Special Issue
rhipe Japan 日本法人「rhipe Japan」が本格始動 SMB市場に向けマイクロソフトクラウド製品を拡販
2020/01/30 09:00
週刊BCN 2020年01月27日vol.1810掲載
日本ビジネスシステムズ(JBS)とオーストラリアのrhipeが共同出資したrhipe Japanの設立は2019年9月で、20年1月に本格的にビジネスをスタートさせた。Microsoft CSPとして、アジアパシフィック(APAC)で豊富な実績を誇るrhipeのビジネスの強みを生かして日本でパートナーを募り、SMB市場に向けたマイクロソフトクラウド製品の拡販を目指す。丸田淳一・カントリーマネージャに、rhipe Japanの狙いとビジネスおよびパートナー戦略を聞いた。
APACで最も成功している
Microsoft CSP
03年に設立したrhipeは、オーストラリアのシドニーに本社を置くクラウド製品を専門とするディストリビューター。APACで最も成長し成功しているMicrosoftのIndirect CSP(クラウドソリューションプロバイダー)でもある。実際、そのビジネスは年率33%もの急成長を遂げており、4000社を超えるパートナーとの協業体制を確立。Office 365で100万シート、Microsoft Azureで3000テナントの販売実績を誇る。「rhipeはマイクロソフトのグローバルマネージドパートナーで、売り上げの7割がマイクロソフトビジネスだ。世界第2の市場である日本には、3年前から参入機会を模索していた。それにはrhipeのビジネスモデルを持ち込むだけでなく、国内でのネームバリューと信頼が必要なことから、国内No.1のMicrosoft Gold Cloud Competency PartnerであるJBSとパートナーシップを結んだ」と丸田カントリーマネージャ。
rhipe Japanがターゲットにするのは、クラウドビジネスにいまだ着手していない中堅・中小企業。言い換えれば、デジタルトランスフォーメーションが進んでいない企業だ。マイクロソフトクラウド製品の拡販を通じて、クラウドを活用した日本の中小企業の生産性向上を支援していくことをミッションに掲げている。「特に、これまでマイクロソフトのパートナーエコシステムに参加していない企業の方々にアプローチして、われわれのパートナーに迎え入れたい。また、スタートアップ企業や小規模IT事業者への円滑なビジネスサポートにも、一緒になって取り組んでいく」。まずはマイクロソフトの「古くなったOffice乗り換えキャンペーン」の開始に合わせ、「Teams活用支援センター(https://www.rhipe-katsuyo.jp/teams/)」を1月27日にオープン、中堅・中小企業のクラウド導入の支援を推進していく。
一連の処理を自動化できる
「PRISM」を無償提供
rhipeがAPACで急成長を遂げてきた背景には、マーケティング、コンサルティング、365日サポートなどの付加価値サービスを提供し、多くのパートナーとの協業体制を確立してきたことにある。パートナーに向けて、サブスクリプション販売を加速するためのさまざまなサービスを用意するが、特に注目されるのがCSPの運用に必要な機能をそろえたポータル「PRISM」の無償提供だ。PRISMは、顧客登録と管理、価格確認、製品購入、使用状況の確認、請求書取得まで、パートナーが必要とする一連の処理を完結できるようにした業務システムポータル。請求書も顧客ごとに自動生成されるため、サブスクリプションの販売管理、プロビジョニング、請求管理といった業務を大幅に効率化できる。
「私自身、前職でSIerや販社の方々のコンサルティングを担当してきた経験から言えば、サブスクリプションの販売管理に3人程度の専任スタッフを割いているケースが多い。PRISMは契約管理もできるので、一連の業務を自動フロー化して、専任担当者をゼロにすることも可能だ」と丸田カントリーマネージャ。
rhipeは、グローバルマネージドパートナーとして米マイクロソフトとの強いパイプを持つ点も他のCSPと比べた強みだ。また、Microsoft Partner Centerと毎日同期を取り、PRISM上で行われた更新は、パートナーセンターで即座に更新される。
丸田カントリーマネージャは、「例えば、Azureで課金制度の変更が行われた際には計算も複雑になり、変更の反映が遅れると請求時にズレが生じてしまう。PRISMはほぼリアルタイムで反映されるので、そうしたトラブルがない。われわれは、米マイクロソフト本社に直接、問い合わせや要望をエスカレーションできるパスを持っており、情報はいち早く入ってくる。実際、昨年10月の改定でも情報を得て対応していたため、発表と同時期に反映を終えていた」と説明する。
PRISMはAPIも提供しているため、パートナー独自のシステムとの連携も可能で、Azureだけでなく、既にパートナーがAWSの管理システムを稼働中の場合はデータを取り込むことでマルチクラウドの統合管理もできる。
もう一つの強みがサポートだ。rhipeクラウドサポートチームは、15カ国で対応してきた実績と100万シートのOffice 365の販売で蓄積してきたナレッジを活用。平日は24時間、土日祝日は9~15時、日本語/英語のサポートに対応する。今後は、JBSの技術者による支援も提供の予定だ。
このほか、デジタルマーケティングを活用した販売支援も提供し、豊富なコンテンツ、最新のWebinarシステムを活用したトレーニングメニューを用意。地方のパートナーに向けては、オンライン商談システムを活用して支援していく。
日本法人は当初、マイクロソフトのクラウドビジネスと深くかかわり、日本での普及を担ってきた少数のスペシャリストでスタートし、業容に合わせて増員を計画している。
「マーケットに向けたアプローチ方法もパートナーの方々と一緒になって考え、裏方としてしっかり支えていく。PRISMは、マイクロソフト製品に限らず他のサブスクリプションサービスを取り込むことができる。これを核にエコシステムを発展させたい。今後3年で、300社のパートナー、20億円の売り上げを目指す」と丸田カントリーマネージャは力を込める。
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