Special Issue
エッジコンピューティングもHCIで実現「HyperFlex Edge」
2019/02/07 09:00
週刊BCN 2019年02月04日vol.1762掲載
「Intersight」でエッジからデータセンターまでを統合管理
注目が高まるエッジでのHCI活用製造業や小売業などのIoTで期待
製造業における工場の生産性改善、品質向上、予防保全の実現や、小売業における店舗の売上予測、在庫の最適化、販売促進など、IoTでデータを収集し、AIや機械学習を活用してデータを解析したいというニーズが増えている。こうした動きが今後、業種業態を問わず加速していくとみられる中で、課題となるのがそれに耐え得るIT基盤だ。従来のように、サーバーとストレージ、ネットワークの3層構造でIT基盤を構築し、さらに冗長化を行うとなれば構築にかなりの工数がかかってしまう。
そこで注目されているのが、HCIを活用したエッジコンピューティングだ。「HCIによるエッジコンピューティングで、システムの信頼性を確保しつつ、構築時間や工数、管理負荷を大幅に低減することが期待できる」とシスコシステムズの中村智・APJデータセンター・バージャライゼーション HyperFlex/UCSビジネスマネージャは言う。これに応えるのがHyperFlex Edgeで、同社の石田浩之・データセンター/バーチャライゼーション事業担当執行役員は「HyperFlex Edgeは、セキュリティー上の問題や通信の負荷増大などの理由により、クラウドに移行できずデータセンターにも集約できないシステムの移行先として期待できる」と話す。
2ノードから導入可能
スモールスタートがさらに簡単に
HyperFlex Edgeの特徴は大きく3点。一つめはスモールスタートで、今回から2ノードの導入が可能になり、必要に応じて3ノード、4ノードも構成できる。「他社でも、2ノードで導入できる製品はあるが、冗長性監視サーバーが必要なため、実質的には2ノードのHCIでも物理サーバーが3台必要になる。HyperFlex Edgeは、(クラウド管理ツールの)『Intersight』が監視サーバーの役割を担うので、2台の物理サーバーで、2ノードのHCIを実現できる」と石田執行役員は説明する。
二つめは、シスコが以前から提供しているIntersightによる統合管理だ。HyperFlex Edgeではその連携をさらに強化し、分散したHyperFlex Edge環境を統合管理することができる。機器をネットワークに接続・デバイス登録するだけで、そのあとの構築やメンテナンス管理は、IntersightからHyperFlex Edgeの設定や変更、ファームウェアのアップデートなどを全てリモートで行うことが可能だ。なお、IntersightのBase Editionは、HyperFlexおよびUCSユーザーは無償で利用できる。
「Intersightには、障害の自動分析機能も搭載している。システムに重大な問題が発生した場合にはIntersightが問題を自動的に分析し、分析結果をシスコのサポートセンターに自動送信する。サポートセンターの担当者は、分析結果に基づいて問題を判断し、対応についてお客様に報告・相談。プロアクティブな障害対応を実現できる」と中村マネージャは話す。
三つめの特徴は、柔軟なハードウェア構成をサポートしている点である。実績のあるUCS C220(1RU)サーバーをベースにCPU、メモリー、および最新のストレージデバイスを用途に応じて柔軟に構成することができ、ジャストサイズのHCIを利用することが可能になる。
“HyperFlex Anywhere”で
エッジからデータセンターまでカバー
そのほか、HyperFlex Edgeではネットワーク帯域幅として1GbEと10GbEをサポートする。また、ストレージ環境として、ハードディスクとオールフラッシュのどちらかを選択することも可能だ。ローカル側のデータとデータセンター側のデータのコネクティビティーを確保できるので、使いたいアプリケーションを動かす場所も柔軟に選択できる。
石田執行役員は、「今後、“HyperFlex Anywhere”というコンセプトに基づき、Intersightによる一元管理と組み合わせながらエッジからデータセンターまでをHyperFlexシリーズでカバーしていく。また、エンタープライズの分散環境での導入はもちろん、中堅・中小企業のエントリーポイントとしても期待できる。最も低いハードルで、エッジコンピューティングを実現できるのがHyperFlex Edgeだ」とアピールする。
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