Special Issue
まず取り組むべきは「現場のDX」、低コスト・ノーコード開発でアナログ業務のデジタル化とプロセスを改善
2021/05/25 09:00
全社のDXに取り組むには、「現場のDX」が不可欠
DXレポートから2年を経た2020年12月に経済産業省が公表した「DXレポート2(中間取りまとめ)」では、95%以上の日本企業がDXに未着手または途上という状況で、全社的な危機感の共有や、意識改革の推進というレベルには至っていないことが明らかになった。日本企業のDXが遅れる背景には、最初から全社レベルで取り組もうとすることが問題の一因になっている。全社のDXに取り組もうにも、コスト、人材を含めて解決すべき課題が多すぎて、何から手を付ければよいのか分からない状態になっているのだ。
実は、全社のDXに取り組む上で、欠かせないのが、店舗、倉庫、運輸、建設分野などにおけるフィールドワークのDXだ。デジタル化の取り組みにおいて、現場の視点は置き去りにされがちだが、日本企業のDX推進には、現場から収集されるデータが不可欠といえる。その意味でも、まずは「現場のDX」に注目する必要があるのだ。
「しかし、現場ではPCが使えないことも多く、紙ベースのアナログ業務が多く残る理由にもなっている」とマーケティング本部プロダクトマーケティング部の大野晶子氏は指摘。
その上で、「当社では、[現場のDX]を進めるにはまず、デジタル化やプロセス改善を実現していく必要があると考えている。PCが使えないことで、アナログ業務が多く残るフィールドワークの場でも、スマートフォンやタブレット端末など、デジタルやモバイルを活用すれば、業務プロセスを大きく改善することができる。また、[現場のDX]には、近年、ローコード/ノーコード開発が注目されている」と続ける。
低コスト、ノーコードのモバイルアプリ開発、現場のアイデアを即座に形できる
スマートフォンは誰もが使用している最も身近なデジタルツール。現場の運用に合わせた業務アプリならば、使い慣れたスマホ上でいつでも手軽に利用でき、デジタル化とプロセス改善が実現できる。だが、多くの企業ではモバイルアプリの開発を手掛けられる人材が不足している。「当社で提供しているPlatioは、ノーコードでモバイルアプリを作成するためのクラウドサービス。プログラミングが不要なため、システム部門ではない現場部門の担当者や管理者でも開発することができる。これにより、システム部門の負担も減らすことができる」と大野氏はメリットを語る。
開発手順は、100種類以上の多彩なテンプレートから選択するだけでアプリのベースが作成でき、業務に合わせて項目などを設定すればアプリが完成する。作成したアプリはすぐに配信して現場で使い始めることができる。
「“3日で”作成できると謳っているが、多くのユーザーは1日程度で完成させている。現場のアイデアを取り入れてすぐに形にすることができるので、作って終わりにせずに繰り返し改善していくことが重要である」と大野氏。テンプレートは倉庫棚卸し、営業日報、工場作業報告、顧客対応、修理受付、発注管理など豊富に用意され、現在も拡充が続いている。
また、開発したアプリは、スマホの中で動くネイティブアプリなのでデータ入力などの日常的な操作はインターネットが使えないオフライン環境でも継続できる。さらに、APIやデータ連携ミドルウェアの「ASTERIA Warp」を活用することで、DB系の本格的な業務システムとの連携も可能だ。Platioは初期費用ゼロで、月額2万円からという低コストでの利用が可能と、まず試してみたいと考えるユーザーにとって、手掛けやすい価格設定になっている。
すでに多くの導入事例を持つPlatioだが、代表例を二つ紹介しよう。
京セラでは、以前、40万点を超える製品を扱う巨大な物流倉庫を担当者が歩き回って紙のリストで棚卸しを行ってきた。在庫をチェックし、事務所に戻ってPCでExcelに入力していたため、用紙の受け渡しのための移動、目視チェックの時間や工数が発生、入力ミスもあったという。その改善に向けてPlatioで「棚卸アプリ」を1日で作成。棚卸しアプリにより歩きながら入力できるようになり、在庫管理業務が大幅に効率化。コロナ禍で気になる人との接触もかなり減らせているという。
ガレージやホースの製造販売など手掛けるカクイチでは、農業用の散水装置を扱う新規事業の立ち上げに合わせて紙で管理していたデータのペーパーレス化に取り組んだ。そこで現場報告の効率化に向け、Platioで生産~納品までの各工程で7種類のアプリを作成。さらにASTERIA Warpを利用して基幹システムと報告情報とを連携させた一元的なデータ管理により、トレーサビリティの確保を可能にしている。
「Platioなら、もし状況に変化が起きてもフレキシブルに対応し、迅速に軌道修正しながらより良いものにつくり上げていくOODAループ(アジャイル開発)の実践ができる。また、Platioは販売パートナー制度を用意しているので、もし自社開発に不安があれば、信頼できるパートナーと連携して、「現場のDX」に向けてはじめの一歩を踏み出してほしい」と大野氏はアピールする。
- 1
関連記事
アステリア DX推進の足掛かりは現場にノーコード型モバイルアプリ作成ツール「Platio」で業務改革
<対談>レノボ・ジャパン×アステリア GravioとThinkCentre NanoがIoTの現場導入を加速