Special Issue
海外進出する国内SMBの現実解かつ最適解に『勘定奉行クラウド Global Edition』リリース――オービックビジネスコンサルタント(OBC)
2019/08/15 09:00
週刊BCN 2019年08月12日vol.1788掲載
海外拠点のタイムリーな
業務把握に課題
近年、日本企業の海外進出は企業規模を問わず増加傾向にあるが、多くの企業がガバナンスの面で課題を抱えているのが実情だ。海外拠点からのレポートは定期的な決算報告のみで、本社側がタイムリーに業績を把握するのが難しいというケースは珍しくない。一方の現地側も、バックオフィス系の人材確保に苦労しており、精度の高い記帳が難しかったり、本社に報告するためのレポート作成に大きな負荷を感じていたり、というのはよく聞く話だ。こうした課題を解決する一つの方法が、グローバルベンダーのERPなどを導入してシングルインスタンスを実現することであり、大手グローバルベンダーは古くからそうしたコンセプトを訴求してきた。しかし、問題はそれにかかるコストも膨大になってしまうことだ。特に、中堅下位から中小規模の企業にとって、グローバルベンダーのERP導入は現実的な選択肢になり得ない場合が多い。
OBCの『勘定奉行クラウド Global Edition』は、「国内中堅・中小企業におけるビジネスの国際化というトレンドを踏まえて、お客様が効率よく導入できる製品を追求したもの」(和田成史社長)だという。基本的なコンセプトは、同社の看板製品である財務会計パッケージ「勘定奉行」を冠する製品名からも分かる通り、海外拠点の会計をシームレスに連結して本社側で一元管理できるようにすることだ。和田社長は、「会計以外の部分は、海外拠点ごとに業務の内容も形態も千差万別で、事業環境によって変化していく可能性も高い。現地のビジネスでは、現地に合った現地の業務アプリケーションを使うのが最適だということもある。しかし、最終的にビジネス上のデータは会計システムに吸い上げられるわけで、ここを連結させることによってリアルタイムで各拠点の業績を把握することが可能になる。生産性、合理性を考えれば、会計だけを切り離していかにスムーズに連結させるかが、中堅・中小企業の海外進出に最も重要だ」と強調する。
“奉行クオリティー”で
海外ビジネスをサポート
『勘定奉行クラウド Global Edition』の特徴として、まずはクラウド会計システムならではの導入の迅速さが挙げられる。もちろん、グローバルビジネスに必要な多言語・多通貨対応も万全で、自動翻訳機能や付加価値税対応のための国別標準マスタ、連結決算のための為替換算機能なども提供する。製品開発の現場をリードした荒屋敷健史・開発本部次長は、「多言語対応を含めて使いやすいUXにすることや、実際の運用に沿って現地通貨、機能通貨、連結通貨の換算をカスタマイズなしで自動化できるようにするための機能など、実装に苦労したが、結果的に多くのお客様にとって非常に使いやすいものになったと自負している」と振り返る。また、唐鎌勝彦・取締役開発本部開発副本部長は「これらの機能が日本で多くの実績を持ち市場の信頼を得ている“奉行ブランド”クオリティーで提供されていることに、多くのお客様から大きな価値を感じていただけるはず。マイクロソフトとの密接な協業によって実現した、奉行クラウドの世界トップレベルのセキュリティと高可用性も当然備えている」と説明する。同製品の開発にあたって、日本発の会計事務所系グローバルコンサルティングファームであるフェアコンサルティング(http://www.faircongrp.com/)の協力も得た。グローバルで23拠点に直営事務所を設けており、『勘定奉行クラウド Global Edition』の導入支援や記帳代行、記帳内容レビューなどもサービスとして提供する。『勘定奉行クラウド Global Edition』は、OBCの全パートナーが販売可能で、海外拠点でのサポートなどをフェアコンサルティングが一手に引き受ける体制が構築されているため、「あらゆるパートナーは、安心してお客様にご提案いただける」(和田社長)という。
製品提供は、サブスクリプションモデルでの提供が基本で、3ライセンス付与で年額96万円がミニマムのプラン。森猛・営業本部SI・コンサルティングパートナー推進室室長は、「外資ベンダー製ERPの会計モジュールだけ導入する場合と比べ、コスト的にも大きなメリットが出る。現地PKG運用ではリアルタイムな会計情報の可視化ができず、高額な外資系ERPを導入せざるを得ないお客様に対して、最適なサービスが市場には極めて少ない。この空白を勘定奉行品質をもって埋める」と力を込める。既に、日本本社側ではOBC以外のERPを利用しているユーザーからの引き合いも多く、「今後はより一層、他社ERPパッケージを手がけるSIerやコンサルティング企業などとの連携を拡大していく」(森室長)方針だ。
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