Special Issue
非構造化データ管理の最適化へ、クアンタムとアスク・エムイーが協業
2022/03/24 09:00
非構造化データに強いクアンタムと映像関連製品に強いアスク・エムイーでビジネス拡大
――まずは、どのような会社なのか、それぞれ教えてください。瀧口 当社は、Quantum Corporationの日本法人として、40年ほど前から国内で活動しています。創立当初はハードディスクのメーカーでしたが、現在は動画・静止画・テキストなどの非構造化データのためのストレージソリューションを提供しています。主力商品は、メタ・データ管理および非構造化データの高速転送ファイルシステムである「StorNext」、および独自アルゴリズムを採用したObject Storage、更に完全オフライン対策が可能なランサムウェア対策用の「LTO」テープストレージ・ライブラリーがあります。
前田 当社は1997年から海外IT製品メーカーの正規代理店をしており、現在は約100社のメーカー製品を扱っています。メディア&エンタープライズ事業部はその中でも映像関連ソリューションの製品を中心に扱っており、主なお客様には放送局や制作プロダクションのほか、医療・製造・教育・金融などの企業あるいは団体もあります。
――どのような経緯から協業に至ったのですか。
前田 当社はStorNextやバックアップ用LTOを以前から扱っていました。さらに、商材の一つであるメディア資産管理システム「CatDV」の開発元が20年12月にQuantum Corporationに買収されましたので、協業するのがベストだと考えました。
高度なデータ管理とデータ保護をStorNextとLTOの連携で実現
――非構造化データ用のストレージに関して、日本の企業はどのような課題を抱えているのですか。瀧口 二つあると思います。まず、デジタル変革(DX)を目指してデータドリブン型企業になろうとするには、メタ・データを含めたデータ管理を高度化しなければなりません。次に、ランサムウェア対策として、サイバー攻撃が届かないところで重要データが保護できるストレージシステムを導入することも急務となっています。
前田 データの多様性が増している今、メタ・データをいかに効率的に作成・管理するかも企業にとっての重要な課題となっています。望まれているのは、データをキャプチャー(取得)した時点でメタ・データを自動的に付加してくれるソフトウェアです。
――そのような課題に応えるために、両社はどのようなソリューションを提供されていますか。
瀧口 核となるのは、StorNextとLTOを組み合わせたソリューションです。StorNextはLTOと直接に接続できますから、キャプチャーからアーカイブまでの管理を一気通貫で行えるわけです。また、LTOはオフラインで使えますからサイバー攻撃を受けても被害をこうむることはなく、重要データをがっちり守れます。より高度なデータ管理が必要な場合は、当社のオブジェクトストレージ「ActiveScale Cold Storage」とLTOを組み合わせるといいでしょう。
前田 それらのソリューションにCatDVを加えると、制作者にかかる作業負荷を減らすのに効果があります。例えば、あらかじめ登録しておいたルールに従ってメタ・データを自動的に付加させることができますし、編集対象のデータを探すときもより効率的に検索できます。
――そうしたソリューションはどのような企業に向きますか。
瀧口 動画コンテンツを内製する企業型ビデオは全ての企業で必要だと思います。また、ActiveScale Cold Storageベースのソリューションは、科学技術計算・ヘルスケア・IoTなどの分野にも向くと思います。さらに、昨今注目を浴びているランサムウェア対策は全ての企業で検討いただけるソリューションです。データの保護・復旧は「水際対策」として必須ですし、「データの完全オフライン化による保護」はテープライブラリーの自動化だからこそ可能なソリューションだと思っています。ランサムウェア対策として現実的かつ最も効率的な投資として再認識いただければと思います。
前田 CatDVは、労働集約型の制作現場の働き方を改善したいと考えている企業に最適でしょう。
多業種で使われることを目指してブランド強化と認知度向上に注力
――マーケティングと販売の戦略を教えてください。前田 ディストリビューターとしての当社のミッションは、Quantumソリューションのリセラーを増やすことにあると考えています。そのためには、リセラーにとってビジネスチャンスが増えることをアピールする必要があるでしょう。また、エンドユーザー向けの発信も重要ですから、Webサイトでの情報提供や広告宣伝の仕方も変えていくつもりです。なお、エンドユーザー向けのシステム提案や技術支援は、当社の関係会社であるリーンフェイズが担当しています。
瀧口 当社はメーカーとしてのブランディング再強化を進めており、認知度を高めるための投資も存分にしていくつもりです。また、DXをきちんとサポートできる企業であることをお客様に知っていただくために、アスク様と一緒に全国を回ってメッセージアウトしようと考えています。特にアピールしたいのが、企業型ビデオとランサムウェア対策の二つの事業。簡単に導入できるアプライアンス(専用機)を求める市場の声にも、いずれ応えていきたいと思います。
――最後に、協業の今後の展望についてお話しください。
前田 ここ2年来のパンデミックによって、カスタマーサポートやオンライントレーニングの分野でもリモート化が急速に進行しています。当社は、この状況を重要な商機ととらえて、Quantum製品を扱う販売パートナーを増やすとともに、エンドユーザー開拓をしっかりこなしていきたいと思います。
瀧口 これまでは、CatDVを使われるのは放送局や制作プロダクション、LTOを使われるのは一般企業、という二極化の傾向がありました。アスク様はその両方の分野に知見と経験があるディストリビューターの数少ない1社であり、両社の協業によって、Quantum製品の窓口は広がっていくはず。映像系も科学技術系もDXもサポートできるチームとして、これからも活動を続けていくつもりです。
https://www.seminar-reg.jp/bcn/survey_quantum_ask/
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