Special Issue
平井卓也氏(衆議院議員) 全ての国民に恩恵が行き渡る社会へ 初代デジタル大臣がデジタル改革を語る
2022/02/10 09:00
週刊BCN 2022年02月07日vol.1910掲載
3日目には、衆議院議員の平井卓也氏が登壇。「わが国のデジタル改革について」と題して基調講演し、デジタル田園都市国家構想などについて語った。
自民党のIT戦略特命委員会に関わってきた平井氏は「コロナ禍で、日本のデジタル化の遅れが顕在化した。私は『デジタル敗戦』という言葉を使ったが、そうした過去の反省がデジタル庁の創設につながった。年内に重点法案を閣議決定する予定で進んでいるが、注目点は、今後5年間の工程表も発表すること。期限を決め、退路を絶ち取り組む姿勢から非常に注目度は高い」と強調。IMD(国際経営開発研究所)の「世界デジタル競争力ランキング」では2021年、日本が28位にまで落ちている。デジタル化に1兆5000億円の予算を費やしているのにもかかわらず、この現状を平井氏は「費用として使われているだけで、新しい価値(イノベーションや成長)を生む投資になっていないことが一番の問題」と指摘した。
この予算を国全体の成長につなげていくため、デジタル庁が打ち出すのが「トータルデザイン」で、国の全体システムを今後の時代の変化に対応できるよう変えていくというもの。平井氏は「日本が競争力を失う中で、今後の5年間は最後のチャンス。デジタル化の成功なしに日本の明るい未来は描けない。官民全てでマインドセットを変え、思い切ったチャレンジをすべきだ」と強調した。
目玉政策のデジタル田園都市国家構想は、地方からデジタルの実装を進め、新たな変革の波を起こし、地方と都市の差を縮めていくというものだ。そこで考えなければならないのは、新しいデジタルワークスタイルと新しい居住場所・生活スタイルも変わることという。「この2年間で経験したテレワークを戻さず新しいニューノーマルを創っていくことが重要で、100年に1回の転換点。新しい働き方だけでなく、新しい企業経営の在り方を創っていくチャンスと捉えてほしい」という。一方、オンラインのコミュニケーションは五感を使う対面のコミュニケーションの全てを代替できない。アナログ空間の価値が、デジタル化の進展で高まる。そこにビジネスチャンスとイノベーションがあるとした。
デジタル庁は「ガバメント・アズ・ア・スタートアップ」をビジョンに、民間人も入れてフラットな形で意思決定している。「国に役立つスキルをお持ちの方は、ぜひ力を貸してほしい」と呼びかけた。
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