキャンを実現する。さらに、特許技術の「RTDMI(Real-Time Deep Memory Inspection)」が、メモリベースの検査技術を使ってCPUやメモリに潜む脅威も検知し、ブロックする。
 

 「多くの他社が単体のFWスループットを公表しているが、当社はIDS/IPS、アンチウイルス、サンドボックスなど複数のセキュリティ機能も有効にしたUTMスループットとして値を出している。TZシリーズ、NSAシリーズともに、上位機から下位機まで他社製品よりも優れた価格性能比とTCOを実現している」と本富社長はアピールする。

パートナーとのバンドル販売を強化 中堅企業へ市場拡大を目指す

 現在、同社が注力している販売の一つがパートナー製品とのバンドル販売だ。中堅・中小企業向けにインターネットサービスを提供するISPや、会計事務所向けソフトウェアパッケージを提供するアプリケーションベンダーの製品とのバンドルに加え、クラウドに接続する医療用検査機器への組み込み、マネージドセキュリティサービスプロバイダー(MSSP)、SSL-VPN装置「SMA」の月額レンタルサービスなど、さまざまなバンドル形態がある。

 「他にも組み込みの要望に柔軟に対応している。最近は、ホテルチェーン向けファシリティ販売会社に、セキュリティ機能を搭載したWiFiアクセスポイント「SonicWave」を製品ラインアップに加えて頂くなど、特定分野の新規パートナーも増えている。当社では、エンドユーザーに向けた直接サポートも提供しているので、パートナーの方々は販売に専念することができる」と本富社長。

 今年の日本市場へ向けた戦略については、まずGen7への移行を促進していく。旧世代と比べて第7世代は各種セキュリティ機能を有効にした場合のUTMスループットを2倍~3倍へと大幅に強化している。

 そして、リモートワークの普及など働き方が多様化する中で、今日の超分散環境でのセキュアなアクセスを実現するため、社内外を問わないゼロトラストに向けた取り組みも必須となる。そこで、従来のNGFW/UTMに加えて、多拠点でのセキュリティの需要に対応したSD-Branchの実現、NSM(Network Security Manager)による統合的なセキュリティ運用・管理を提供していく。

 「市場ターゲットも、これまでの中小規模から1000~5000人の中堅規模へと広げていきたい。TZシリーズからNSAシリーズへ、SMA100をSMA1000へというように上位機の販売に注力し、単一のネットワークを対象とするものから、複数拠点/分散環境に向けたセキュリティソリューションを提供していく」と本富社長。

 現在、拡販に向けた営業施策として即出荷・短納期キャンペーンを実施している。世界的な半導体不足やサプライチェーンの停滞が問題になっている中で、全注文の96%は3日以内の出荷(同社より引き渡し)を実現している。

 本富社長は「1台分のランニングコストで冗長化を実現できるHAライセンスキャンペーンも実施しているので、クリティカルなシステムを対象に導入を検討されているお客様、販売店様にも、ぜひ活用してほしい」と語る。
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外部リンク

ソニックウォール・ジャパン=https://www.sonicwall.com/ja-jp/