Special Issue
「Wi-Fi6」への刷新対応でビジネスに商機あり
2020/02/20 11:07
「Wi-Fi6」(IEEE 802.11ax)
昨年10月に運用が開始された、Wi-Fi Allianceが認定する無線LANの新規格であるWi-Fi6。正式な規格名はIEEE 802.11axであるが、一般的には従来の規格と区別しにくいため、6代目のWi-Fi規格という理由からWi-Fi6との別称で呼ぶ形となった。同様に、従来の11acは「Wi-Fi5」、11nは「Wi-Fi4」となる。最大通信速度(理論値)は9.6Gbpsで、Wi-Fiの2.4Ghz帯と5GHz帯の両周波数帯域に対応する。Wi-Fi6では、実行速度が大幅に改善されたうえ、OFDMA(直交波周波数分割多元接続)技術の採用により同時接続を実現、混雑下でも低遅延で安定した通信が可能になった。これにより、駅などでWi-Fiが繋がらない問題が解消されるとともに、3月から順次開始が予定されている携帯電話向け規格の5Gと相互補完し、これから加速するIoT社会、Society5.0時代を支えるインフラとしても機能する見込みである。
世の中では5Gほど話題になってはいないが、ビジネスユーザー向けにサービスを展開するITベンダーとしては、5GよりもWi-Fi6の方が商材としては扱いやすいと考えられる。市場では、Lenovoをはじめとするパソコンやスマートフォン、ルーター、アクセスポイントといったWi-Fi6認証または対応製品が続々と発表されている。
主要メーカーのルーター、iPhone11シリーズやGalaxy S10シリーズなどの人気端末がすでに対応していることもあり、今後本格的に対応デバイスも増えて、それぞれの価格も安定していくと考えられる。
IT活用が加速するオフィス内では、モバイル端末とOffice365などのクラウド型・SaaSアプリケーション利用の増加に伴い、通信が高密度化する。そのため、安定した通信を確保するためにオフィス内の無線通信環境も刷新する必要がある。
無線LANが高速化しても、Wi-Fi6の通信速度に対応していない旧来の有線ネットワーク部分がボトルネックになる可能性があるため、スイッチの更新や回線の引き直し、増速が必要になるケースも想定される。また、モバイルデバイス数の増加と共に、モバイルユーザーが頻繁に場所を移動するようになるので、ネットワーク管理者は動的な変更に柔軟に対応する必要がある。当然ネットワーク管理の負担も増えるため、IT管理者の働き方改革の側面からも機器やシステム導入による対策は必須となる。
このように、オフィスに限った範囲でも改善提案できるポイントは多岐にわたる。Wi-Fi6は、5Gの登場とあわせてネットワーク業界においてこの10年間で最も大きなイベントと言われており、それだけITベンダーのビジネスに与えるインパクトも大きいのである。
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外部リンク
レノボ・ジャパン=https://www.lenovo.com/jp/ja/
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