Special Issue
ついにスタートしたIFRS16新リース会計 急務となる在外子会社の対応をシステムでサポート――プロシップ
2019/09/26 09:00
週刊BCN 2019年09月23日vol.1793 第2部掲載
複数基準の管理が必要
会計の業務負担が大幅増加
19年1月以降の開始事業年度から強制適用が始まったIFRS16。このIFRS16では、従来オペレーティングリースとして費用処理していたリース契約についても、原則オンバランス処理が必要となった。IFRS16におけるリースの定義は、「資産を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する契約又は契約の一部分」を指すため、OA機器や什器、備品といった動産リースのほかに、事務所や店舗の賃借契約などの不動産リースも資産管理の対象になる。このため会計上、管理が必要な対象が増加し、業務はもちろん従来のシステムについても見直しが必要となる。
日本でも、19年4月以降、多くの企業で、新基準による決算報告へ向けて動いている。その一方、当面は従来の基準に基づく会計処理も必要となるため、同一のリース契約について、日本基準(単体)とIFRS基準(連結)での同時管理が求められる。
IFRS16のリース管理では、複数基準(複数帳簿)対応が不可欠。しかも、資産計上とその後の管理だけでなく、負債計上とその後の管理も必須であるため、一つのリース契約・資産に関して、両基準におけるリース料や割引率、リース期間などの情報を保持し、債務計算および減価償却計算、さらに複数基準での仕訳作成が求められる。
「短期リースと少額(50万円)資産リースは免除になるものの、IFRS16は原則として全ての借り手リース契約のオンバランス化を求めている。そのため、適用後の決算開示資料が2倍、仕訳パターンが4倍以上にも増加すると見込まれる。その対応にあたっては、借り手リース契約を一元的に把握するための仕組みの整備とともに、経理業務の負担軽減に向けたシステムが欠かせない」と、藤田友秀(海外ビジネスGリーダー)は指摘する。
グローバルにおける
対応の統一が不可欠に
IFRS16への適用で大きな課題の一つが海外子会社の対応だ。企業会計基準委員会の実務対応報告18号では、連結財務諸表作成における在外子会社などの会計処理の取り扱いについて、「連結財務諸表の親会社と子会社における会計方針の統一」を求めている。IFRS16適用企業では、海外子会社の会計基準にもIFRSを採用するのが自然な流れといえるだろう。「だが、日本企業の多くが国内対応で手一杯。海外子会社の会計処理は現地任せで、現地基準のままの会計報告を計上しているという企業が少なくない。特に、現地でIFRSに精通した人材の確保が困難なこともあり、対応は遅れがちだ。しかし、万が一にも会計におけるガバナンスの不備が明らかになれば、財務諸表の信頼性が損なわれ、企業価値の毀損にもつながりかねない」と、木本彰祐(営業1部部長兼海外ビジネス営業部部長)は警鐘を鳴らす。
昨年12月には、中国がIFRS16と同等の内容となる企業会計準則のリースの改定を発表。中国に進出している日本企業の会計処理にも大きな影響を及ぼすと考えられている。また、藤田リーダーの指摘では、「中国には元々、新旧の両基準が併存しているが、新基準で処理していた企業は改定への対応が求められ、非上場企業でも21年までの対応が必要となる」と説明する。
豊富な実績を持つ
国産のIFRS16対応パッケージ
このように、日系グローバル企業にとって待ったなしとなってきたグローバルでの統一した会計処理を実現するには、IFRS対応やグローバル対応はもちろん、現地の税制や言語などのローカルに対応したシステムが必須となる。プロシップの「ProPlusシリーズ」は、固定資産/リース資産管理/賃貸借契約管理などのシステムをラインアップ。IFRS16に対応した数少ない国産パッケージ製品であり、上場企業を中心に、さまざまな業種・業態・規模の企業に幅広く採用され、シリーズ全体で約4700社の導入実績を持つ。
「上場企業で、IFRSを早期適応した185社のうち53社がProPlusユーザーで、早期適用を表明している企業も含めると3割を占めている」と藤田リーダー。
ProPlusは「自動仕訳機能」により、一つの入力で両方の会計基準の仕訳作成を自動化。「複数帳簿機能」や「自動判定機能」で、両者の帳簿を同時に作成/保持できる。固定資産管理においては、グローバル対応でも24カ国の税務標準と日本語、英語、中国語に対応、既に18の国と地域・135法人(19年4月末時点)への導入実績を誇っている。9月にはリース管理モジュールに関しても、多言語・多通貨への対応を実施した。
「既に中国での導入事例も出てきた。日系企業の関心が高いことから、現地拠点でセミナーの開催も予定している。現地での課題解決に積極的に取り組みたい」と木本部長は強い意欲を示す。
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