Special Issue
放送、映像業界に向けた ノンリニア編集用タワー型 価格と信頼性を強みに業界でのブランド確立を目指す
2020/07/23 09:00
週刊BCN 2020年07月20日vol.1834 第2部掲載
研究・開発をはじめ、CAD、デザインなど高いグラフィックス性能を求めるユーザーから強く支持されるサードウェーブのワークステーション。同社では、高解像度映像によるノンリニア編集のニーズが高まる放送、映像制作の業界に向けた専用機として、このほどタワー型ワークステーション「THIRDWAVE Pro WORKSTATION X2612」をベースにカスタマイズした映像編集専用モデルの販売を開始した。製品の特徴と販売戦略を法人営業統括本部 営業1部の白方憲一部長に聞いた。
迅速に低価格で製品を提供
パートナーは利益が確保できる
「当社では、以前から高いグラフィックス性能を求めるお客様に向けたワークステーション製品をラインアップしてきたが、放送、映像制作の業界に特化したモデルまでは製品化していなかった。これまでは要望に応じた個別のカスタマイズで対応していたが、ニーズの高まりを受けて専用機を投入することにした」と白方部長は語る。映像編集専用モデルのベースとなるTHIRDWAVE Pro WORKSTATION X2612は、昨年7月にサードウェーブが研究・開発・デザイン・グラフィックスなどの分野に発売したモデル。CPUにIntel Xeon Wシリーズ、チップセットにIntel C422を搭載。メモリは標準で16GB、最大256GBまで搭載できる。
GPUにグラフィック分野の利用に適したNVIDIAのGeForceまたはQuadroを標準搭載でき、最大で2基まで搭載可能だ。ストレージは、PCIe Gen 3×4リンク速度で動作するM.2スロットの装備によって32Gbpsの帯域幅を提供。最大2TBのNVMe SSDを利用できる。また、オプション拡張カードを利用してRAIDアレイを構成することで、最大128Gbpsの超高速ストレージを実現することができる。
このX2612は、グラフィックス向けの汎用的なモデルだが、映像編集専用モデルは、放送・映像業界に向けたノンリニア編集用としての最適な構成を採用している。具体的には、高解像度映像の動画編集、画像編集に最適なGPUとしてNVIDIA Quadroを標準搭載し、外部接続端子として標準となりつつあるThunderbolt 3を装備する。
「加えて、一般的な映像編集ツールの動作確認を行う。従来はお客様自身が行っていた検証の工程を省くことで、より早く、より低価格で製品を提供することがわれわれの強みになる」と白方部長は強調する。
放送、映像制作の業界では最近、広告収入の落ち込みからコスト意識の高まりが顕著になっているという。一方で、フルHDから4K/8K映像へのシフトが進んでいるため、予算内でできるだけ多くの新しい編集機器を導入したいというニーズが高まっている。
「同じ予算で、他社の同一レベルの製品では2台しか購入できないが、当社の製品なら3台が可能になる。もちろん、販売パートナーの方々にとっても、他社製品と比べて、利益の出る製品になっている」と白方部長は説明する。
サポートを充実させて
ラインアップも強化
映像編集専用モデルのもう一つの特徴に、国内最終組み立てがある。サードウェーブのワークステーションは、その能力を最大限に引き出すため製品企画と最終組み立てを国内で行っている。これにより、製品の信頼性を高めて最大限のパフォーマンスを発揮できるとともに、万が一のトラブル時にも迅速なサポートを可能にしている。「放送、映像制作の業界では、われわれは新参者。コストメリットの訴求に加えて、製品に対するお客様からの信頼を獲得していくことが重要になる。ハードウェアである以上、障害の多少の発生は避けられないので、製品自体の信頼性を高めていくとともに、サポート体制の充実にも力を入れていく」と白方部長。
放送業界では24時間365日の稼働が基本となるだけに、それに合わせたサポート体制をできるだけ早期に構築するため、現在、パートナーとの連携を進めているという。
映像編集専用モデルの販売は、全てパートナー経由となる。今後1年間は業界でサードウェーブワークステーションのさらなる認知度向上を目指していく方針だ。
目標の達成に向けて、製品ラインアップの拡充も計画している。4K/8K映像をフルに使用する編集作業に対応するため、コア数重視の上位モデルのワークステーションをベースとしたモデルを年内にも投入する計画だ。
「製品の質、信頼性を高めて、X2612の型番が放送、映像制作の業界でブランドとして認知されるようにしていきたい」と白方部長は力を込める。
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