Special Issue
<ソフトバンク コマース&サービス 導入事例>英語教育革新のカギを握る AI搭載ロボットの効果
2018/02/22 09:00
週刊BCN 2018年02月19日vol.1715掲載
教育へのICT活用で、全国で類をみないほど先進的な取り組みを行う自治体、それが埼玉県の戸田市だ。世界的IT大手企業やさまざまな教育研究機関を巻き込み、産官学民の連携で次の時代のICT活用を模索する同市が、学習環境のさらなる充実に向けて新たに導入したのが、ソフトバンク コマース&サービスが販売する、英会話学習用AI(人工知能)搭載ロボット「Musio X(以下Musio)」である。
連携団体は70以上
ICT活用の先進自治体
埼玉県の南東部に位置する戸田市。30歳代の子育て世代が多く暮らし、住民の平均年齢は県内市町村で最も若い。市立小・中学校に通う児童・生徒は1万1000人を超えており、その数は年々増えているという。戸田市では、「未来の社会は予測不可能で、少なくとも現在の延長線上にない」という考え方にもとづき、将来に向けた教育の改革を進めている。戸田市教育委員会
教育長
戸ヶ崎 勤氏
改革では産官学民連携、すなわち政府機関や研究機関、教育関連企業やIT企業など、さまざまなパートナーと協力し合い、非常に多彩な取り組みが進められている。現在、その連携相手の数は70にも上る。
「これだけの数のパートナーと連携しているのは、量的には日本でもトップクラスだろう。自治体の予算はどこも厳しいが、ファーストペンギンとなって、実証の場として学校や教室を提供、成果を還元するかたちで協力してもらっている」と戸ヶ崎教育長は説明する。
戸ヶ崎教育長自身もFacebookを通じて積極的に情報を発信し、教育関係はもとよりIT系大手企業やベンチャー企業まで幅広く交流の輪を広げて、積極的に新たな取り組みを進めている。
小学生の英語教育に
もっと「話す機会」を作りたい
戸田市が育成しようとしている21世紀型スキルの一つに含まれるのが、英語教育だ。小学校1年生から英語教育に取り組んでおり、すべての小・中学校に外国語指導助手(ALT)を常駐させるなどしてきた。戸田市教育委員会
教育政策室
指導担当課長 兼 主席指導主事
川和田 亨氏
そうしたなか、折よく登場したのが、Musioだ。戸ヶ崎教育長は、同製品を展示会で最初に目にしたとき「今までなかった存在」と感じ、ぜひ使ってみたいと考えたという。一方、ソフトバンク コマース&サービスにとっても、高いレベルのICT活用を行う戸田市なら、日本の公立学校でのエビデンスを得られる機会になると捉えた。こうして両者は協力して、Musioを学校に導入することとなった。
英会話用学習AI搭載の「Musio X」
本物の外国人と
話しているような感覚が好評
Musioは現在、市内の小学校2校と中学校1校に展開され、児童・生徒数人あたり1台を使うかたちで英語の会話相手として活躍している。ソフトバンク コマース&サービス
新規事業推進統括部
ロボット・IoT事業推進部
ロボット事業推進課
濱田怜佑氏
導入したばかりだが、すでに効果は現れているという。「数値としてのエビデンスは得られていないものの、子どもたちの反応は非常によい。感想を聞くと『本物の外国人と話しているみたい』という声も上がっている。ロボットと話すので、ALTとの会話のように、緊張せずに話せる点も大きい」と川和田担当課長は話す。さらに「教員たちのなかには、新しいものに対しておよび腰になる人もいるが、子どもたちの実際の反応をみて、Musioを評価してくれている。教育を革新していくという観点からも、こうしたロボットの存在は効果があると期待できる」と続ける。
戸田市教育委員会には今、各地の教育委員会からMusioについての問い合わせが頻繁にきているという。戸田市は今後、全校導入も視野に入れながら、採用拡大を検討していくという。濱田氏も、「Musioは、ソフトウェアにより機能が強化されていく製品であり、ユーザーからフィードバックを受けてどんどん改良が進んでいく。今後は、教育現場の方々にももっと関わっていただきたい」と話す。Musioを活用した新たな授業スタイルは、ますます発展を続けていきそうだ。
- 1
関連記事
ソフトバンク コマース&サービス AIが強化するIoTセキュリティ IoTに特化したセキュリティソリューション「ZingBox」