Special Issue
日本マイクロソフト 最新テクノロジーで生産性向上へ 「ハイブリッド」がDXのカギ
2019/10/10 09:00
週刊BCN 2019年10月07日vol.1795掲載
今も昔も
「目的」は変わらない
マイクロソフトは 2001年時点で既に「Agility」を訴求していた。Agilityが何を意味するのか。これは現在においては、市場から利益や価値を獲得するために求められるビジネス活動を迅速に遂行し、従業員の生産性の最大化や、これまでは個別に構築されていたシステムを統合された柔軟な基盤を構築していく、ということを意味する。佐藤壮一・マーケティング&オペレーションズ部門 Azureビジネス本部 製品マーケティング&テクノロジ部プロダクトマネージャーは、「お客様の業務効率化や生産性を上げるために最新テクノロジーを活用することが必要なのであって、あくまでお客様の『目的』を果たすことが大事」と前置きした上で、「この考え方は、今も基本的に変わっていない。例えば、クラウドは最新テクノロジーを利用する場であって、目的を達成するための『手段』に過ぎない」と強調。クラウドを使うことが目的でなく、目的のためにクラウドを使うということだ。そのため、「お客様の目的は、今も昔も変わらない」と説明する。
高添修・パートナー事業本部 パートナー技術統括本部 クラウドアーキテクト本部 クラウドソリューションアーキテクトは、「変化に対応するため、『早く変わらなければならない』というのが今の時代」と付け加える。また、ユーザー企業が素早く最新テクノロジーに取り組むための策の一つとして「Cloud Center of Expertise(CCoE)」を挙げる。CCoEとは、業務改革と最新テクノロジーの融合、企業全体のスキル向上とベストプラクティスの共有のため、業務部門とIT部門が部門間の壁を越えて共に学び、実践し、ノウハウを蓄積していくバーチャルな組織体制のことである。これによりユーザー企業がさまざまな重要課題に迅速に対処できるようになる。高添アーキテクトは、「会社(お客様)全体のAgilityを向上させることが重要となる」としている。
インフラ整備で
ユーザー企業を成長へ
ユーザー企業がDXを実現するためにマイクロソフトが今、力を注いでいるものの一つが「インフラ運用を含めたモダナイズ」(佐藤マネージャー)だ。既に提供しているのは「Azure」「Azure Stack」「Azure Stack HCI」というクラウドとオンプレミスを連携させた「ハイブリッドプラットフォーム」で、ユーザー企業には「自動化」「セキュリティ」「ガバナンス」といった価値をもたらすことができる。具体的には、Azureによってオンデマンドのセルフサービスコンピューティングリソースを利用可能となり、既存アプリの移行や最新化、新しいクラウドネイティブアプリの開発と展開が容易となる。また、Azure Stack HCIは、オンプレミスで仮想マシンを安価に実行でき、老朽化したサーバーインフラの交換・統合を進めつつ、Azureに接続してクラウドのメリットを付け加えることもできる。さらにオンプレミスでのクラウド運用を実現するのがAzure Stackだ。Azureと一貫性のあるサービスをオンプレミスに導入して、各種業界の規制への対応と社内ITのAgility向上に寄与する。高添アーキテクトは、「Azureファミリーによって、クラウドとそれ以外の最新の選択肢を横に並べることができたので、インフラの本質を捉えて選択することができる」とアピールする。
また、「何でもクラウド化すればいいわけではない」と佐藤マネージャー。例えば、勤怠管理の場合、従業員がオフィスに出社するケースが多ければ、クラウドにする必要がなくタイムレコーダーで十分に事足りる。つまり、「目的が何なのか、棚卸しが重要」(佐藤マネージャー)ということだ。
高添アーキテクトは、「野球を例に挙げれば、投手の投球フォーム分析などに目が行くが、加えてグラウンド整備/運用の効率化も忘れてはいけない。これを企業に置き換えると、AIの活用といった一見派手な部分とインフラのモダナイズの両方が必要ということになる」と訴える。オンプレとクラウド双方のメリットを享受できるAzureファミリーによって、ユーザー企業を成長へと導く――。これが、マイクロソフトが描く世界だ。
なお、10月9~11日の3日間にわたって開催されるイベント「日経 xTECH EXPO 2019」では、日本マイクロソフトのブースで、パートナー企業によるAzureファミリーを活用したさまざまなソリューションが展示される。
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