Special Issue
<プリンタメーカー座談会2018>特定業種に特化した市場開拓を パートナーと連携して強化する
2018/03/22 09:00
週刊BCN 2018年03月19日vol.1719掲載
業種別やユーザーの個別ニーズへの
対応力を強化する
――ここからは18年の製品戦略やソリューション戦略をお聞きしたいと思います。まず、製品について、注力する機種や新製品の展望を聞かせてください。北村 製品では引き続きインクジェットを中心に展開し、市場やお客様の要望をスピーディに製品に反映させていきます。
もう一つのポイントは環境訴求です。例えば、環境配慮に取り組まれる特定事業者の方々に向けて、インクジェットの優位性を訴求するDMを打ちましたが、非常に反応がよく、10%の事業者で面会に至りました。特定事業者は環境推進の専門部署を設置するなど、省電力に高い関心をもたれていますし、出力機器にかかる消費電力がオフィス需要の1割を占めるだけに高い効果が望めます。2月には、100枚/分という高い生産性、なのにレーザー方式の複合機に比べ消費電力が1/8というプロモーションをスタートしました。当社の熱を使わないインクジェットはとくに病院、自治体、学校で受け入れられています。
伊藤 当社のハイエンド機のラインアップが、モノクロ/カラーレーザー、A3インクジェットと今年度すべて揃いました。このラインアップを生かし、製造、物流、店舗の業種展開をさらに推進します。同時に、プリントボリュームの高いお客様に向けて消耗品を絡めた販売をパートナーとともに進めます。
製品面では、ハード/ソフトの両面で対応力を強化し、知見を積み上げて各業種に最適な製品提案に結びつけたいと考えています。例えば、特定用紙のファーストプリントの速さ、セキュリティ対策で用紙トレーに鍵をつけるといった細かなニーズにも対応しています。また、A3インクジェットは従来から強かった建築分野のほか、文教分野が増えてきました。コスト意識からコピー機と使い分けるというニーズがあるようで、そのニーズをしっかり拾っていきたいと思います。
石田 製品ラインアップは一通り出揃っているので、販売強化がポイントになります。一つはお客様のニーズがより多様化するなかで、変化に敏感に対応していくことです。具体的には、前述した自治体における複数ネットワークへの対応など、法規制が絡む動きには俊敏に対応できるようにしたいと思います。
ただ、お客様に高付加価値を提供するにはプリンタ単独では難しいという状況があります。そこで、もう一つは強みであるICTソリューションと組み合わせた提案や、パートナーと連携して提案のオープンイノベーション化を進め、お客様のワークフロー全体を効率化できるようにしたいと考えています。そのために、APIを公開しているほか、リコー製品との連携ソフトウェアの開発・販売を支援する「Ricoh Developer Program」などを用意しています。
「HL-L6400DW」
高速プリント&約60万枚高耐久フラッグシップモデル
・標準価格:オープン価格
・A4モノクロ:約50枚/分
・A4モノクロ約2円
・自動両面プリント、有線&無線LAN
「MFC-J6995CDW」
低ランニングコストと約15万枚高耐久を実現した、A3フル対応のフラッグシップモデル
・標準価格:オープン価格
・A4モノクロ22ipm /A4カラー20ipm
・A4モノクロ約0.9円/A4カラー約4.0円
・A3自動両面プリント、A3両面同時スキャン、ADF、ファクス、有線&無線LAN
クラウド連携やIoT対応で
プリンタの価値を高める
――今の質問に関連して、プリンタビジネスと合わせて業務効率化につながるIT商材として注目しているものはありますか。石田 コミュニケーションのワークスタイル変革です。当社のウェブ会議システムとタッチディスプレイのインタラクティブホワイトボードを組み合わせると、場所にとらわれずコラボレーションができて、意思決定の迅速さ、生産性向上に貢献できるといった価値を提供できると考えています。
プリンタがらみではビッグデータです。例えば、出力機器のリモート管理サービス「@Remote(アットリモート)」でニーズを分析することで、機器の運用効率化などに結びつけられると思います。
伊藤 昨今、業務アプリのクラウド化が進んでいますが、当社の製品の特徴としてクラウド連携の機能を備えていることで、関連する商材も揃えています。店舗のレジまわりであれば、ラベルプリンタ、レーザー、インクジェットとあるので、業務システムの変更や入れ替えに際して、敏感に反応して提案したいと思います。
北村 IoTを活用し、製品の利用状況をいち早く知って、予防保守、交換をタイムリーに行うことが可能になることは、お客様だけでなく販社の方々にも大きなメリットになるので、整備を強化していきたいと思います。
――産業用プリンタ市場に向けて取り組んでいることはありますか。
北村 当社のマイクロピエゾ技術は、インクの種類を選ばずにさまざまなものに印刷できます。その強みを生かして、サイネージ、商業写真、テキスタイル、ラベルなど、複数の商業印刷に参入しています。ただ、今の商業印刷はアナログ中心の世界で市場規模は決して大きくないため、デジタル化を促進していきたいと考えています。
伊藤 当社自身ではありませんが、メーカーとしては、ガーメントプリンタや15年に英国の産業用プリンティング機器メーカーのドミノプリンティングサイエンス社を買収し、産業用プリンタ市場に向けて取り組んでいます。
石田 昨年秋にTシャツなど衣類に直接プリントできるガーメントプリンタ「Ri 100」を発売しました。一般的なプリンタの1/3と非常にコンパクトで、価格も29万8000円とリーズナブルであることが特徴です。私の担当領域からは外れますが、個人的に販売動向を気にかけています。
パートナーとともに
ソリューションを創り展開
――今、求めるパートナー像について教えてください。石田 パートナーとは販売してもらうだけではなく、一緒になってお客様の業務課題を考えて、ソリューションを創り上げていく関係です。さまざまな業種のお客様へ展開していきたいと考えています。
伊藤 今、注力している特定業種に強い販社の方々、独自のソリューションをもつSIerの方々の開拓を進めたいと考えています。また、既存の製品・サービスの販売やリプレースのみならず、前述したウェブ会議などを含め、クロスセルにつながる形を増やしたいと思います。
北村 当社の強みであるインクジェットで提供できる価値を、同じ目線で販売に取り組んでいただける方々です。とくに、エプソン単独では入れない分野やお客様に向けて、SIerの方々がもつ商材と組み合わせることで、インクジェットの価値を提供できるようにしたいと思います。
――最後にパートナーに向けた支援策、プロモーション策があれば教えてください。
北村 幅広いお客様ニーズに対応するには、パートナーの方々がもつソリューションとの連携が不可欠です。場合によっては、当社製品のカスタマイズも必要になるので、そうした部分を一緒になって取り組みたいと思います。
伊藤 繰り返しになりますが、各業種に向けたカスタム対応力を強化していくことです。アプリケーションツールの活用も推進します。プロモーションでは、当社はSOHOやホーム向けのイメージが強いので、事例広告を含めてハイエンド製品を展開していることをこれまで以上にアピールし、認知度を向上していきたいと思います。
石田 プリンタと切り離せないものの一つが特殊紙への対応です。それをパートナーの方々の要望に応じて、いち早く事前検証できる体制を整えています。また、出荷時にユーザー向け設定を済ませる工場キッティングにも対応していますし、特定の業種向けへのカスタマイズ対応もオプションで用意して、幅広いニーズにお応えしています。
――長時間、ありがとうございました。
「RICOH SP C261SF」
使いやすさが進化した。設置の自由度が高いボックス型のプリンター複合機
・標準価格:オープン価格
・A4カラー/モノクロ 20枚/分*
・コピー、ファクス、プリント、スキャン
* A4 縦送り連続印刷時
プリンター設置シミュレーション
「RICOH AR」
AR(Augmented Reality)技術によりスマートデバイス画面上で、置きたい場所に リコープリンターを仮想的に3D表示できるアプリケーションです。設置スペースとプリンターのサイズ比較やカバー開閉などの操作、オプション追 加などがカンタン操作で行なえ、プリンター設置後のイメージを一目瞭然で確認できます。リコープリンターの導入検討をスムーズ・スピーディーにする新提案です。
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