Special Issue

日立システムズ チャットボット対応で旅費精算の申請を効率化

2018/06/14 09:00

週刊BCN 2018年06月11日vol.1730掲載

 日立システムズは総合経費管理システム「Traveler'sWAN(トラベラーズワン)」のメジャーバージョンアップを行った。AIの一種であるチャットボットに対応し、精算申請の効率化を可能にしている。チャットボットがユーザーのスケジュールソフトから、外出や出張の情報を取得。ユーザーはチャット(会話)形式で指示を出したり、承諾するだけで、経費精算の申請を効率よく行うことができる。同社の調べでは、従来の手動操作に比べて経費申請にかかる時間が約6割削減※できるようになった。これにあわせてユーザーインターフェース(UI)も一新し、スマートフォンでの操作もより行いやすくなっている。

スケジュール表から未精算の予定を取得しチャット形式で精算

経費精算の申請にかかる時間の
約6割を削減

 

受川恒行
産業・流通営業統括本部
第一営業本部
第二営業部
担当部長

 日立システムズの「Traveler'sWAN」は、1996年に製品化して以来、22年にわたって売れ続けてきたロングセラー商品。利用者数は全国740社、91万ユーザーに達し、従来のオンプレミスや、プライベートクラウド方式に加えて、2016年からはSaaS版の販売もスタート。SaaS版は導入の手軽さから中堅・中小企業ユーザーを中心に採用されている。

 今回のバージョンアップでは、かねてから研究してきたチャットボットとの連携機能を実装する(今年6月末にリリース予定)。日立システムズのチャットボットは、同社が開発する各種の業務システムと連携し、入力作業を減らして業務効率を高める役割を担う。適用の第一号が今回の「Traveler'sWAN」となった。

 旅費・経費精算は従業員の残務処理の上位にあがってくる。この作業をチャットボットで効率化することで、「生産性の向上や残業の抑制に効果を発揮する」(産業・流通営業統括本部第一営業本部第二営業部担当部長の受川恒行氏)と、適用効果が大きいと判断。昨今の働き方改革の流れにもマッチする。

 チャットボットは、利用者のスケジュール表から未精算の予定を取得し、過去の精算履歴を自動解釈して経路を確認する。予定の開始・終了時刻から自宅からの直行直帰の有無も判断し、ユーザーは定期券区間を控除したうえで、精算を実施するといった一連の申請処理を、「はい」「いいえ」など、簡単な選択をするだけで完了できる(図参照)。従来のウェブ画面を手動で操作するのに対して、約6割の作業時間を短縮する※という。従業員数2000人規模の会社なら年間1500万円のコスト削減が可能になると、同社では試算している。
 

安西智美
産業・流通営業統括本部
第一営業本部
第二営業部
第二グループ
部長代理


 「Traveler'sWAN」は旅行代理店と連携した出張手配、鉄道・航空会社・カード会社などとのデータ連携によって運賃や宿泊費用を自動入力するなど、多彩な機能を有している。日立システムズでは今回のチャットボットに加えて、業務自動化システムのRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と組み合わせて「自動化率を一段と高める」(産業・流通営業統括本部第一営業本部第二営業部第二グループ部長代理の安西智美氏)取り組みも行っていく予定だ。

パートナー連携でユーザーの
業務改革を推進


 大企業向けの販売にあたっては、会計・財務の専門会社であるグローウィン・パートナーズや、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)やシェアードサービスを手がける日立マネジメントパートナーと連携。業務改革に焦点をあてたコンサルティング営業に力を入れている。

 具体的にはグローウィン・パートナーズのもつ会計・財務の専門的な知識を駆使し、毎年のように行われる会計制度の変更対応や、スマートフォンで撮影した領収書を認めるなどの電子帳簿保存を推進。就労人口の減少に対応した業務プロセスの改善といった取り組みを後押ししている。日立システムズは「Traveler'sWAN」や、今回適用したチャットボットなどのAIツール、業務自動化のRPAを活用することで業務効率をシステム面から支援する。
 

真田有子
産業・流通営業統括本部
第一営業本部
第二営業部
第二グループ
主任

 一方、日立マネジメントパートナーは顧客企業が自社内で処理する旅費・経費精算にかかわる業務のうち、代行可能な業務をBPOで請け負う。日立システムズは同社と連携して、「顧客企業の業務改革をワンストップで総合的にサポートしていく」(産業・流通営業統括本部第一営業本部第二営業部第二グループ主任の真田有子氏)構えだ。

 中堅・中小企業向けには、「Traveler'sWAN」のSaaS版を軸に同領域に強いビジネスパートナーとの協業に力を入れる。SaaS版は最小構成(50ライセンス)で1ユーザーあたり月額400円からと価格も抑えてある。すでに中堅・中小企業向け基幹業務ソフト「奉行」シリーズの開発で有名なオービックビジネスコンサルタント(OBC)と協業。同社の会計システムに対応した「Traveler'sWAN for 勘定奉行」の販売も始めている。

 日立システムズでは、大企業から中堅・中小企業までをカバーするビジネスパートナー各社との連携、さらには今回のチャットボットに対応した「Traveler'sWAN」の全面刷新をテコに、2020年度末までに100社の販売をめざす。
  • 1

関連記事

日立システムズ、総合経費管理システム「Traveler'sWAN」の新バージョン

日立システムズ、カメラ利用型メーター自動読み取りサービス

日立システムズ、構造物の点検を効率化する「自動劣化診断機能」

外部リンク

日立システムズ=https://www.hitachi-systems.com/