Special Issue
現地の事情に適した「ITサポートサービス」を提供 アジア特有の課題を日本と現地による「人とノウハウの連携」で解決――リコージャパン
2018/09/20 09:00
週刊BCN 2018年09月17日vol.1743 第2部掲載
加速する日本企業のアジア進出サポートを強化
リコージャパンがアジア進出企業の支援を強化している。日本企業のアジア進出は加速しており、JETROの調査によると、2017年に営業利益を黒字とした企業は全体の67.4%と前年から4.6ポイント上昇。一方、赤字企業も18.3%と前年から3.5ポイント低下した。また、事業拡大の意欲も、東南・南西アジアは堅調で、中国でも持ち直している状況にある。リコーグループは、日本、米州、欧州、アジア・パシフィックの4極体制で、世界約200の国と地域で事業を展開する。アジアへ進出する日本企業の活況を受けて、リコージャパンでは、13年10月から社員をアジア・パシフィック地域の統括会社であるリコーアジアパシフィックに駐在派遣し、日本現地双方の顧客からの要望に、迅速に対応できる体制を構築している。
アジア進出企業の多くは地域統括拠点をシンガポールに置くケースが多い。シンガポール地域の営業を担当するリコーアジアパシフィックの和田氏は「お客様から寄せられる要望の中で、特に多いのが情報セキュリティ対策。現地のネットワーク機器や利用ソフトの状況把握ができず対応に苦慮していたり、現地スタッフが私物の携帯電話やメッセージングアプリを業務利用していて、その管理に苦労しているという相談をよく受ける」と説明する。
東南アジア諸国では、私物のモバイル端末を業務に利用することが多いという特有のIT利用環境がある。また、スタッフも1、2年で職を変える「ジョブホッピング」を当たり前に行うため、労務管理や情報漏えい対策も日本とは異なるアプローチが求められる。
「システム対応では、現地の法令対応も大きな課題だ。中国のサイバーセキュリティ法、シンガポールの個人情報保護法(PDPA)、タイのCCA(Computer Crime Act)など、各国のセキュリティ関連法に準拠したシステム運用とビジネス展開が求められる」と吉原氏は話す。
コストとリスクの最適なバランスを提案
顧客の要望に応えるためには、単に現地事情に詳しいだけでなく、日本本社との間での人とノウハウの密接な連携も必要になる。そこで役立つのが本社と現地の双方のニーズを聞き、実情に合った提案ができるリコージャパンの存在だ。特にセキュリティ対策については、情報漏えい対策をはじめとして、操作ログ管理、デバイス管理、日本本社に準拠したセキュリティポリシーの構築と運用、ソフトウェアやハードウェアライセンスの不正使用対策など、幅広い臨機応変な対策が求められる。
「セキュリティ対策をどこまで実施するかは、企業が置かれた状況に合わせて判断していく必要がある。コストとリスクを天秤に掛けながら最適な判断を行っていただくために、リコージャパンとリコーアジアパシフィック、各国の販売会社が連携してサポートする」と和田氏は話す。
具体的な取り組みの進め方について吉原氏は「セキュリティはスタッフ数が増えると、その分さまざまな領域で対策が必要になる。事業規模に応じてフェーズを分け、初期はシステム投資を最小化して運用でカバーすることもポイント。50人を超える頃からシステム化を行い、管理効率を高めていくというやり方もある」とアドバイスする。
ITベンダーとのアライアンスも積極的に進める
取り組みをスタートさせる際に重要なのは、現状のリスクの把握だ。その後、対策の検討、システム構築・運用の検討、システム環境の導入とステップを踏んで取り組みを進めていく。リコーアジアパシフィックならびに各国の販売会社では、「ITサポートサービス」によって企業のIT環境の構築・維持管理を支援する。その内容としては、ハードウェアなどの調達・構築からIT資産状況の調査・レポート、トラブル時のメール・電話・オンサイトでの迅速なサポート、パッチ管理・ウイルス対策・バックアップなどのセキュリティ対策までさまざまだ。また、多様化する顧客ニーズに自社だけで対応するには限界があることから、各国ごとに有力なITベンダーとのアライアンスを進め、ソリューション提供の幅を広げることに力を入れている。日本企業のアジア展開は今後も加速する。リコージャパンは、リコーアジアパシフィックおよびアライアンスベンダーとの連携によって、アジア地域で活躍する日本企業のセキュリティ対策とビジネス拡大を支援していく構えだ。
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