Special Issue
クラウド時代の情報システム改革は統合ID管理から――ソフトクリエイト
2019/03/28 09:00
週刊BCN 2019年03月25日vol.1769掲載
現代の多様なワークプレイスに対応するIDプラットフォームサービス
SCCloudに統合ID管理が新たにラインアップ
SC Relationship 2019の冒頭、ソフトクリエイトの林宗治社長は、イベントテーマである「Connect the Future」に込めた思いを説明。「今年は“つなぐ”がキーワード。ソフトクリエイトが提供するサービスの範囲を広げるにつれ、当社単独では提供できないものが増えてきた。シナジーが期待できる有力な他企業と連携することで、お客様のニーズを広くカバーしていく」とした上で、昨年12月に発表した統合ID管理ソフトウェアのトップベンダーであるエクスジェン・ネットワークスとの資本業務提携をその代表例として挙げた。
両社はエクスジェン・ネットワークスの統合ID管理ソフト「LDAP Manager」をベースに、SCCloud上で提供するソリューション「LDAP Manager on SCCloud」を共同開発している。SCCloudは、マイクロソフトのディレクトリサービス「Active Directory」やサイボウズのグループウェア製品、オービックビジネスコンサルタント(OBC)の基幹業務ソフトなど幅広い商材をニーズに合わせて組み合わせて使うことができるクラウドサービスだ。LDAP Manager on SCCloudは、SCCloud上のクラウドアプリケーションはもちろん、「Azure AD」とも連携し、他のクラウドアプリケーションも含めて複雑な権限設定にも柔軟に対応できる統合ID管理が可能(図参照)。シングルサインオンをオールインワンでサポートするIDプラットフォームサービスとして4月1日にリリースする予定だ。まさに、ソフトクリエイトとエクスジェン・ネットワークスの“つながり”により、多くのクラウドサービスをセキュアに“つなぎ”、情報システム運用の負荷低減と効率化、また働き方改革のコアともいえる「多様なワークプレイスへの対応」を実現するキーになるソリューションをつくりあげたといえよう。
LDAP Manager on SCCloud
https://www.sccloud.jp/product/ldap-manager
Azure ADとも連携
月額9万円からの提供
SC Relationship 2019では、ソフトクリエイトの統合ID管理への注力を象徴するように、メインプログラムとして「『ID Platform構想』が作る未来」をテーマにトークセッションを行った。林社長に加え、同社の引間賢太・執行役員技術本部長、エクスジェン・ネットワークスの江川淳一代表取締役、日本マイクロソフトの細井智・業務執行役員パートナー技術統括本部長が参加した。
まずはソフトクリエイトの引間執行役員が、統合ID管理が必要になる背景について説明。「クラウド時代に求められているのは、セキュアで効率的なID管理。IDがセキュリティーの新たな境界線になる」と指摘した。働き方が変わり、オフィス、カフェ、自宅など、働く場所の境界線がなくなり多様なワークプレイスでITが活用できる時代にもかかわらず、各アプリの認証・ID管理がバラバラで、管理者のみならずユーザーにも大きな負担となり、企業の働き方改革が浸透しない遠因となっている。また、アプリごとのID・パスワードの多重管理やアクセス管理、パスワードの使いまわしといった運用が、大きなセキュリティーリスクに発展する可能性もある。
引間執行役員はLDAP Manager on SCCloudについて、「もともとLDAP Managerは統合ID管理の国内ナンバーワンシェア製品。エンドユーザーの利便性、システム管理者の負荷軽減、そしてセキュリティー向上を同時に実現し、企業のIT運用を大きく変えるポテンシャルがある。クラウドサービスとして標準化し、幅広い企業でご利用いただけるセキュアなIDプラットフォームを月額9万円から提供できるというのは大きな価値だと考えている」と手応えを語った。
ソフトクリエイトの林社長は、「二要素認証などでセキュリティーを強化する動きも出てきているが、個別の認証ごとに二要素認証を行うのはユーザーへの負担が大きく、統合ID管理の基盤が入った後でなければ現実的な選択肢になり得ない」として、セキュリティー強化の基礎としても統合ID管理が重要になると指摘。また、エクスジェン・ネットワークスの江川代表取締役は、「LDAP Manager一本で実績を積んできたが、クラウドのニーズへの対応やより幅広い顧客層へのアプローチが課題になっていた。その意味で、ソフトクリエイトとの協業には大きな可能性を感じている」と話し、今回の協業が、より幅広い企業層に情報システム改革の基盤となり得るIDプラットフォームを提供していく契機になるとの期待を示した。
一方、日本マイクロソフトの細井業務執行役員は、「米マイクロソフトのサイバーセキュリティー戦略においても、IDの重要性は非常に高い」とした上で、Azure ADとも連携するLDAP Manager on SCCloudのような統合ID管理サービスの登場は、「ユーザーの業務効率化とセキュリティー向上に大きな意味を持つ」と評価した。
https://www.seminar-reg.jp/bcn/survey_softcreat2/
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