Special Issue
最先端倉庫管理システムの実現を目指し、村田機械がSAP SQL AnywhereとSAP Cloud Platformを活用
2018/07/19 08:00
物流業界の構造改革実現に向け、SAPと協業
開発部
部長
田村博文氏
「人手不足で日本の物流が滞るといわれ、物流業界の構造改革が求められている。当社も、その課題に対応し社会貢献していくため、工場や物流システムにIoTを取り込み、新たな価値を提供できる製品開発を3年前から模索していた。だが、サプライチェーン全体も含めた構造改革となると、当社だけでは実現できない。構造改革を成し遂げていくためのパートナーが不可欠だった」と、開発部部長の田村博文氏は説明する。
具体的な検討を進める中で、同社がアライアンスパートナーに選んだのがSAPだった。「村田機械グループは、海外に広く事業を展開している。海外顧客である各分野のメーカーの多くはERPにSAPを採用しているが、工場の自動化や物流の効率化には、FAや物流システムとERPとの密な連携が不可欠だ。その点、SAPは、グローバルで多くの導入実績とノウハウを持っており、アプリケーションの専門家である。これは、われわれと同じ目線、価値観でシステムをみて、課題解決の方法を考えられるということを意味する。特に、ともにアイデアを積み上げ、ともに課題解決の方法を考えるという“デザインシンキング”の手法を取り入れ、企業のイノベーションを牽引する仕組み、それをサポートする製品群や将来性を高く評価した。」(田村氏)
IoTを実現する最先端倉庫管理システム
IoTを実現する最先端倉庫管理システムの製品化に向けて、ムラテックが採用したのがSAP SQL AnywhereおよびSAP Cloud Platformだ。「SAP Cloud Platformには、開発を容易にするためのツールやモジュール、ノウハウが揃っている。これにより、これまで当社が得意としていた分野以外も含めたトータルソリューションとしての開発が一気にスピードアップした」と、開発部の三好茉莉花氏。今回開発した、IoTソリューション「SMART搬送設備点検システム」は、工場や物流センターにおいて、マテハン設備の搬送状態の膨大なデータをSAP SQL Anywhereに記録・収集し、SAP Cloud Platformのダッシュボードで経路の状態を可視化するもの。
「SQL Anywhereは軽いRDBMSで、スマホでも稼働でき、管理者も不要。今まで困難だったコンベアなどの搬送装置の異常傾向の発見も低コストで実現できる」(田村氏)
現在は、より進化した改良版を村田機械の工場で社内検証を行っている最中で、年内のリリースを目指し、今秋9月開催の「国際総合物流展」での披露を予定している。
さらに今後は、同社が得意とする情報制御技術とITインフラを組み合わせ、工場や物流センターの自動搬送の効率化や予防保全など、管理の強化に発展させていく。サプライチェーン全体の効率化を実現するため、すべての物流センターや工場の倉庫管理システムをリアルタイムに連携させるとともに、熟練作業員のノウハウをソフトウェア化することを目指す。
「その実現に向けて、さらにSAP Cloud Platformを活用するとともに、SAP Leonardo Machine Learningといった機械学習のための新機能を積極的に活用したい。SAPにはこれからも、イノベーションを起こすベストパートナーとして大いに期待している」と田村氏は抱負を語る。
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