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ITジュニア通信2022年9月<第8号> IT技術者が全く足らない日本、今取り組むべきは教育だ──HATの南壽郎・代表取締役が理事に就任
2022/09/22 09:00
週刊BCN 2022年09月19日vol.1939掲載
ITジュニア育成交流協会(以下協会)は7月19日、2022年度第1回理事会を開催。理事として新たに、HATの南壽郎・代表取締役が就任した。会計ソフトメーカーの応研を経て04年に福岡市でハットワークス(現HAT)を創業。現在は、システムのリプレースなどに伴うデータ移行を一手に引き受けるユニークな「データお引越し便サービス」を軸に事業を展開している。協賛企業から理事が就任するのは今回が初めて。南代表取締役に協会参画の理由と意気込みを聞いた。
「長らくプレーヤーとして仕事をしてきたが、昨年、50歳を迎えるに当たって、お膳立てや環境づくりも大事と思うようになった」と話す南代表取締役。一方で「現在、全国的にIT技術者が激減し、案件がこなせない事態も生じている。システムの保守すら満足にできない現状に危機感を抱き、IT教育の重要性を痛感している」。
現在はベトナムやカンボジア、中国などでのオフショア開発も盛ん。とはいえ「例えばHATが取り組む業務系のシステムも、業種業態ごとに存在する商慣習を理解していなければ、開発に着手できない」。国内の技術者育成は必須なのだ。しかし「社業に追われる中、具体的に何をすればいいか、自分の中で腹落ちせずにいた」という。
そうした中、旭川モデルの全国展開を目指す協会の活動を知った。「自分でコードを書き、先輩に教えを請いながらプログラミングの楽しさをゲームを通じて自ら体験できるのは素晴らしい。この活動を広げていくことは、未来のIT技術者のすそ野を広げることにつながる」と感じた。「奥田理事長から、九州でU-16プロコンの周知活動を手伝ってほしい、と理事就任のお話をいただき、お受けすることにした」と話す。
経営者の集まりである公益資本主義推進協議会で、教育委員会に所属して小中学校を対象に出前授業なども行っている南代表取締役。これはこれで重要だが、出前授業はさまざまな業種の企業が行っている。IT業界の授業はそのうちの一つに過ぎない。しかも授業はたった1コマだ。ITに興味を持ってもらうにしてもほんの入り口。一方U-16プロコンは、継続的にIT技術者の卵を広く受け入れることができる。すそ野を広げるにはうってつけの活動だ。
HATが本社を構える九州でもプログラミング教育の機運は盛り上がっている。「20年に、JR九州のグループ会社が福岡市・姪浜に教室を立ち上げたあたりから盛んになっている。GIGAスクール構想で端末も行き渡り、プロコン開催の環境も整ってきた」と話す。
九州でのU-16の周知活動については「まずは先生方をはじめとするキーパーソンになりそうな方々にお会いして、話をうかがいたい。プロコンを実施しやすい環境づくりのために、どんなお膳立てが必要なのか、関係者の方々と一緒になって探っていきたい」と話した。
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