Special Issue
オンプレミスなのに従量課金、成長するビジネスに最適な新しいインフラ利用スタイル
2021/02/25 09:00
サービス基盤の性能・安定性を、いかに改善するかが課題に
札幌市に本社を置くHBAは、システムインテグレーション、アウトソーシング、ソフトウェア開発の3領域で事業を展開する先進IT企業である。情報システム本部営業推進部の渋谷 功部長は、「各種業務システムの構築から運用・保守、さらにはデータ入力や帳票の印刷・加工・配送に至るまで、多種多様なニーズにきめ細かくお応えできる総合力が当社の強み。民間企業や自治体など、数多くのお客様の事業活動を支援している」と語る。そのビジネスの中枢を担うのが、自社データセンター「HBA-iDC」である。充実した設備を有する同データセンターは、北海道胆振東部地震で広域停電が発生した際にも稼働を継続。渋谷部長は、「お客様の大事なデータをお守りすることが我々の使命。当社が提供するクラウドサービスも、この安全な施設で運用している」と続ける。
その一つが、VDI(仮想デスクトップ)サービス「Hi-DaaS(ハイダース)」だ。同サービスは、2013年のリリース以来、顧客のセキュリティ対策や働き方改革に大きく寄与してきた。さらに今回、同社では、Hi-DaaSのサービス基盤刷新に着手。情報システム本部企業システムソリューション部エネルギーソリューション課の柄多聖司課長は、「最近ではVDIの適用領域も大きく拡がっており、通常のPCと同じように使いたいという要望が増えている。しかし、旧環境では、そのためのチューニングなどに多くの工数が掛かっていたため、サービス基盤の性能や安定性をより高めたいと考えた」と説明する。
HPE GreenLakeによる従量課金制度に着目
もともと旧サービス基盤は、いわゆる3Tier構成で構築されていた。このため、運用管理や障害原因の切り分けなどに苦労する場面も多かったという。そこで同社では、先進的なインフラ環境をシンプルに実現できるハイパーコンバージド・インフラストラクチャ(HCI)製品の導入を決断。その結果、採用されたのが、日本ヒューレット・パッカード(HPE)の「HPE SimpliVity 380 Gen10(SimpliVity)」だ。SimpliVityは、高い処理能力や耐障害性を備えていることに加え、高効率な圧縮・重複排除機能や高速バックアップなどの多彩な機能を備えている。さらに、今回の大きな決め手となったのが、HPE独自のコンサンプションソリューション「HPE GreenLakeフレックスキャパシティ(GreenLake)」である。
「GreenLakeを利用すれば、オンプレミスで導入した機器をクラウドと同じように従量課金で使うことができる。これは、Hi-DaaSのようなサービスに非常にマッチした仕組みだと感じた。例えば、サービス基盤を構築する際、採算性などを考慮して最初はスモールスタートで始めるケースが多い。しかし、その後需要が拡大した場合には、ディスクなどのリソースを別途追加で調達する。すると、最初に調達した機器とリースのタイミングがずれてしまい、最終的に無駄なコストが残ってしまう。その点、従量課金のGreenLakeなら、こうしたことが起きる心配はない」と渋谷部長は語る。
VDIのレスポンス向上に成功、運用管理の効率化も実現
インフラ構築面での工夫としては、SimpliVityの特長であるHCIコンピュートノードを活用している点が挙げられる。通常のHCI製品では、増設の際にHCIノード本体を追加する必要があるが、ディスク容量に余裕がある場合などは余剰な投資になりがちだ。その点、SimpliVityは、安価なIAサーバーをコンピューティング専用のノードとして組み合わせることで、コストを抑えつつ処理能力だけを高められる。同社でもこの利点を生かし、「HPE SimpliVity 380 Gen 10」×5ノード+「HPE ProLiant DL360」×5ノードの構成で今回のサービス基盤を構築している。「ディスクもSSD構成になったので、レスポンスも以前より格段に向上した。面倒な手間を掛けなくても性能が確保できるというのは、サービスを提供する立場としても大変助かる」と柄多課長は語る。これにより、動画やWeb会議などの重たいアプリケーションも、快適に動作することが期待されている。
また、運用管理の効率化にも大きく寄与。情報システム本部SIソリューション部の千葉康弘課長代理は「旧環境ではバックアップにも長い時間が掛かっており、朝方まで処理が終わらないケースもあった。その点、SimpliVityのバックアップ機能は非常に高速であるため、で今後はこうした課題も解消できるものと期待している」と語る。
SimpliVityはインフラ全体をVMware vCenterだけで統合管理できる上に、クラウドベースの運用監視プラットフォーム「HPE InfoSight」も用意されている。もし故障の予兆などが検知された場合は速やかに通報が行われるため、迅速な対応を取ることが可能だ。「以前はこちらから見に行かないとサーバーやストレージの状況を把握できなかったので、インフラの安定稼働を容易に維持できるようになったことは大きなメリット」と千葉課長代理は続ける。
ちなみにHi-DaaSでは、多様なアプリケーションに対応するためにフルクローン方式を採用しているが、SimpliVityの圧縮・重複排除機能生かすことで、十分な領域を確保できているとのことだ。
今後の需要増加にもスピーディな対応が可能に
さらに、もう一つ見逃せないのが、今後のサービスの成長にもタイムリーに対応できるようになった点だ。「GreenLakeでは、あらかじめ余裕を持ったスペックで環境を構築しておき、必要になった時点でリソースを利用することができる。お客様の要望に素早く対応する上で、こうした使い方ができることは非常にありがたい。通常のリースと違って、GreenLakeは保守サービスも含まれているため、TCO削減にも役立つ」と渋谷部長は語る。今回の取り組みを支援したネットワールドへの評価も高い。渋谷部長は、「当社がGreenLakeの採用を決めた時点では、まだまだ契約の詳細などが詰まっていなかった。しかし、ネットワールドが前面に立ってメーカーと折衝してくれたおかげで、安心して導入できた」と満足げに語る。
コロナ禍への対応も大きな課題となる中、Hi-DaaSへの引き合いもますます増えることが予想される。SimpliVityとGreenLakeが活用される場面も、さらに拡がっていくことになりそうだ。
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