Special Issue
日本オラクル、ISVパートナーに向けてOracle Cloud戦略や構築ノウハウを紹介するイベント「OPN ISV Partner Online Forum」を開催
2020/06/18 09:00
日本オラクルのキーマンがOracle Cloudの戦略を紹介、大企業を中心に1000社以上が採用
開催のあいさつに続いて登場した日本オラクルの石積尚幸・執行役副社長アライアンス統括が「パートナー様との協業の取り組み」と題して講演。本格的なクラウド時代を迎えた現在、オラクルは自社ですべてを網羅する従来の方針を転換し、パートナーとの関係をより密にコラボレーションしていく方針に切り替えたと強調した。また、石積副社長はISVパートナーがビジネスをOracle Cloudへと移行する際に柔軟に対応できるよう、最適な提供モデル(ホスティングモデル・再販モデル・個別調達モデル)を揃えていることに加えて、充実した支援プログラムを用意していると語り、「皆様の商材をクラウド化して、お客様に届けるビジネスをオラクルとともに取り組んでほしい」とアピールした。
続いて、竹爪慎治・常務執行役員テクノロジー事業戦略統括が「デジタル・トランスフォーメーションを成功に導くデータ利活用」と題し、Oracle Cloudを活用した実例と特徴を紹介した。
竹爪常務は、「Oracle Cloudの三つの特徴(優位性)は、テクノロジーと価格、クラウドセキュリティ、データプラットフォーム。これに加えて、データドリブンによるDXを加速するための要素を主要各社と連携したソリューションとして提供していることだ」とした。
この優位性がユーザーからも高く評価されており、日本でも東京/大阪のリージョン開設以降で1000社以上がOracle Cloudを利用しているなど、すでに多くの実績を積み重ねている。中でも、ハイ・パフォーマンス・コンピューティング環境など、非常に性能要求の高い案件での採用が目立ち、ユーザー全体の8割がデータマネジメントにかかわるサービスを利用している。
「DXに取り組む企業の中で、ビジネスに新しい付加価値を提供できているのは1割にも満たない。その理由はレガシーシステムとのギッャブにあり、それを解決するのが、オラクルのデータドリブンによる単一のDXのためのプラットフォームだ」とした。
続くセッションでは、小守雅年・執行役員コンサルティングサービス事業統括クラウド・テクノロジーコンサルティング事業本部長が「クラウド・データベースで実現する次世代インフラジャーニー」をテーマに講演した。
小守事業本部長は、「Oracle Cloudは、さまざまな要件に対応できるOracle DatabaseのPaaSを提供している」と強調し、エディションの違いによる機能を紹介した。
エントリーのSE(Oracle Database Cloud Service Standard Edition)版でも、DBを数クリックで構築可能、オンプレで培ったOracle Databaseのノウハウをそのまま活用可能、DB複製が容易などの点がある。DB複製により、DWHへの活用、トラブル対応の迅速化、本番環境を稼働させたままのテストなど、多くのメリットがある。ハイパフォーマンス(Oracle Database Cloud Service Enterprise Edition - High Performance)版では、パーティショニング、マルチテナント、管理者による情報漏えいの防止機能などが利用でき、運用の効率化とセキュリティ向上に寄与するとアピールした。
ISVがOracle Cloudを選択するメリットをテーマに対談
続くセッションでは、スーパーストリームの山田誠・取締役企画開発本部長が「SuperStream Oracle Cloud正式対応について」をテーマに講演した。同社の「SuperStream」は日本を代表する国産財務会計・人事給与パッケージで、導入実績が9400社以上、上場企業の780社が採用する。オラクルとは1995年から協業し、 SuperStreamのDBにOracle Databaseを採用している。
「SuperStreamユーザーの95%がOracle Databaseを採用するなど、エンタープライズ領域では圧倒的で、最も信頼がおける製品だと高く評価している」と山田取締役。
同社のユーザー意識も変化し、人事・給与システムでも、本格的にクラウドを採用する時代となっている。同社はすでに2011年にSuperStreamのクラウド対応を実施している。「クラウドはユーザー全体の2割程度だが、この数年の新規の割合では7対3でクラウドが多数を占めている」という。
今年夏にはSuperStreamのクラウド環境をOracle Cloud上にも構築する予定だ。実は先行して今年4月15日に自社で使用しているSuperStreamの会計・人事システムをOracle Cloudに移行した。
「実質的な作業時間は2時間程度で、全くトラブルなく容易に移行できた。しかも、ユーザーはインフラが変わったことに誰も気付かないほどだった」と山田取締役は語り、「今後はこの成功を元にして、オラクルとのパートナーシップをベースにSuperStream Cloudの拡販を進めていく」と力強く宣言した。
最終セッションでは、日本オラクルの竹爪常務とスーパーストリームの山田取締役による対談で、日本オラクルの三島将嗣・アライアンス統括 ISV/OEM営業本部本部長がファシリテーターを務めた。
まず、クラウド化の理由を問われた山田取締役は、コスト面やハードの保守から解放されたいというユーザーからの求めがきっかけだったと明かした。
クラウドを活用してどのようにシステムの拡張や変革を行っていただきたいか、という問いに竹爪常務は「オラクルが目指すのはDXに向けたデータの利活用であり、運用からの解放やコスト削減だけでなく、より付加価値の高いところに貢献していきたい」とした。
その前段階で、オンプレのオラクルをクラウドに移行しても変化に気付かないくらいスムーズな移行ができるようにする。その先では、Oracleに入っているデータを他システムや他のクラウドと連携させると、Oracle Cloudの価値がより高まるとアピールした。
だが、クラウド化の全てがバラ色ではない。移行する際の課題や苦労について山田取締役は、オンプレミスに比べて初期費用が低額に抑えられるサブスクリプションライセンスへの抵抗感が、営業部門およびSuperStreamパートナーに存在したという。しかし実績が増えていくにつれて月ごとの売上が積み上がっていき、ストックビジネスのメリットを実感するようになっていった。また、ネットワーク技術の不足も課題になった。
竹爪常務は、特に運用面でオンプレのやり方をそのままクラウドに適応できるわけではないため、そこを埋めるコンサルテーション能力が必要になったとした。
パートナーとの関係性も変化した。竹爪常務は、「クラウドはオンプレと違って売って終わりではないため、次につながる提案が欠かせない。それが良い意味で、中長期でのお客様との関係性を高めることにつながる」という。
山田取締役は、すでに他社クラウドで稼働させていたサービスについて、Oracle Cloudにおいても採用を決めた理由を、次のように説明。
「三つの理由があった。第一は、Oracle DBを移行するにあたってのライセンスコストの安さ。二点目は、パブリッククラウドをわれわれ自身で展開できることにより、資本関係のない企業の方のシステムでも載せられること。三点目は、グルーブ会社も含めたシステムを載せたいという時でも、Oracle Databaseとの高い親和性を備えているので、拡大定義などを考慮せずに載せることができる」という。
Oracle Cloudに期待してほしいポイントとして竹爪常務は、Oracle Databaseが長年培ってきたデータマネジメント加えて、エンタープライズレベルでの高い信頼性をあげた。
一方、山田取締役は技術面から、Oracle Autonomous Database Cloudをあげる。「データベースを停止せずにスケールすることができる。これはオラクルだけが可能にする唯一のもの。これにより従来は夜間にしかできなかったバッチ処理を、昼休み中に処理することも可能になる。運用柔軟性という意味でも大きなメリットだ」とした。
- 1
関連記事
IBCとIoTBASE、IoTセキュリティサービスの提供で業務提携
日本オラクル 大阪リージョンを「フルサービス」で開設 加速するGen2 Cloudのインフラ整備
日本オラクル、「Oracle Generation 2 Cloud」の大阪リージョンを開設
日本オラクルとYahoo! JAPAN、広告効果計測分野で連携、広告効果を正しく把握
Oracle Open World 2019 レポート、Oracle Cloudの大きな転換点になるか、オープンエコシステム型で成長を図る