Special Issue
「ネットワールド IBM Day 2018」を開催 マルチクラウド時代に活用すべきIBMソリューションを説く
2019/01/10 09:00
週刊BCN 2019年01月07日vol.1758掲載
世界13カ所に基礎研究所を置くIBM
AIや量子コンピューターを研究中
冒頭の開会挨拶では、ネットワールドの森田晶一社長が登壇し、「18年12月期は売上高1000億円を達成できそうだ」と事業の成果をアピールした。IBM関連のビジネスも拡大を続けており、中でも「リフト&シフト向けには『VMware on IBM Cloud』を今は一番に推している」と言う。そのほかにも、コンテナ管理の「Kubernetes」や、インメモリーDBの「Kinetica」、ビッグデータ基盤の「BlueData」、インフラ管理をコード化・自動化する「Infrastructure as Code(IaC)」などにも注目していると語った。続いて、日本IBMの熊谷貴司・研究開発THINKLabセッションコンサルタントが「未来を拓くIBM研究最前線2018」をテーマに講演。世界13カ所にあるIBMの基礎研究所で進めている研究について紹介した。
「現在、IBMが特に力を入れている基礎研究の領域は、AIや量子コンピューター、ブロックチェーンなどの10領域だ」と熊谷コンサルタント。例えば、IBM Watsonブランドで知られるAIでは、社会の最新ニーズにコンピューターが自律的に対応する「コグニティブシステム」の研究に注力。これまでに取り組んできたアナライズ(分析)とリーズニング(説明付け)の研究成果を応用することにより、「創薬」や「新規化合物合成のための探索」などの具体的な未来予測を実現していると語った。
また、ハードウェアでは、米国エネルギー省向けに開発したスパコンの「Summit」や、ミツバチのニューロン(約100万個)と同程度の処理能力を持つ超低消費電力型の「ニューロモーフィックチップ」、世界最小サイズのコンピューターを紹介。また、18年5月に世界初の量子コンピューターコミュニティーサイト「IBM Q ネットワークハブ」を慶應義塾大学量子コンピューターセンター内に開設したことにも言及した。
IBM Cloudの商材を組み合わせ
クラウド移行の4方式を支援する
次に、「YOUは何しにクラウドへ?~マルチクラウド時代のITプラットフォームのあるべき姿とは?~」と題し、ネットワールドの工藤真臣・SI技術本部ソリューションアーキテクト課課長がクラウド移行のあるべき姿について語った。工藤課長はまず、「18年のIBMの事業戦略の核はIBM Watsonテクノロジーであり、IBM Cloudのポートフォリオはオンプレミスからパブリッククラウドまでフルスタックでカバーしている」と説明。クラウドへの移行方式には、Re-Host(リフト&シフト)、Re-Platform(リフト&シェイプ)、Re-Purchase(リプレース)、Re-Architect(リライト)の四つがあるという。
その上で、各移行方式に適したIBM Cloudソリューションとして、Re-Hostは「IBM Cloud for VMware Solutions」、Re-Platformには「IBM Hyperconverged Systems」、Re-Purchaseは「IBM Watson Workspace」、Re-Architectには「IBM Cloud Private」や、「IBM Cloud」で提供されるWatson APIやIaaSサービスを挙げ、関連商材と併せて紹介。「IBM Cloud Privateを利用することで、プラットフォームを問わず導入可能でかつ煩雑なKubernetesの管理を意識することなく、コンテナならではのプラットフォームに依存しないアプリケーションの高いポータビリティーが得られる」と強調した。
続いて登壇したネットワールドの竹上裕・マーケティング本部ソリューションマーケティング部部長は、18年12月にリリースされた「Notes/Domino V10」日本語版の特価キャンペーンや19年1月の価格改定について説明。また、ネットワールド独自のIBM Cloud活用アプリの第5弾「システム管理者サポートAI」を紹介したほか、「ネットワールドIBMパートナーリングや、新しく始まったネットワールド IBM Watson・リングにもぜひ参加してほしい」と呼び掛けた。
パートナー各社もクラウドやAIを
戦略的に重要な領域と位置付け
最後のセッションでは、パートナー企業3社がIBMビジネスの現状を報告した。JBCCの大島貴幸・プラットフォーム・ソリューション事業部ソリューション技術本部本部長は、同社のハイブリッドクラウド/マルチクラウド向けプラットフォームの概要を説明。「ベアメタルのIBM Cloudにレプリケーションデータだけを置く構成をとることによって、バックアップのコストを大幅に下げられる」とアピールした。
また、AITの酒井修・クラウド&ソリューション営業部部長は、「18年度からの中期計画では、A(アナリティクス& AIoT)、B(ブロックチェーン)、C(クラウド)、D(DevOps)、S(セキュリティー& SugarCRM)の『ABCD"S』に注力している」と事業戦略を紹介。IBM CloudにAITならではのバリューを加えることで、デジタルトランスフォーメーションを目指す企業を支援していきたいと語った。
さらに、レッジの中村健太CMOは、同社が手掛けるAIコンサルティング事業で得られた知見として、「うまくいくAI開発/導入プロジェクトは『とりあえずやってみる』ことから始めているのに対し、うまくいかないプロジェクトは『準備に時間をかけすぎ』か『丸投げ』のどちらかだ」と指摘。精度の高さを追い求めすぎることなく、人の介入を許容した「新しい価値への投資」を狙うべきと説いた。
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