Special Issue
「ネットワールド IBM Day 2019」を開催 IBMソリューションを活用したマルチクラウド時代のIT必勝法
2019/12/26 09:00
週刊BCN 2019年12月23日vol.1806掲載
ネットワールドは2019年11月21日、IBMビジネスの最新情報を伝える恒例のパートナー向けイベント「ネットワールド IBM Day 2019」を東京都目黒区のホテル雅叙園東京で開催した。講演にはネットワールド、日本IBMのほか、IBMパートナー企業からスタッツギルド、AIT、レッジの3社の担当者が登壇。「IBMが描くAIの近未来」や「IBM Cloud Paksシリーズ」の紹介をはじめ、ネットワールド独自の視点からマルチクラウド時代のIT活用必勝法を解説した。
革命的なBroad AI時代の幕開けとなるか、“ヒトと議論するAI”
開会のあいさつには、ネットワールドの森田晶一社長が登壇し、「2018年12月期は売上高1000億円を達成した節目の年となった」と事業の成果をアピールし、さらに19年は1200億円に達する見込みだと語った。また、IBM関連のビジネスも拡大を続けており、今年も10%近い増収が見込めるとした。20年のビジネスについては、いち早く新しい技術に触れて、その幅を広げていく方針を打ち出した。また、クラウドの成長が鈍化しているが、セキュリティ、(思ったよりも高い)コスト、ベンダーロックインといった理由から、オンプレへの回帰も見られるとした。これから注目する分野として、ストレージの変化(大容量化やオブジェクトストレージ)、コンテナ管理、クラウド管理、そしてNVIDIAのGPUを搭載するIBM Power Systems AC922(通称: IBM Newell)を挙げた。
続いて日本IBMの熊谷貴司 研究開発ThinkLabセッションコンサルタントが「The Future of Computing~IBMが描くあなたの知らないAIの近未来」と題し、「ビット+ニューロン+量子ビット」をキーワードにコンピューティングの発展の歴史と未来について講演した。
現在のAI技術段階を「Narrow AI=狭いAI」とし、科学者などが目指す人を超越したAIを「General AI=汎用AI」とすれば、General AIの登場はかなり先の話で、IBMではNarrow AIの次のステップ「Broad AI=広いAI」の実現を目指している。
Narrow AIは着実に進歩しており、山形大学が11月に発表した新たなナスカの地上絵発見を一例に挙げた。これはIBMとの共同研究で、現地調査とAIによる高解像度三次元画像データ解析により実現した。
Broad AIでは自然言語、音声、画像など複数の分析技術を組み合わせ、広く高度な課題領域に柔軟に対応できる。その実用化研究の一つがDebater AIで「政府は保育園を助成すべきか」など立場によって見解が異なる問題を人間と議論できる。
また、10月にリリースされた53量子ビットの量子コンピューターについては、「一説では現在の全世界のコンピュート力は40量子ビットの量子コンピューターに相当すると言う。量子コンピューターの性能は1量子ビット増えると倍になると単純計算すると、53量子ビットはその8000倍に相当する」と説明した。
既存アプリのコンテナ化で
容易にクラウド移行が実現
続いて登壇したネットワールドのSI技術本部ソリューションアーキテクト課の鈴木圭介氏は、「ネットワールド最新注目ソリューションおよびパートナー様戦略 Road to IBM Cloud Paks」をテーマに講演した。まず、コンテナとKubernetesについて解説。コンテナは同じアプリをより軽く、早く、いつでもどこにでも提供できるもので、Kubernetesはコンテナ化されたアプリを合理的に運用するためのプラットフォームと説明した。日本のコンテナ市場規模は、2018年から25年にかけて12倍に拡大することが見込まれる。その上で、IBM Cloud Paksについて説明した。Red Hat買収でソフトウェアポートフォリオをRed Hat OpenShiftに持ち込み、Red HatのKubernetesベースのコンテナプラットホームで、ユーザーはクラウドを問わずアプリ、データ、ツールの使用がそのまま可能となる。IBMはすでに100製品を超えるプロダクトをOpenShiftに最適化し、六つのCloud Paksとして提供を開始した。そして「コンテナの活用でシステム作りが大きく変わる。Cloud Paksを販売するチャンスがこれからやってくる」と参加者に向けて訴えた。
後半は、マーケティング本部ソリューションマーケティング部の竹上裕氏が登壇し、Cloud Paksの三つの販売方法をはじめ、IBM再販ルールの変更や各種ファシリティなどについて説明した。また、「20年3月末までIBMパワーアップキャンペーン(セールスコンテスト)を実施しているので、ぜひモチベーションにしていただきたい」と呼び掛けた。
最後のセッションでは、パートナー企業3社がそれぞれのIBMビジネスを紹介した。
スタッツギルドの柳沼保広・SPSSセールス&マーケティング部シニアセールスマネージャーが、IBMのSPSS製品とその支援サービスについて紹介した。「当社では、SPSS製品を活用した価値創出のため、製品選定・導入支援から、教育支援、分析支援を提供しているので役立ててほしい」とアピールした。
AITの環貫修・ソリューション営業本部アナリティクス&サービス営業部部長は、SPSSによるアナリティクス事例を紹介した。「SPSSは業種・業態を問わず活用できるツールであり、当社では180社にライセンス提供し、100社以上のサービス導入実績を持っている」と語った。
レッジの中村健太CMOは、同社が手掛けるAIコンサルティング事業で得られた知見として、「AI開発/導入プロジェクトは、従来のシステム開発とは違う」と指摘し、成功させる四つの秘訣として、軽く早く小さくやる、発注者側のリテラシー、社内外の根回し/巻き込む工夫、課題発見力を挙げた。
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