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エイチシーエル・ジャパン 顧客を魅了するアプリをローコードで迅速に実現!「HCL Volt MX」 先端テクノロジーを統合したアプリをスマホ、Web、タブレット、IoTに展開
2022/06/16 09:00
週刊BCN 2022年06月13日vol.1926掲載
絶えず顧客ニーズが変化する時代では、顧客を魅了するユーザーエクスペリエンス(UX)を迅速かつ継続的に提供していくことが不可欠だ。しかし、魅力的なUXを提供するには大きなコストと時間を必要とし、またシステムの複雑さのためにトラブルになることも多い。そのような企業に必要とされるのがマルチエクスペリエンス開発プラットフォーム(MXDP)だ。「HCL Volt MX」はAR、AI、IoTなどの最新技術を統合し、スマホ、タブレット端末、Webのネイティブアプリケーションを一つのローコード開発環境で提供できるMXDPとして注目を集めている。IT投資を効率化しながら顧客満足度を高めることに貢献するはずだ。
UXを高めることで、生産性向上にも貢献
HCL Volt MXは、モバイルをはじめとしたマルチデバイス向けアプリ開発および実行環境を提供する。MXはマルチエクスペリエンスの略で、さまざまなチャネル(デバイス)に対応した、表現力が高いアプリをAIやIoTなどの先端テクノロジーを統合的に活用しながらローコードで開発できることを最大の特徴としている。「今や、アプリケーションは一つのプラットフォーム向けだけでは不十分で、特にBtoCの分野では、各種デバイスへの対応が不可欠。それを個別対応していてはコスト高で時間もかかり、ニーズを逃してしまう。そのため、一度アプリを構築すれば、ウェアラブル、モバイル、キオスクへと展開し、バーコードスキャナなどのIoTデバイスや没入型タッチポイント(VR/AR)を統合しながらも、容易に開発できる環境が求められている。それを可能にするのがHCL Volt MXだ」と吉田賢治郎・シニアダイレクターは語る。
Volt MXプラットフォームは、ID管理、統合、オーケストレーション、ビジネスプロセスの自動化、およびルール管理のための堅牢なサービスを備えており、クラウド基盤として提供される。iOS/Android/Windowsといった異なるデバイスで動作するアプリを効率的に開発することができる。
Volt MXは三つのコンポーネントで構成される。「Iris」はローコード開発環境で、アプリのフロントエンドインターフェースとユーザーエクスペリエンスを作成できる。
「付属コンポーネント、テンプレート、サンプルアプリを使用するとコードを約8割削減でき、現場のアイデアを数週間単位ではなく、数時間から数日で現実にできる」と吉田シニアダイレクター。
「Foundry」は、ミドルウェアサービスとしてデータ連携機能を提供、システム間の統合をオーケストレートする。バックエンドとサードパーティー製品の統合を加速し、優れたアプリを迅速に構築できる。
吉田シニアダイレクターは、「コンシューマー向けアプリと異なり、社内向けシステムは使いにくいものが多い。Volt MXをバックエンドと連携させてフロントエンドにいる各社員のUXを高めることで、結果的に生産性の向上に貢献する」と強調している。
システム連携においては、エンタープライズ、ソーシャル、汎用、ビジネスといった各分野の豊富なアダプター群が用意されている。
「Flare」は、ウィジェットやAPIのためのネイティブ機能インターフェース。開発フレームワークやツールとの組み合わせで、あらゆるデバイス用のアプリを設計できる。Volt MXマーケットプレースには、さまざまなウィジェットやプラグイン可能なアダプターが多数用意されている。
そして、ビジネスで不可欠なのがセキュリティだが、Volt MXは、TemenosとKonyという金融分野に非常に強いソフトウェア企業の技術統合で誕生した製品という強みを持つ。
「主なエンタープライズグレードのセキュリティ認証の取得や準拠など、高度なセキュリティ機能を備えている。Volt MXプラットフォーム上で開発したアプリは、確実なIDやデータの保護を提供できる」と吉田シニアダイレクターは語る。
SIベンダーにとっての価値と先行事例
Volt MXは、SIサービスを顧客に提供するベンダーにも多くの価値を提供する。社内システムのフロントエンドの統合力、圧倒的なユーザーエクスペリエンスの提供といったメリットに加えて、コマース、会員サイト用のネイティブスマホアプリの開発・保守で、コストが半減できるという。また、IoT、AI、AR機能の追加も容易なため、新たにこうした先進分野のビジネスへの参入を検討しているベンダーを後押ししてくれる。
「もう一つ、Volt MXの大きなメリットは、異なるプラットフォーム向けにアプリ構築する際に、それぞれの専門知識が不要で、顧客からの細かな要望やカスタマイズにJavaScriptだけで対応できる点だ。JavaScript技術者の確保は比較的容易で、技術者不足の解消やアジャイル開発プラットフォームとしても貢献できる」と吉田シニアダイレクター。
国内でのVolt MXの提供は7月からだが、すでに2020年に海外ではリリースされ、多くの企業で採用が進む。
例えば、小売業のMichaelsでは、EC(Web)と店舗での購買に共通のモバイルアプリを提供しているが、Volt MXでアプリを拡張して、コマース強化、スキャン&ゴー(セルフサービス決済)、カーブサイドピックアップ(駐車場受け取り)などのサービス追加により、収益を25%増加させた。
また、国内でも「Kony Mobility Platform」の名称で先行提供しているソフトバンクでは、アプリ提案から設計、開発・テスト、運用保守までを展開している。同社では、全日本空輸(ANA)に向けて、客室乗務員のタブレット端末用に、搭乗客の乗り継ぎ情報やミールオーダーを確認できるアプリと、客室内の不具合を整備士に報告するアプリを開発。これらのアプリは客室乗務員の意見を柔軟に反映しつつスピーディーな開発を実現し、顧客サービス向上につなげている。
「ぜひ、多くのSIベンダーやUXデザイン/サービスデザインチームの方々にVolt MXを採用ほしい。リリースと合わせて定期的なワークショップの開催を予定しており、新たにローコード開発を手掛ける方々をしっかりサポートしていく」と吉田シニアダイレクターはアピールする。
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