Special Issue
<BCN CONFERENCE 2019 冬>経済産業省 Society5.0時代に求められる考え方と今後の政策展開 リアルデータ分野では日本企業は戦える
2020/02/20 09:00
週刊BCN 2020年02月17日vol.1813掲載
ビジネスで大きな変遷が起こっている。第4次産業革命の第1幕となるバーチャルデータ(ネット上のデータ)の競争では、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンのGAFAを中心とする海外勢にプラットフォームを握られ、日本企業は「小作人化」された形だ。「しかし、第2幕で主戦場となる健康・医療、製造、自動操作などのリアルデータの分野では、日本企業が戦える可能性が十分ある。ITによりリアルデータを活用し、いかに高付加価値で新しいサービス展開ができるかが勝負になる」と沼尻課長補佐は強調する。
そこで、不可欠なのがSociety5.0につながる「Connected Industries」の実現である。具体的には、さまざまな業種、企業、人、機械、データがつながり、AIなどにより新たな付加価値や製品・サービスを創出。生産性を向上し、高齢化、人手不足、環境・エネルギー制約などの社会課題を解決していく。その結果、産業競争力の強化、国民生活の向上・経済の発展につながるというわけだ。
経産省では、「自動走行・モビリティサービス」「ものづくり・ロボティクス」「バイオ・素材」「プラント・インフラ保安」「スマートライフ」をConnected Industriesの重点取組分野に、これまで25件のプロジェクトを支援してきたが、令和2年度は30億円の予算を組む予定だ。
Society5.0(ポスト情報社会)の特徴は、いろいろな産業のさまざまなデータが、AIにより人を介さずにやり取り・処理され、つながる。それには、全体の整合性をとり、大きな見取図を描く人が必要となる。この見取図を経産省では「アーキテクチャー」と呼ぶが、それがないと、データはつながらず、オープンイノベーション(分業)が進まず、安心・安全の担保もできない。このアーキテクチャーをデザインできる人材の不足が日本企業が直面している課題。そこで、アーキテクチャーを重点的に整備する分野に、規制分野(スマート保安、自律移動ロボット)、政府・公共調達分野(産業基盤分野、介護)、産業基盤分野(MaaS、製造小売サプライチェーン)の3分野6テーマを上げるとともに、「来春にはIPAの機能を拡張して、産業アーキテクチャー・デザインセンター(仮称)を立ち上げ、そこを中心に取り組む。また、データ活用を容易にするための新しいガバナンスモデルをつくっていく」と話した。
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