Special Issue
ビジネスPC・サーバーを販売する新入社員に向けて、レノボがオンラインセミナー開催
2022/06/29 09:05
「Lenovo 360」でパートナーとの協業を強力に促進
初めに開会の挨拶に登壇したレノボの荒木俊彦執行役員は、「2022年以降、Withコロナを見据えたハイブリッドワークへの移行が模索されるようになる」とし、働き方のトランスフォーメーションの検討、ビジネスモデルが大きくデジタルへとシフトする中で、領域を問わないコンピューティングパワーの活用、よりスピーディな社内システムの構築が求められる」と語った。レノボは、Smarter Technology for Allというビジョンのもと、あらゆる人にテクノロジーの恩恵を届ける事をミッションとし、製品ラインアップとして「ポケットからクラウドまで」を実現する唯一のベンダーだ。一方、製品やテクノロジーだけで全ての課題を解決できるわけではなく、特にサービス部分はパートナーとの協業で実現するソリューションが欠かせない。そこで先日、新たなパートナー支援施策「Lenovo 360」を発表した。
これは、「ポケットからクラウドまで」をパートナーと実現していくための施策で、オファリングと仕組みの両輪によってパートナーのビジネスをサポートする。今回、荒木執行役員はオファリングに限定して説明。「特に注力する領域は、ハイブリッドワーク、インフラストラクチャ、業種・用途別の三つ」という。
ハイブリッドワーク関連領域では、ハイブリッドワークをユーザー企業が実現するにあたり、その実現をサポートするクライアントデバイスを中心とする「働く環境」から、その裏側で働く仮想デスクトップ基盤、さらにテレワーク先を含む遠隔地間をシームレスにつなぐコラボレーションインフラまでを対象とする。
インフラストラクチャ領域では、ユーザーの事業構造の変化に柔軟に対応するためのフレキシビリティと俊敏性を両立したハイブリッドクラウド基盤、昨今活用が進むエッジコンピューティングのためのソリューションが含まれる。
業種・用途カットでは、業種・利用シーンごとに特化したオファリングとして拡張を進めていく予定だが、現段階ではデザインや設計などの領域に対して、ワークステーションや仮想現実などを活用した「トランスフォーメーション」に対する支援が主となる。
これら3領域を構成するレノボの製品は、設計、製造、そして運用段階での環境負荷を考慮したサステイナビリティへの配慮を行っており、ESGの観点で調達製品に対して要件を設けるユーザーが増えてくることが予想される中で、継続的な取り組みを実施している。
「いま社会に起こっている問題や全ての変革は、レノボ1社では完結できない。幸い、レノボには強固なパートナー様のネットワークがあり、レノボは常にパートナー企業と連携することで、お客様により近い環境で、複雑化する課題を解決する最適なソリューションとサービスを提供していく。レノボのポートフォリオと、パートナーの持つソリューションの組み合わせで、より深く、より幅広い解決策をお客様に向けて提供していきたい」とアピールした。
法人向けIT市場の最新トレンドとビジネスの現在地
続いて登壇した齋藤秀平・週刊BCN編集長は「法人向けIT市場の最新トレンドとビジネスの現在地」をテーマに講演した。
まず、齋藤編集長が強調したのが商流の変化。「メーカーからエンドユーザーへの直接的なアプローチが強まっている。そのため間接販売を担ってきたプレイヤーには、従来の『販社としての役割』に加え、『価値を共創する役割』が求められるようになっている」とした。その変化に対応すべく、週刊BCNでも、企業のIT製品選びをサポートする「事例ポータル」を開始。「これまでのメーカーとパートナーをつなぐBCNから、エンドユーザーまでをつなぐBCNへと変化している」という。
次いで、IT市場のトレンドとしてコロナ禍を振り返った。多くの企業でテレワークが定着しており、都内企業(従業員30人以上)のテレワーク実施率は、コロナ禍前の20年3月の24%が22年3月時点で62.5%となり、大企業ほど割合が高く8割を超える。
齋藤編集長は「コロナ禍で働き方が変わり、時間と場所の自由度が向上し、コスト削減も実現。ペーパーレス、脱ハンコ、さらにクラウドサービスの活用、オフィスの見直しも進む。そして、DXを目指す動きが加速している」と説明した。
週刊BCNが過去1年間で取り上げた主な特集のテーマからも、ITベンダーがDXをキーワードに新しいビジネスを展開していることが分かる。それだけビジネスチャンスが拡大傾向にあるといえる。一方、情報処理推進機構(IPA)の「DX白書」ではDXの取り組み状況が米国79%に対して日本56%と、日本のDXが道半ばだ。企業は「単なるデジタル化」にとどまらない「真の意味でのDX」を模索中だ。
今後のIT市場の見通しは、コロナ禍の不安感の継続や半導体不足などの不安要素もあるが、IT投資は拡大傾向との見方が目立つ。また、業種や業務に特化した支援が必要とされる。
働き方もさらに進化する。コロナ禍の急ごしらえのテレワーク対応からハイブリッドワークへと進む。それに伴い、業務を支えるPCのビジネスにも変化が求められる。Web会議を実施する中で、企業がPC性能不足に気付き始め、高性能機種の需要増、カメラやマイク、スピーカーにも注目が集まる。また、製造現場や設備保守といった現場向けのニーズ、キッティングなどのサービスが収益源になるなど、新たな活用シーンやサービスに商機を見出すケースも出ている。
「ただし、業務の中心は依然としてPCが担う」と齋藤編集長。家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」によると、PCのサイズ別販売台数の構成比は、15.6型、13.3型、14型の順。「14型は15.6型と13.3型のいいとこどりをしたもの。この3年で各メーカーが投入している機種数は2.3倍に拡大しており、ハイブリッドワークを支える主役になるかもしれない」とした。
最後に、本日のまとめとして、自分が扱う商材の強みを知る、市場の大きな動きにアンテナを張る、多様化、複雑化する顧客のニーズをしっかりと把握して提案をすることを挙げ、ITビジネスで日本全体のDXを支えていくべきと語った。
法人向けPC販売「キホン」の“キ”
次のセッションでは、レノボ・ジャパンの元嶋亮太・製品企画部マネージャーが登壇、「法人向けPC販売「キホン」のキ」をテーマに講演した。
コロナ禍前のテレワークは、大企業中心の極めて限定的な利用だった。コロナ禍であらゆる企業が取り組まざるを得なくなったが、緊急対応的な措置であり、アフターコロナでは「数年先」を見据えた働き方の検討が必要となる。
キーワードは「ハイブリッドワーク」、従業員一人ひとりが最適な環境を能動的に選ぶ時代の到来だ。働き方の選択肢の「幅」の確保こそが、企業や組織にとって重要となる。
では、ハイブリッドワーク化する世界で、場所を問わずに最高の生産性を実現するために、顧客に最適なPCをどう選定していくべきか。
19年までの日本市場は、ノートブックPCとデスクトップPCの比率がおよそ半々で安定。それがコロナ禍でノートPCが7割に増加した。以前は15インチ以上が6~7割を占めていたが、今はモバイルPCの需要が増加。特に、14インチの増加が目立つ。さらに、タイプも従来型のクラムシェルと、タブレットとしても使える2in1がある。
「お客様にどの製品を提案すべきか、100%の解はない。お客様の働き方をペルソナ化(類型化)して提案すべき」と元嶋マネージャー。
ここでユーザーによってニーズや置かれた状況は異なるが、という前置きのもとで、一例としてレノボが製品企画やユーザーとの対話の際に使用している四つのペルソナが紹介された。原則在宅勤務の「ホームワーカー」、事業所内での移動がメインでテレワークは稀の「フリーアドレスワーカー」、日々最適な勤務場所を能動的に選んで柔軟に勤務する「ハイブリッドテレワーカー」、オフィスの固定席で業務し原則テレワークがない「インターナルワーカー」だ。
元嶋マネージャーは、「一つのPCで全ての働き方には対応できない。それぞれの働き方に最適なデバイスを、3~5年先の働き方を見通して提案しなければならない」と説明した。
具体的にどのような製品を提案すべきか。注目キーワードの一つめはスペックの「i5、16 、256」だ。PC利用体験(UX)全体を左右する最重要ポイントで、提案のベースラインは、CPUにCore i5、16GBのRAMだ。このスペックを満たさないとオンライン会議のUXを損ねる。ストレージ提案のベースラインは256GB SSD。SSDとHDDで選択可能な場合、UXの観点からSSDを強く推奨する。
注目キーワードの二つめはディスプレイ解像度のFHD。より多くの情報を一画面に表示できることが生産性に直結するためで、提案のベースラインとなる。FHDは内蔵カメラにも当てはまり、高い臨場感によりコラボレーションがより自然に行うことができる。
注目キーワードの三つめはアクセサリ。例えば、マルチディスプレイの作業は生産性向上につながる。入力作業の負担を軽減する外付けキーボードもある。日本は海外と比べて従業員のUXへの投資が低いが、ハイブリッドワーク化する世界で、最高の生産性を発揮するには、一人ひとりの働き方に最適な環境を整えることが大切になる。
注目キーワードの四つめはCMPC(Connected Modern PC)。5G/LTE内蔵で、PCを開くだけでインターネットに常時接続できる。利便性に加えて安全性も担保できる。レノボでも、12インチから16インチまでThinkPadのほぼすべてのラインアップでオプションを用意する。
注目キーワードの五つめはクラウド活用。PC台数の増加で管理負荷が高まり、クラウド利用の拡大でADの認証が迂回されるケースも出てきた。また、以前は一つのマスターイメージから社内配布のPCを作成できたが、今では幅広い選択肢の提供を「より少ない工数」で実現することが求められる。それを可能にするのがレノボの提供する遠隔地からPCのキッティングを行う「ゼロタッチデプロイメント」のサービスであるとした。
エンタープライズ・サーバーの早わかり
最終セッションには、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズの金地秀夫・製品マーケティング統括本部製品部部長が登壇。「レノボ エンタープライズ・サーバーの早わかり 新人向け」と題して講演した。
まず、サーバーシステムの基本とサーバーが設置されるデータセンター(DC)を解説した上で、高信頼性・可用性向上を優先して設計されているサーバーの特長を説明した。「レノボのエンタープライズ・サーバーやストレージは、24時間365日、5年間の連続稼働を目標にデザインされている」と金地部長。
次いで説明したのがサーバーの仮想化技術。これはハイパーバイザー(仮想化ソフトウェア)を使用して1台のサーバーを論理的に仮想マシン(VM)として分割、複数のOSと、各OS上で複数のアプリケーションを稼働できるようにする。ハードウェア資源の有効活用が可能だ。大規模なものでは500を超える仮想マシンが稼働するシステムとなる。
一般的な仮想化システムの構成は、サーバー、ファイバーチャネルスイッチ、ストレージの3Tier構成(3層構造)。非常に多くの仮想マシンが稼働するシステムは、管理が複雑化することから、仮想化システムをシンプル化するハイパーコンバージドインフラ(HCI)が注目されている。HCIは、ハードウェアはサーバーのみで構成、ストレージが各サーバー内蔵のストレージをソフトウェアで定義し、システム共通の資源として利用する。拡張が必要に時はサーバーの追加で対応できる点がメリットだ。
一方、いまはオンプレミスの環境から、クラウド利用の高まりに合わせてパブリッククラウドとの連携によるハイブリッドクラウドの活用の関心も高い。クラウドやDCだけではなく、新たなデータがエッジサイドに生まれ、そのデータが爆発的に増加するという予測もある。
「こうした変化の中、レノボではエッジレイヤー、クラウドレイヤーに向けた、お客様へのシステム提案をしていく」としている。
続いて、サーバー提案のポイントを解説。「お客様ごとに多種多様な課題がある。ポイントは、他社と比べて、付加価値のある提案をすること。お客様と話をする機会を多く持ち、お客様が解決したいと考えている課題の優先事項を聞いておくこと。また課題をよく聞き、簡単なコンサルティングや、ワークショップの機会を持つことも大切。現時点の解決策にとどまらず、今後のロードマップを考えた提案が重要だ」と金地部長は強調した。
次に、Lenovoサーバーの強みを紹介した。レノボが大切にするのは、オープンであること、信頼されるパートナーであることだ。サーバー部門は、本年度からインフラストラクシャー・ソリューションズ・グループ(ISG)となり、製品提供だけでなくスマートなソリューションを提供していく。
注力分野は四つ。クラウドコンピューティングとしてプライベートクラウドとハイブリッドクラウド、分析とAIとしてハイパフォーマンスコンピューティングとAIに最適化したシステム。エッジコンピューティングでは、エッジサーバー、ワイヤレス/5G。最後に、As-a-Serviceとして、従量課金サービスのTruScaleの推進を挙げた。
「レノボサーバーの信頼性は、8年連続No.1(ITIC調査)。またパフォーマンスでも、ThinkSystemサーバーは、308の世界No.1のベンチマーク(22年4月1日現在)を持つ」とし、「レノボはサービスに注力しており、インフラの計画から導入、運用サポート、破棄までライフサイクルのすべてのフェーズでお客様を支援する。そして、パートナーの方々と共に、お客様を支援しながら拡販を図っていく」とアピールした。
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