Special Issue
サブスク型で“価値”を提供するPCビジネスの新形態「PC as a Service」
2020/07/27 15:30
「PC as a Service」
新型コロナのパンデミックが契機となり、企業におけるPC活用のニーズも変化している。さらに、消費の形態自体が所有から利用へと移行しつつある中で、PC領域においてもPCをサービスとして提供するPC as a Serviceというビジネスモデルが立ち上がりつつある。利用者は、利用する端末を短期間で乗り換えられ、PCの中身も柔軟に選べ、本来IT部門が実施しているような保守やサポートもサービスとして受けられる。Microsoft 365(旧Office 365)をはじめ、Adobe Creative Cloud、各種ビジネスアプリケーションのSaaSなど、アプリケーションの活用方法がパッケージ購入のインストール型からクラウドベースの利用型に変化。さらに、リモートワークを実践する機会の圧倒的増加によって、企業のPC端末に求められる要件やセキュリティ対策の方法も変わっている。
そもそもPCは、購入時をピークに性能が相対的に下がり、使用する過程でソフトウェアのアップデートによる障害も起きやすくなる。結果として、時間が経つにつれて活用している従業員の生産性も落ちていき、対応するIT担当者の負担も増える。であるにもかかわらず、長期間使い続けなければならないーー。従来型の購入を中心とした企業でのPC調達の仕組みは、これらの多くの問題を抱えている。
そこで、従来のレンタル型を発展させ、定額利用のサブスクリプションモデルと組み合わせたようなサービスとして登場したのが、PC(またはDevice) as a Serviceである。市場ではPCメーカーやディストリビューター、レンタル・リース会社が、近年サービスを拡大しつつある。
PCという商品自体はコモディティ化し、ハードウェアの販売で利益を出しにくくなっているが、PC as a Serviceではセレクトショップのようにソフトやサポートを含めた品揃えの“価値“で勝負をすることで、差別化を図ることができる。さらにサブスクリプション型なので、一度契約をして価値が認められれば安定してその後も収益を確保できる。商品バリエーションや他のサービスとのセット販売で、収益性を高めていくことも可能である。
そのためには、端末のみならず使い勝手の良いアプリケーションのラインアップも常に揃えておく必要があり、セキュリティ対策、障害対応体制の構築やサポートの充実も欠かせない。マーケティングの意識も刷新して、LTV(Lifetime Value:顧客生涯価値)を考慮し、カスタマーサクセスを念頭に置いた上で、長期的視野でサービスを展開していく必要がある。
このコロナ禍で、図らずともPCの価値が再認識された形となった。売り方を工夫すれば、まだまだPCビジネスに成長の余地はある。
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