Special Issue
日本マネジメント総合研究所 働き方改革の出発点はIT化 浪費慣習を改めお互いに幸せな形で
2021/07/29 09:00
週刊BCN 2021年07月26日vol.1884掲載
業務効率化・デジタル化をテーマとした初日の基調講演に、日本マネジメント総合研究所 理事長の戸村智憲氏が登場。「DXによるニューノーマルでの飛躍への道:なぜ日本企業の業務効率化、生き方・働き方改革が進まないのか?」をテーマに、ムリなくムダなく長続きするサスティナブルなIT経営実現へのアプローチについて語った。
戸村氏は、コロナ禍で国内企業の働き方改革が進まない元凶として、(1)ジョブ・ディスクリプションの欠如もしくは曖昧さ、(2)働き方(および生き方)改革を論じる時に、人なのかITなのか、主語が曖昧であること、(3)幸せになるほどペナルティが与えられる職場・社会――という三つの理由を指摘。「これらを変えることが日本の社会と職場に大事」と説いた。
さらに、重要な要素として“お互いに幸せになる取り組み”の必要性を挙げる。「日本企業には、礼儀正しく利益をドブに捨てまくる虚礼・礼節ごっこ、すなわち“浪費慣習”がはやりすぎている」と、互いに不幸せを誘発する無駄の多さを問題視。紙にハンコ文化も同様で、「不正対策面と働き方・生き方改革面、お金の無駄という理由で罪深い行為を、お客様と一緒にやっている。電子契約に変えていくべき」と訴えた。
続いて戸村理事長は、変革の道筋に言及。残業対策をはじめとする働き方・生き方改革の出発点はIT化であり、その際に「情報システム部門を働き方改革や業務効率化、さらには経営改革を円滑に進めるための司令塔として育成するべき」と提案する。
社内で業務をデジタル化する際の進め方については、「付随業務の悩み解消から始めること」を推奨。例えば担当部門を「業務自動“課”」などと名付け、本来業務以外の面倒なエクセル業務や年末調整、精算書入力などの“知的単純労働”を吸い上げてRPAなどで自動化していくことで円滑に進めやすくなると解説した。
そして、これらの取り組みを業界やサプライチェーン全体で行うことが重要とし、「コロナ渦中でお互い大変な状況だからこそ、浪費慣習を足並みそろえて改める好機。新たな礼節を作れる」と話す。「1社の利益を超え、お互いにとってハッピーな状況を作る。そして、浮いたお金をIT投資の原資にすればいい」。これが、サスティナブルIT経営の本質である。
最後に戸村理事長は、ある意味改革を阻む最大のネックである日本企業の“様子見”体質にも釘を刺す。「様子見は、賞味期限ぎりぎりまで待って腐りかけを買うこと。後れを取る前に対応は早めに」と行動を促し、講演の結びとした。
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