Special Issue
「ネットワールドIBM Day 2021 Digital」を開催 注目を集めるIBMの分散クラウドソリューションを紹介
2021/12/23 09:00
週刊BCN 2021年12月20日vol.1904掲載
ネットワールドは12月3日、毎年開催しているパートナー向けイベント「ネットワールド IBM Day」をオンラインイベントとして開催した。今年のテーマは「IBM Cloud Paks 最新情報, そして注目の新ソリューション IBM Cloud Satellite, IBM Spectrum Fusion HCIに迫る!」と題して、日本IBMから3人のスピーカーが各製品の魅力を紹介。また、ネットワールドによるIBM Cloud Satelliteの設定手順と運用デモを交えた盛沢山のイベントとなった。
IBMのスピーカーが語る 分散クラウドソリューション
最初のセッションには、日本IBMでオープンソースエコシステム担当部長を務める小島克俊氏が登壇。「仮想化、コンテナ、分散クラウド、5Gビジネスを極限までやさしく説明します」と題して講演した。はじめに、仮想化とコンテナについて解説。コンテナはソフトのみでハードの仮想化環境と同等のメリットを提供する機能で、「仮想化よりも集約効果、可搬性が高い。デプロイが早く、長期的なコストが仮想化に勝る点がポイント」と語った。
「Red Hat OpenShift」は、コンテナ環境の商用製品としてオープンソースの進化による過度な変更点を少なくし、常に使いやすくしている。ハードウェア仮想化によるOpenStackとは対照的な切り口をもつ。また、IBMはOSSコミュニティに積極的に参加しているとした。
現在日本国内で提供可能な5Gサービスは、下り方向のスピードに対して上りが遅く、企業ニーズに応えられていないが、ローカル5Gを中心とした技術革新を示唆した。
「IBM Cloud Satellite」は、拠点の分散でコスト削減や機能の選択肢を増やすことが可能な分散クラウドの拠点を、わずか1時間程度で均質に作成可能。コンテナ環境の基盤運用はマネージドサービスに任せられることがメリットだ。また、既存アプリ群をコンテナ化した「IBM Cloud Paks」は、目的別に6分野を展開。オンプレ/クラウドの双方で使用できることを特徴とする。
最後に、参加者に向けて、コンテナ、分散クラウドは「さらに速くデプロイする」「既存サービスとの連携や統合」といった顧客のニーズへの提案をし易くできると語った。
次のセッションに登壇した、シニアITスペシャリストの古川正宏氏は、「IBM Cloud Satellite ~ オンプレでもクラウド・サービスが稼働する?!」をテーマに講演。まず、分散クラウドについて解説した。分散クラウドは、物理的にパブリッククラウドのデータセンターの外側でクラウドサービスを稼働させ、それをマネージドサービスとして提供する新しい形態のクラウドサービス。データを外出しできない、オンプレとクラウドで同じアプリが使用できない、クラウドサービスをオンプレでも使用したいというユーザーの悩みに対応できるとした。
コンテナ化ソフトのOpenShiftを稼働させる選択肢は複数あるが、分散クラウドにより、Red Hat OpenShiftのマネージドサービスをどこでも稼働できることで、OpenShiftの運用を省力化し、DX実現のためのアプリ開発に注力できるとした。
最後に、IBM Cloud Satelliteは、特別な機器が不要で、任意のタイミングで増設も可能。マネージドサービスにより最新機能を利用できる。ファイアウォールに外向けの穴を空けるだけで管理できる。また日本リージョンも利用可能とアピールした。
第3セッションには、ストレージ・エバンジェリストの佐野正和氏が登壇。「IBM Spectrum Fusion HCI ご紹介」をテーマに講演した。
まず、DXとソフトとテクノロジーとコンテナ技術の関係について解説。DX推進やビジネス上の競争を優位にするため、サービスをいち速くデプロイしたいというニーズがある。「各マシンにOSを含む仮想マシンは重いが、コンテナはカーネルの共有で軽く、高いリソース利用効率を実現。ゲストOS分だけ軽いことでコストを削減できる」とした。
コンテナ検討の現場では、インフラが後回しという問題がある。解決手段が、Red Hat OpenShiftベースのコンテナ環境向けHCI「IBM Spectrum Fusion HCI」。x86系サーバーによるコンテナ環境を提供、クラウド連携でハイブリッドクラウドを実現でき、シンプルな導入・管理、データ保護を特徴とする。
外部ストレージとの透過的アクセスを提供するAFM(Active file management)サーバーや、GPUオプションによりAI分析、機械学習基盤にも適応できる。IBM Cloud Satelliteとの連携で、IBM Cloud上のマネージドサービスを容易に展開できる。オンプレに加えて、IBM Cloudのエッジ環境として利用も可能だ。
「IBM Cloud Satellite」の作成は容易 ネットワールドが簡単設定デモ
最終セッションには、ネットワールドからSI技術本部ソリューションアーキテクト課の鈴木圭介氏が登壇、「IBM Cloud Satellite 簡単設定デモ」をテーマに講演した。IBM Cloud Satellite環境の構成に最低限必要な要素は、6台の物理マシンもしくは3台のハイパーバイザー、RHELライセンス、OpenShiftライセンス、IBM Cloudアカウント。これらを用いたIBM Cloud Satelliteの作成デモの実操作時間は4分21秒。続く、ROKS(Red Hat OpenShift on IBM Cloud)の作成も、実操作時間は1分20秒で完了。「Satelliteの作成は超簡単で、特別な知識も不要。実操作時間は6分以内」とした。
ホスト作成も、TerraformでOSインストールのライセンス適用を自動化。IBM Spectrum Fusion HCIなら、Satellite参加の直前までIBMに任せられるとした。また、OpenShiftには必要な機能が全て揃っており、Kubernetesに詳しくなくてもコンテナアプリを稼働できる。IBM Cloud/Cloud Paksと組み合わせで、より複雑な要件にも対応可能とした。
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